BtoB ECサイトとは|市場規模・事例・構築方法まで一挙解説!

昨今BtoB ECサイトの活用が増えてきています。 経済産業省の2020年度の報告書によるとBtoB EC化率は33.5%で市場規模は334兆円でした。 FAX廃止令など国をあげたデジタル化が進んでいることから、今後もBtoB EC市場は拡大していくでしょう。 そこで、今回はこれからBtoB ECサイトの導入を考えている方向けに、市場規模や構築方法、構築事例まで一挙ご紹介します!
BtoB ECとは
BtoBは「Business to Business」の略で、 企業が企業に対してモノやサービスを提供するビジネスモデルのことを指します。そして、EC とは「Electronic Commerce」の略で、日本語では「電子商取引」と訳します。つまり、BtoB ECとは「企業」が「企業」にむけて電子商取引(EC)で商品を販売することを意味します。BtoB ECサイトには2つのタイプがあります。
- ・クローズドBtoB型ECサイト
- ・クローズドBtoB型ECサイト
次の章で説明します。
クローズドBtoB型ECサイト
クローズドBtoB型ECサイトとは、会員しか見られない得意先のみが使えるシステム間取引(EDIを含む)のことです。クローズドBtoB型ECサイトを使う主な目的は以下です。
- ・審査をして自社が定めた条件をクリアした信頼できる企業とだけ取引をしたい場合
- ・情報公開を会員のみに限定したい
- ・顧客別の対応をしたい(掛け率の変更等)…等
BtoB取引は顧客ごとに掛け率が変動したり、表示商品を取引先別に変えたりなど、複雑な作業が多いです。 BtoB ECは複雑な業務を電子化することで業務を効率化させることができます。
スモールBtoB型ECサイト
スモールBtoB型ECサイトとは、クローズドBtoB型ECサイトと異なり、誰でもページにアクセスできるサイトのことです。サイト閲覧に関する制限はなく、小口取引を中心とし、日本中すべての企業を取引対象としています。スモールBtoB型ECサイトの例として「アスクル」があげられます。多くの顧客に向けて広く販売したい場合におすすめの販売形式です。
BtoBとBtoCの違い
BtoB ECと、BtoC ECの大きな違いは取引対象です。
- 【取引対象】
- BtoB EC:「企業」対「企業」
- BtoC EC:「企業」対「一般消費者」
BtoB ECは企業間取引です。具体的には、
- ・「メーカ」対「卸問屋」
- ・「卸問屋」対「小売店」
などがBtoB ECを活用して取引を行う事例が多いです。 BtoC ECは普段私たちがインターネット上で買い物をしているように、一般消費者を対象とした取引形態のことを指します。
BtoB EC市場規模

画像出典:経済産業省
2020 年の BtoB EC 市場規模は、334 兆 9,106 億円(前年比 5.1%減)です。 2019年と比較して市場規模は減少しましたが、EC化率は前年から 1.8 ポイント増の 33.5%となりました。 BtoCの最新のEC化率が8.08%なので、BtoBのEC化率は高いと言えます。
EC化率が高い理由として、「EDI」が数字に含まれていることが挙げられます。 EDIとは、「Electronic Data Interchange」略で企業間の「電子的データ交換」といういみです。 企業間取引で発生する契約書・発注書・受注書・納品書・請求書などの書類を電子化して専用回線やインターネットを介して情報をやり取りする業務効率化させるシステムです。経済産業省が発表しているBtoB EC化率のデータは「EDI」と「EC」の区分けがないため、BtoC ECに比べて数字がとても大きくなっています。
「EDI」と「EC」の区分けがないと言っても、新型コロナウイルスの影響を機に、国のデジタル化が急加速したこともBtoB EC業界の拡大に影響を与えています。「FAX廃止」「デジタル庁創設」「テレワーク」など今までのオフラインを中心とした働き方に大きな変化が出ています。国をあげてデジタル化が進んでいる中、企業も働き方のデジタル化を求められ、結果としてBtoB企業におけるEC化率も年々増加しています。また、2023年10月より開始となる「インボイス制度」により、企業間取引における請求書を発行・保存することが必要になることが決定しました。請求書の発行・保存はクラウド上で管理することが推奨されており、デジタル化が求められていることから、今後もEC化率は増加すると予想されます。
BtoB ECのメリット
BtoB EC導入のメリットは以下です。
- ・業務効率化
- ・既存顧客からの受注増加
- ・新規顧客獲得
業務効率化
BtoB企業は紙文化が根強く、電話、FAXで届く注文書をすべて手打ちで入力するなど作業工数がかかり本来やるべき業務(新規営業など)に集中できないという現状が多くの企業で見られています。 紙中心のアナログな受発注の工程が全てECに置き換わるため、これまでオフライン上で行っていた業務が軽減され業務効率化になります。 例)電話/メール/FAXの対応・対面のルート営業等
既存顧客からの受注増加
BtoB-ECではWEB 上で顧客の管理ができるということや、「いつ・誰が・何を買ったか」 という管理がEC化により一層しやすくなります。顧客データをもとにEC上でマーケティン グ施策を実施する事ができるので、既存顧客からの受注増加に繋がります。
新規の顧客獲得
ECは非対面での取引なので、場所にとらわれず、より多くのお客様と取引が可能 になります。よって新規顧客獲得に繋がります。
BtoB EC デメリット
BtoB EC導入のデメリットは以下です。
- ・導入コスト
- ・社内調整が大変
- ・慣れるまでに時間がかかる
- ・既存顧客に取引方法の変更をしてもらう必要がある
BtoB ECシステムの導入にはコストがかかります。初期費用に数万円~数百万円かかるなどプラットフォームによって費用が異なります。 そして、システム導入にあたり、これまであった業務フローを見直す必要がでてくるので、社内調整が必要になります。 導入後には、これまでのアナログな業務をデジタル化させることになるので、オンライン上での業務に慣れるまで時間がかかりますし、 既存顧客の取引方法も電話やFAX、メールなどからECに変わるため取引先にも影響を与えることになります。
BtoB ECサイト構築方法
BtoB ECサイトの主な構築方法は以下です。
- ・ASP型
- ・パッケージ型
- ・クラウド型
- ・フルスクラッチ型
それぞれ解説します。
ASP型
「ASP 型」とは、あらかじめカートシステムがインストールされているサーバーをレンタルできるサービスです。ホームページ作成機能が付随しているものも多く、レンタルカートの提供会社と契約することで簡単にEC サイトを立ち上げることができます。 また、保守費用やセキュリティー対策などもカート会社が行ってくれるため、初心者や専門的な知識がない人でも、ネットショッ プを開店できます。しかし、使える機能やサイトのカスタマイズは、他のシステムと比べ自由度が低くなります。 代表的なBtoB EC専用のASP 型カートには、
- ・Bカート
- ・楽楽B2B
があげられます。 カートの月額使用料は無料のものから、数万円かかるものまであり、実装したい機能によってカートを選ぶのがポイントです。汎用性が非常に高く利用 しやすいため、近年はASP 型カートを選ぶのが主流です。
パッケージ型
「パッケージ型」とは、システム提供事業者が顧客の要望に合わせて個別にイチからEC サイトを構築するサービスです。ASP 型でプラグインを組み合わせるだけでは実現できない複雑な機能にも対応できます。しかし、サイトごとに機能を開発する必要があり、導入費用が高額なため、大手企業向けのカートシステムです。また、部分改修する際もシステムの開発者でないと行えないこともあり、提供事業者への依存が大きくなるのがデメリットです。
クラウド型
「クラウド型」とはクラウド上にあるECプラットフォームを活用してECサイトを構築できるサービスのことです。 ASP型はカスタマイズがしづらいことがデメリットですが、クラウド型はカスタマイズの自由度が高いです。 費用は数百万円~など、パッケージ型と同じくらい高額なため大手企業向けのカートシステムです。
フルスクラッチ型
「フルスクラッチ型」とは、既存のプログラムやソフトウェアを一切使用せずに、イチからオリジナルのECサイトを構築する方法です。 ASP型やパッケージ型では実現できない複雑な機能に対応することができますが、開発期間や費用が最もかかります。 しかし、BtoB ECは通常のECサイトとは異なり、会社ごとの独自の機能を充実させる必要があるため、BtoB ECサイトの構築手法としては相性が良いと言えます。フルスクラッチについては下記の記事で詳しく説明しています。是非ご覧ください。
おすすめのBtoB ECプラットフォーム
BtoB-EC向けのカートシステムで代表される3社をご紹介いたします。 自社で「どういうECサイトにしたいか」「どういった機能が欲しいか」などによって自社に合ったカートシステムは異なります。 各カート特徴をご紹介します。
Bカート

画像出典:Bカート
- 〇初期費用:80,000円
- 〇月額費用:9,800円〜
- 〇導入店舗数:1,000店以上
- 〇特徴: ・BtoB専用なのでカスタマイズが不要 ・連携サービスがあるのでより便利なサイト構築が可能になった ・シンプルな画面で誰でも簡単に運用できる
楽楽B2B

画像出典:楽楽B2B
- 〇初期費用:100,000円~
- 〇月額費用:50,000円〜
- 〇導入店舗数:150社以上
- 〇特徴: ・BtoB企業間の受発注取引を効率化できる ・業務効率化だけでなく、売上UP対策も可能 ・BtoC-ECからBtoB-ECまでをワンストップで管理できるソリューションが充実している ・AIによる注文書自動読み込み機能がついている
Aladdin EC

画像出典:Aladdin EC
- 〇初期費用:2,000,000円~
- 〇月額費用:60,000円〜※カスタマイズの内容および上位システムとの連携により変動します
- 〇導入店舗数:5,000社以上
- 〇特徴: ・企業間取引に必要な機能が標準化されている ・業種・業態に合わせた柔軟なカスタマイズが可能 ・5,000社以上の豊富なBtoB ECノウハウを持っている
BtoB ECサイト事例一覧
BtoB ECサイトの構築事例をご紹介します。
タジマヤ卸ネット

画像出典:タジマヤ卸ネット
タジマヤ卸ネットは、菓子・食品・飲料 ドリンク・パン・日用品・雑貨・業務用から激安・格安・訳あり品等お買い得商品の仕入れなら総合卸問屋です。 ヘッダー部分のカテゴリーが充実していることや「人気キーワード」の欄を設置していることで、商品詳細ページに移動しやすくなるような構成になっています。 詳しくはタジマヤ卸ネットのECサイトをご覧ください。
京都 髙田商店

画像出典:京都 髙田商店
京都 髙田商店は、京都中央市場で、その日の早朝に競り落とした魚を仲卸してECサイトで販売しています。 基本的には、会員にのみ販売価格を公開しています。取扱い商品の多さも魅力的です。 詳しくは京都 髙田商のECサイトをご覧ください。
髙山堂

画像出典:髙山堂
髙山堂は、明治20年から続く伝統ある和菓子屋をECサイトで展開しています。 このECサイトではCVRの高い季節限定商品への導線をファーストビュー内に設置していることから、 商品一覧ページに遷移しやすい構成になっています。 一見、BtoC ECに見えますが、販売価格を見ると会員のみの公開となっており、事業者向けのECサイトだということが分かります。詳しくは髙山堂のECサイトをご覧ください。
まとめ
今回は、BtoB ECの市場規模や構築方法、構築事例までご紹介しました。 EC業界自体が拡大傾向なので、BtoB ECの今後も拡大が予想されます。 是非、BtoB ECの導入をご検討ください。
関連記事
-
2022/06/24(金)
-
2022/06/24(金)
-
2022/06/23(木)