EC物流倉庫とは|委託費用や導入メリット・注意点について解説

category :  EC売上UP

update :  2024/09/30(月)

staff :  nakahara

EC物流倉庫は、現代のビジネスにおいて重要な役割を果たしています。多くの企業がネット販売を拡大する中で、効率的な物流管理は競争力を維持するために欠かせません。しかし、物流業務を自社で行うには、莫大なコストやリソースが必要となり、中小企業やスタートアップにとって大きな負担となることがあるでしょう。

そこで、EC物流倉庫の導入が一つの解決策として注目されています。本記事では、EC物流倉庫の基本的な役割や、外部に委託する際のメリット・デメリット、さらに導入時の注意点について詳しく解説します。ECビジネスを運営する上で、最適な物流戦略を選択するための参考にしていただければ幸いです。

EC物流倉庫とは

EC物流倉庫とは、インターネットを介して販売される商品を効率的に保管・管理し、顧客へ迅速に配送するために設けられた専門的な施設です。オンラインショッピングが普及する中で、顧客の期待に応えるためには、迅速かつ正確な配送が求められています。

そのためには商品の保管だけでなく、ピッキング、梱包、配送手配、さらには返品・交換の対応までを一貫して行わなければなりません。これらの業務をスムーズに運営するためのインフラとして、EC物流倉庫は重要な役割を果たしています。

EC物流倉庫は単なる保管場所ではなく、商品が顧客の手元に届くまでの物流プロセス全体を支える中核的な機能を持っています。特に、在庫管理や配送の効率化、コスト削減において大きな役割を担っており、企業にとっては販売活動の成否を左右する重要な要素です。

EC物流倉庫の役割

EC物流倉庫は、オンライン販売における重要な物流プロセスを支える施設です。主な役割は、商品を安全かつ効率的に保管・管理し、顧客に迅速に届けることにあります。以下に、EC物流倉庫の具体的な役割について詳しく説明します。

  • 商品の保管
  • ピッキング・梱包
  • 配送手配
  • 返品・交換対応
  • 在庫管理

商品の保管

商品の保管は、EC物流倉庫の基本的かつ最も重要な役割の一つです。販売される商品は、適切な温度や湿度を維持するために、専用の保管スペースで管理されます。これにより、商品が劣化することなく、常に最適な状態で顧客に届けられることが保証されます。

また、保管スペースは、商品カテゴリーやサイズに応じて効率的に配置されるため、迅速な出庫が可能です。

ピッキング・梱包

ピッキングと梱包は、商品の発送準備を行う重要なステップです。受注が入ると、EC物流倉庫のスタッフは、指定された商品を倉庫内から選び出し(ピッキング)、その商品を破損しないように丁寧に梱包します。

梱包材や箱のサイズは、商品に最適なものが選ばれ、顧客に無事に届くように工夫されます。結果的には、注文から発送までの時間が短縮され、顧客満足度の向上につながるでしょう。

配送手配

配送手配は、ピッキングと梱包が完了した商品を、最終的に顧客に届けるためのプロセスです。EC物流倉庫は、提携している運送会社と連携し、配送スケジュールや最適な配送方法を決定します。顧客の住所や希望に応じて、最適な配送オプションが選択されるため、商品は迅速かつ確実に届けられます。また、追跡システムにより、顧客は商品の配送状況をリアルタイムで確認できることが多いです。

返品・交換対応

返品や交換対応も、EC物流倉庫の重要な役割の一つです。商品が顧客の期待に沿わない場合や、配送中に問題が発生した場合、迅速な対応が求められます。EC物流倉庫は、返品された商品を検品し、再度販売可能かどうかを判断します。また、交換品の発送手配も迅速に行われるため、顧客はストレスなく対応を受けられるでしょう。このような対応がスムーズに行われることで、顧客との信頼関係が強化されます。

在庫管理

在庫管理は、EC物流倉庫が効率的に機能するための基盤です。倉庫内の在庫状況はリアルタイムで管理され、システムを通じて常に最新のデータが提供されます。これにより、販売者は適切な在庫レベルを維持し、欠品や過剰在庫を防げます。また、シーズンやキャンペーンに応じた在庫の調整も容易に行えるため、販売機会を逃すことなく、最適な商品供給が可能です。

yamada

ECの運営に個人で運営する規模感を除けば物流は欠かせません。物流を確立しないと売上を伸ばし続けるのは難しいです。

EC物流倉庫を外部に委託するメリット

EC物流倉庫を外部に委託することで、企業はコスト削減や業務効率の向上など、多くのメリットを享受できます。以下では、具体的なメリットについて詳しく説明します。

  • コストの削減
  • 物流業務の効率化
  • 柔軟性のある倉庫運用ができる
  • 専門性の高いサービス

コストの削減

EC物流を外部に委託するメリットは、コストの削減です。自社で物流業務を内製化する場合、大規模な設備投資や物流システムの導入が必要です。また、倉庫管理や配送業務に従事する人材の確保と育成もコストがかかります。一方で、専門の物流業者に委託すれば、これらの初期投資や人件費を大幅に削減でき、リスクを抑えつつ運用コストを最適化することが可能です。

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一部の大手は自社で配送を除く物流の機能を有していることもあります。例えば、商品の梱包・保管・荷役です。

物流業務の効率化

物流業務を外部に委託することで、業務全体の効率化が図れます。物流は多くの時間とリソースを消費するため、自社で行うとコア業務に集中することが難しいです。専門業者に任せることで、煩雑な物流業務から解放され、商品開発やマーケティングなどの戦略的な業務に集中できるため、ビジネスの成長を促進できます。

柔軟性のある倉庫運用ができる

市場の需要は季節やトレンドによって変動するため、それに対応できる柔軟な倉庫運用が求められます。外部委託することで、業者が提供する倉庫の規模や機能を簡単に調整可能です。例えば、繁忙期には倉庫スペースを拡大し、閑散期には縮小するなど、柔軟な対応ができるため、過剰なコストを避けつつ、効率的に運用できます。

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需要に合わせて運用することは有益です。配送に遅延が出ることは機会損失だからです。

専門性の高いサービス

物流の専門業者は、長年の経験と専門知識を持ち、高品質なサービスを提供しています。これにより、輸送の遅延や在庫の過不足などの問題を最小限に抑えられます。また、業者が最新の物流技術やシステムを導入している場合、活用することで自社の物流品質をさらに向上させることが可能です。結果として、顧客満足度の向上や、ビジネス全体のパフォーマンス向上につながります。

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商品の形態に合わせて資材や梱包の提案をしてくれる企業も多いです。

EC物流で委託倉庫を導入する費用

EC物流において委託倉庫を利用する際には、さまざまな費用が発生します。それぞれの費用項目について理解することで、効率的なコスト管理とサービス選択が可能となります。

基本料金

基本料金とは、委託倉庫サービスを利用するための月額固定費用を指します。料金には、在庫管理システムの利用や基本的なサポートサービスなどが含まれることが一般的です。

相場としては、サービス内容や取扱商品量に応じて月額数万円から十数万円程度まで幅があります。基本料金はサービスの質や範囲を左右する重要な要素であり、自社のニーズに合ったプランを選択することが大切です。

倉庫保管費用

倉庫保管費用は、商品の保管スペースに対して発生する費用です。一般的には、使用するスペースの広さや保管期間、商品の種類や数量によって料金が決定されます。

相場としては、1パレットあたり月額数千円から1万円程度が目安となりますが、温度管理が必要な商品や特殊な保管条件を要する場合は、これより高額になることもあります。効率的な在庫管理とスペース利用によって、費用の最適化が可能です。

入庫費用

入庫費用とは、新たに商品を倉庫に受け入れる際に発生する費用です。商品の受け取り、数量確認、品質チェックなどの作業が含まれます。

相場は商品1点あたり数十円から100円程度で、商品のサイズや検品の複雑さによって変動します。大量の商品を一度に入庫する場合や、特別な検査が必要な場合は、費用が増加する傾向です。

梱包費用

梱包費用は、注文を受けた商品を適切に包装するために必要な費用です。梱包材のコストや実際の梱包作業にかかる人件費などが含まれます。

一般的な相場は、商品1件あたり100円から300円程度ですが、商品の形状や特別な包装要求によって料金が上下します。高品質な梱包は顧客満足度に直結するため、費用と品質のバランスを考慮することが重要です。

発送費用

発送費用とは、商品を顧客の元へ配送する際にかかる費用です。主に配送距離、荷物のサイズや重量、配送スピードなどによって決定されます。

相場としては、小型商品の場合で数百円、大型商品の場合で数千円になることが一般的です。また、配送業者との契約条件や発送量によって割引が適用される場合もあります。最適な配送プランを選択することで、コスト削減と顧客満足度の向上を両立させることができます。

オプション費用

オプション費用は、基本サービス以外の追加サービスを利用する際に発生する費用です。具体的には、ギフトラッピング、特別検品、アセンブリ作業、返品処理などが挙げられます。これらの費用はサービス内容や作業の複雑さによって異なり、1件あたり数十円から数百円程度となることが多いです。

オプションサービスを活用することで、付加価値の高いサービス提供が可能となりますが、その分コストも増加するため、必要性と費用対効果を十分に検討することが求められます。

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各費用は、発注数量によって増減します。物流会社は物量の多寡によって原価を調整できるからです。

EC物流倉庫を外部に委託するデメリット

EC物流倉庫を外部に委託することには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。以下に、4つのデメリットを説明します。

  • 緊急対応が難しい
  • 物流ノウハウの蓄積ができない
  • コストがかかる
  • 在庫管理の難しさ

緊急対応が難しい

EC物流を外部に委託すると、急な需要の変動やトラブルが発生した際に、迅速な対応が難しくなることがあります。

自社内で管理している場合は、状況に応じて即座に対応策を講じることができますが、外部委託の場合は、コミュニケーションや手続きに時間がかかるため、対応が遅れるリスクがあるでしょう。特に、在庫不足や配送の遅延といった問題が発生した場合、顧客満足度に影響を与える可能性が高まります。

物流ノウハウの蓄積ができない

物流業務を外部に委託すると、自社内での物流ノウハウが蓄積されにくくなります。長期的には、物流戦略の立案や改善が難しくなる可能性が高いです。

物流は企業運営の重要な要素の一つであり、ノウハウが不足することで、競争力の低下やコストの増加を招くリスクがあります。

コストがかかる

外部に物流を委託する場合、初期費用や継続的なサービス利用料が発生するため、コストがかさむことがあります。自社で物流業務を内製化するよりも、一見して経済的に見える場合もありますが、委託先の品質や対応力によっては、結果的にコストが増加することがあります。

また、契約内容によっては、繁忙期の追加料金や、特別な要件に対する費用が発生することもあるため、全体的なコスト管理が難しくなることが多いです。

在庫管理の難しさ

外部の物流倉庫に在庫を預けると、自社でのリアルタイムな在庫管理が難しくなることがあります。物流業者が提供する在庫管理システムを使用する場合でも、情報の更新頻度や正確性に依存するため、在庫状況を完全に把握することが困難になることが多いです。

結果的に、在庫不足や過剰在庫のリスクが高まり、販売機会の損失や無駄なコストが発生する可能性があります。正確な在庫管理を維持するためには、外部業者との緊密な連携が不可欠です。

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ECの販売システムと在庫を連携できるツールもありますので、管理を効率化したい場合は活用しましょう。

EC物流倉庫を外部委託する際の注意点

EC物流倉庫を外部に委託することは、効率的な運用やコスト削減に繋がりますが、慎重に検討しなければならないいくつかの重要なポイントも存在します。以下に、それぞれの注意点について詳しく説明します。

委託先のサービス内容を確認する

外部委託を検討する際に、まず確認すべきことは委託先が提供するサービス内容です。物流業務には、ピッキング、梱包、配送手配、在庫管理、返品・交換対応といった多岐にわたる作業が含まれます。これらのサービスがすべて網羅されているかどうかを確認することが、スムーズな業務運営に直結します。

また、冷凍食品や大型商品などの特殊な商品を扱っている場合、それらに対応可能かどうかも重要な確認事項です。さらに、顧客に対する付加価値を提供するために、ギフト包装や特定の納品書の同梱などのオプションサービスが用意されているかどうかも、企業にとって大きなメリットとなります。

委託先の実績を確認する

委託先の信頼性を判断するためには、過去の実績や他の顧客からの評判を調査することが重要です。信頼性の高い業者は、長期間にわたって安定したサービスを提供しており、取引先企業からも高い評価を得ていることが多いです。

特に、食品や化粧品など、品質管理が厳しく求められる商品を扱う場合には、HACCPやGMPといった品質管理認証を取得しているかどうかを確認すると良いでしょう。また、委託先のセキュリティ対策がしっかりと講じられているか、保管状態や配送における安全対策が適切かどうかも確認が必要です。

さらに、個人情報保護に関する取り組みが十分であるかも、顧客データを扱うEC事業者にとっては欠かせないポイントとなります。

自社のシステムと連携できるか確認する

委託先のシステムが、自社のECサイトやERP(企業資源計画)システムとスムーズに連携できるかどうかも、重要なポイントです。スムーズな連携が可能であれば、注文データや在庫データのリアルタイムなやり取りが可能となり、業務全体の効率が大幅に向上します。

特に、在庫状況のリアルタイム把握や注文処理の自動化が進むことで、人的ミスの削減や作業スピードの向上が期待できます。また、システムの連携によって、販売データをもとにした需要予測や在庫補充の最適化が容易になるため、無駄のない在庫管理が実現可能です。この点で、委託先のシステムが自社のシステムとどれだけ円滑に連携できるかを事前に確認することが重要です。

費用対効果に見合ったサービスを選ぶ

外部委託にかかる費用を理解し、自社の予算やビジネスモデルに合致しているかを慎重に評価することは、成功する委託運用の基盤となります。初期費用、月額費用、従量課金など、費用の内訳を明確にし、自社の予算に合ったプランを選択することが求められます。

例えば、基本料金、保管料、ピッキング料、梱包料、配送費といった項目について詳細な見積もりを取得し、総コストを正確に把握することが大切です。また、季節変動やセール時期など、物流量が増加するタイミングで追加料金が発生する可能性についても確認しておく必要があります。長期的な視点で費用対効果を比較検討し、自社に最適なコスト構造を構築することが、物流戦略の成功につながります。

契約内容を確認する

契約内容の確認は、外部委託を行う上で重要なステップの一つです。配送遅延や破損、紛失が発生した場合の対応や賠償責任が明確に記載されているかを確認することが不可欠です。サービスレベル合意(SLA)に基づき、期待するサービス品質を保証してもらえるかどうかをチェックしましょう。

契約期間や解約条件についても詳細に確認し、事業計画に合った柔軟な契約形態を選ぶことが重要です。また、損害賠償責任の範囲や、トラブルが発生した際の連絡体制についても、事前に明確にしておくことで、リスク管理がしやすくなります。さらに、商品の画像やデータといった知的財産権の取り扱いについても、契約書に明記しておくことが将来的なトラブル防止につながります。

定期的に運営状況を確認する

外部委託後も、委託先の運営状況を定期的に確認し続けることが重要です。委託先との定期的なミーティングを通じて、業務の進捗状況や発生している問題点、改善提案などを共有し、迅速に対策を講じることが求められます。

さらに、配送遅延率や返品率、顧客満足度などのKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に測定することで、委託先のサービス品質を客観的に評価できます。このようにして、委託先のパフォーマンスを継続的に監視し、必要に応じて改善を促すことが可能です。また、倉庫の実地訪問を通じて、現場の運営状況を直接確認することで、深い理解を得るとともに、運営の透明性を確保できます。

まとめ

EC物流倉庫の外部委託は、コスト削減や業務効率化のメリットをもたらしますが、リスクやデメリットも伴います。自社のニーズに合致した委託先を慎重に選び、サービス内容や費用対効果をしっかり確認することが重要です。

今後は、物流体制を見直し、信頼できるパートナーを選定し、長期的な視点で物流戦略を構築することが、ビジネスの成長と競争力強化につながります。

 

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