BtoB ECとは|市場規模やサイト事例、構築方法を解説!btob ecのメリットも
株式会社これ2022 からの取締役。 2004年、IT系上場企業に新卒入社。ECサイトのコンサルティング営業に従事。 その後、株式会社これからに創業メンバーとして参画し、取締役就任。 小規模ショップから東証1部上場企業まで、500社以上のECサイト戦略について支援。 自社ECサイト支援で業界トップクラスの実績を誇る。 年間100回以上のECセミナー登壇や大規模展示会での講演多数。 書籍「図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)の執筆も手がける。
昨今BtoB ECサイトの活用が増えてきています。 経済産業省の2022年度の報告書によるとBtoB EC化率は37.5%で市場規模は420兆2,354億円でした。 FAX廃止令など国をあげたデジタル化が進んでいることから、今後もBtoB EC市場は拡大していくでしょう。 そこで、今回はこれからBtoB ECサイトの導入を考えている方向けに、市場規模や構築方法、構築事例まで一挙ご紹介します!
BtoB ECとは
BtoB ECとは、企業間の商取引をECサイト上で実施することを指します。 商品の提供者と対象者は、共に、法人です。 例えば、BtoB ECの場合、「製造業者と卸売間」、「卸売と小売間」などの商取引をECサイト上で実施することができます。 BtoB ECを活用すると、紙中心のアナログな受発注の工程が全てECに置き換わるため、これまでオフライン上で行っていた業務が軽減され業務効率化になります。
BtoB ECの種類
BtoB ECには二つの種類があります。
- クローズドBtoB型ECサイト
- クローズドBtoB型ECサイト
クローズドBtoB型ECサイト
クローズドBtoB型ECサイトとは、会員しか見られない得意先のみが使えるシステム間取引(EDIを含む)のことです。クローズドBtoB型ECサイトを使う主な目的は以下です。
- 審査をして自社が定めた条件をクリアした信頼できる企業とだけ取引をしたい場合
- 情報公開を会員のみに限定したい
- 顧客別の対応をしたい(掛け率の変更等)…等
BtoB取引は顧客ごとに掛け率が変動したり、表示商品を取引先別に変えたりなど、複雑な作業が多いです。 BtoB ECは複雑な業務を電子化することで業務を効率化させることができます。
スモールBtoB型ECサイト
スモールBtoB型ECサイトとは、クローズドBtoB型ECサイトと異なり、誰でもページにアクセスできるサイトのことです。サイト閲覧に関する制限はなく、小口取引を中心とし、日本中すべての企業を取引対象としています。スモールBtoB型ECサイトの例として「アスクル」があげられます。多くの顧客に向けて広く販売したい場合におすすめの販売形式です。
BtoBとBtoCの違い
BtoB ECと、BtoC ECの大きな違いは取引対象です。
- 【取引対象】
- BtoB EC:「企業」対「企業」
- BtoC EC:「企業」対「一般消費者」
BtoB ECは企業間取引です。具体的には、
- 「メーカ」対「卸問屋」
- 「卸問屋」対「小売店」
などがBtoB ECを活用して取引を行う事例が多いです。 BtoC ECは普段私たちがインターネット上で買い物をしているように、一般消費者を対象とした取引形態のことを指します。
BtoB EC市場規模
2022 年の BtoB EC 市場規模は、420 兆 2,354 億円(前年比 12.8%増)です。EC化率は、前年から1.9ポイント増の37.5%です。2022年は多くの業種でBtoBの商取引市場規模が拡大しました。例えば、2022年の法人企業統計データによると、「食料品製造業」の総売上は、2021年40兆3,496億円に対して、2022年41兆9,226億円と増加しました。
2022年は消費者の外出機会が増加し、外食やホテル需要が増加した結果、業務用食品市場規模等が拡大し、「食料品製造業」の商取引市場規模が拡大したと考えられます。市場規模が拡大したことによりEC化も進み、EC化率は前年比で3.5ポイント増加し、70.7%と高いEC化率を出しています。
また、「FAX廃止」「デジタル庁創設」「テレワーク」など今までのオフラインを中心とした働き方に大きな変化が出ています。国をあげてデジタル化が進んでいる中、企業も働き方のデジタル化を求められ、結果としてBtoB企業におけるEC化率も年々増加しています。
さらに、2023年10月より開始となる「インボイス制度」により、企業間取引における請求書を発行・保存することが必要になることが決定しました。請求書の発行・保存はクラウド上で管理することが推奨されており、デジタル化が求められていることから、今後もEC化率は増加すると予想されます。
※当社2023年10月実績
BtoB ECサイトランキング
BtoB EC市場で顧客満足度の高いECサイトを紹介します。満足度を構成する項目は以下の通りです。
-
ウェブサイト/カタログ(29%)
-
配送対応(25%)
- 料金/請求(22%)
- 提供商品・サービス(14%)
- サポート対応(9%)
こちらの項目に関するユーザー評価を基に、1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出し以下ランキングに反映しました。
順位 |
ブランド名 |
評価ポイント |
1位 |
たのめーる |
667pt |
2位 |
ASKUL |
661pt |
3位 |
Amazon Business |
658pt |
引用:J.D. パワー 2022年法人向け通販サービス顧客満足度調査
たのめーるは、「配送対応」「料金/請求」の2項目で最高評価を得ています。
ASKULは、「ウェブサイト/カタログ」、「サポート対応」の2項目で最高評価。そして、Amazon Businessは、「提供商品・サービス」項目で最高評価を得ています。
BtoB ECのメリット
BtoB EC導入のメリットは以下です。
- 業務効率化
- 既存顧客からの受注増加
- 新規顧客獲得
BtoB企業は紙文化が根強く、電話、FAXで届く注文書をすべて手打ちで入力するなど作業工数がかかり本来やるべき業務(新規営業など)に集中できないという現状が多くの企業で見られています。
紙中心のアナログな受発注の工程が全てECに置き換わるため、これまでオフライン上で行っていた業務が軽減され業務効率化になります。業務効率化されることによって、顧客対応に時間をかけることができるようになるので、受注増加にも繋がりますし、ECは非対面での取引なので、場所にとらわれずにお客様との取引が可能になるため新規顧客の獲得もできるようになります。
BtoB EC デメリット
BtoB EC導入のデメリットは以下です。
- 導入コスト
- 社内調整が大変
- 慣れるまでに時間がかかる
- 既存顧客に取引方法の変更をしてもらう必要がある
BtoB ECシステムの導入にはコストがかかります。初期費用に数万円~数百万円かかるなどプラットフォームによって費用が異なります。 そして、システム導入にあたり、これまであった業務フローを見直す必要がでてくるので、社内調整が必要になります。 導入後には、これまでのアナログな業務をデジタル化させることになるので、オンライン上での業務に慣れるまで時間がかかりますし、 既存顧客の取引方法も電話やFAX、メールなどからECに変わるため取引先にも影響を与えることになります。
ASP型
「ASP 型」とは、あらかじめカートシステムがインストールされているサーバーをレンタルできるサービスです。ホームページ作成機能が付随しているものも多く、レンタルカートの提供会社と契約することで簡単にEC サイトを立ち上げることができます。 また、保守費用やセキュリティー対策などもカート会社が行ってくれるため、初心者や専門的な知識がない人でも、ネットショッ プを開店できます。しかし、使える機能やサイトのカスタマイズは、他のシステムと比べ自由度が低くなります。 代表的なBtoB EC専用のASP 型カートには、
があげられます。 カートの月額使用料は無料のものから、数万円かかるものまであり、実装したい機能によってカートを選ぶのがポイントです。汎用性が非常に高く利用 しやすいため、近年はASP 型カートを選ぶのが主流です。
パッケージ型
「パッケージ型」とは、システム提供事業者が顧客の要望に合わせて個別にイチからEC サイトを構築するサービスです。ASP 型でプラグインを組み合わせるだけでは実現できない複雑な機能にも対応できます。しかし、サイトごとに機能を開発する必要があり、導入費用が高額なため、大手企業向けのカートシステムです。また、部分改修する際もシステムの開発者でないと行えないこともあり、提供事業者への依存が大きくなるのがデメリットです。
クラウド型
「クラウド型」とはクラウド上にあるECプラットフォームを活用してECサイトを構築できるサービスのことです。 ASP型はカスタマイズがしづらいことがデメリットですが、クラウド型はカスタマイズの自由度が高いです。 費用は数百万円~など、パッケージ型と同じくらい高額なため大手企業向けのカートシステムです。
フルスクラッチ型
「フルスクラッチ型」とは、既存のプログラムやソフトウェアを一切使用せずに、イチからオリジナルのECサイトを構築する方法です。 ASP型やパッケージ型では実現できない複雑な機能に対応することができますが、開発期間や費用が最もかかります。 しかし、BtoB ECは通常のECサイトとは異なり、会社ごとの独自の機能を充実させる必要があるため、BtoB ECサイトの構築手法としては相性が良いと言えます。フルスクラッチについては下記の記事で詳しく説明しています。是非ご覧ください。
※当社2023年10月実績
BtoB ECサイト|プラットフォーム一覧
BtoB-EC向けのカートシステムで代表される3社をご紹介いたします。 自社で「どういうECサイトにしたいか」「どういった機能が欲しいか」などによって自社に合ったカートシステムは異なります。 各カートの特徴をご紹介します。BtoB向けのおすすめプラットフォームは以下の通りです。
- Bカート
- 楽楽B2B
- Aladdin EC
各カートの比較内容は以下比較表の通りです。
プラットフォーム名 |
導入数 |
初期費用 |
月額費用 |
拡張性 |
特徴 |
こんな企業におすすめ |
Bカート |
1,500社以上 |
80,000円 |
9,800円〜 |
ー |
・BtoBに必要な基本的な機能が揃っている ・低コスト |
日々の商取引をEC化し、業務効率化したい |
楽楽B2B |
300店舗以上 |
100,000円~ |
50,000円〜 |
ー |
・業務効率化だけではなく、売上UPに特化した機能の実装も多数 |
業務効率化はもちろんのこと、売上UPもしたい |
Aladdin EC |
5,000社以上 |
2,000,000円~ |
60,000円〜 |
〇 |
・カスタマイズ性が高いため、業界・業種特有の商習慣や、独自の取引方法に合わせた柔軟なカスタマイズが可能 |
柔軟なカスタマイズ性を求める |
※2023年10月現在
Bカート
画像出典:Bカート
Bカートは株式会社Daiが提供するBtoB(卸)専門のASPカートです。BtoBに必要な機能(例:顧客ごとの卸価格、表示商品、決済方法など)が概ねそろっており、低コストで、BtoB取引をEC化することができます。BtoBの取引をEC化して業務効率化したい企業様におすすめです。
- 初期費用:80,000円
- 月額費用:9,800円〜
- 導入数:1,500社以上
- 特徴: ・BtoB専用なのでカスタマイズが不要 ・連携サービスがあるのでより便利なサイト構築が可能になった ・シンプルな画面で誰でも簡単に運用できる
- プラン:以下表
ライト |
プラン10 |
プラン30 |
プラン50 |
プラン100 |
プラン300 |
|
月額 |
9,800円 |
19,800円 |
29,800円 |
39,800円 |
49,800円 |
79,800円 |
商品数 |
500 |
1,000 |
3,000 |
5,000 |
10.000 |
30,000 |
会員数 |
50 |
1,000 |
3,000 |
5,000 |
10.000 |
30,000 |
※30日間の無料トライアル有り
楽楽B2B
画像出典:楽楽B2B
楽楽B2Bは、株式会社ネットショップ支援室が提供するBtoBカートシステムです。業務効率化だけではなく、売上UPにつながる機能も多く実装されているため、BtoB取引の業務効率化だけではなく、売上UPも目指したい企業様におすすめです。ランニングコストがやや高いですが、その分機能やサポートが充実しています。
- 初期費用:100,000円~
- 月額費用:50,000円〜
- 導入数:300店舗以上
- 特徴: ・BtoB企業間の受発注取引を効率化できる ・業務効率化だけでなく、売上UP対策も可能 ・BtoC-ECからBtoB-ECまでをワンストップで管理できるソリューションが充実している ・AIによる注文書自動読み込み機能がついている
- プラン:以下表
ライトプラン |
スタンダードプラン |
エンタープライズプラン |
|
月額 |
50,000円 |
75,000円 |
120,000円 |
Aladdin EC
画像出典:Aladdin EC
Aladdin ECは、株式会社アイルが提供するBtoBカートシステムです。導入数5,000社を超えており、BtoB ECの支援実績が豊富です。Aladdin ECは、カスタマイズ性が高く、業界、業界特有の商習慣や、独自の取引方法や要望に合わせたカスタマイズが可能です。そのため、特殊な業務内容を持つ企業様でも安心してEC化ができます。
- 初期費用:2,000,000円~
- 月額費用:60,000円〜※カスタマイズの内容および上位システムとの連携により変動します
- 導入店舗数:5,000社以上
- 特徴: ・企業間取引に必要な機能が標準化されている ・業種・業態に合わせた柔軟なカスタマイズが可能 ・5,000社以上の豊富なBtoB ECノウハウを持っている
- プラン:月額費用6万円~
カスタマイズの内容および上位システムとの連携により料金が変動する。
BtoB ECサイト事例一覧
BtoB ECサイトの構築事例をご紹介します。
タジマヤ卸ネット
画像出典:タジマヤ卸ネット
タジマヤ卸ネットは、菓子・食品・飲料 ドリンク・パン・日用品・雑貨・業務用から激安・格安・訳あり品等お買い得商品の仕入れなら総合卸問屋です。 ヘッダー部分のカテゴリーが充実していることや「人気キーワード」の欄を設置していることで、商品詳細ページに移動しやすくなるような構成になっています。 詳しくはタジマヤ卸ネットのECサイトをご覧ください。
京都 髙田商店
画像出典:京都 髙田商店
京都 髙田商店は、京都中央市場で、その日の早朝に競り落とした魚を仲卸してECサイトで販売しています。 基本的には、会員にのみ販売価格を公開しています。取扱い商品の多さも魅力的です。 詳しくは京都 髙田商のECサイトをご覧ください。
髙山堂
画像出典:髙山堂
髙山堂は、明治20年から続く伝統ある和菓子屋をECサイトで展開しています。 このECサイトではCVRの高い季節限定商品への導線をファーストビュー内に設置していることから、 商品一覧ページに遷移しやすい構成になっています。 一見、BtoC ECに見えますが、販売価格を見ると会員のみの公開となっており、事業者向けのECサイトだということが分かります。詳しくは髙山堂のECサイトをご覧ください。
まとめ
今回は、BtoB ECの市場規模や構築方法、構築事例までご紹介しました。 EC業界自体が拡大傾向なので、BtoB ECの今後も拡大が予想されます。 是非、BtoB ECの導入をご検討ください。
※2023年10月時点当社調べ
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