食品D2Cの成功事例20選!競争で勝ち残るための7つのポイントを解説
食品D2Cビジネスは急速に成長しており、多くの消費者から注目されています。このビジネスモデルの成功事例やポイントを知りたいと考える企業担当者も多いでしょう。
この記事では、食品D2Cが急速に広まっている理由や勝ち残るためのポイント、さらには成功事例20選を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
D2Cとは
D2C(Direct to Consumer)とは、企業やメーカーが自ら企画・製造した商品を、小売業者や卸売業者を介さず自社ECサイトなどで直接、消費者に販売するビジネスモデルのことです。このビジネスモデルは、従来の流通ルートを経ずに商品を消費者に提供するため、中間コストを削減し、顧客との関係構築やマーケティング戦略の柔軟性を高めることができます。
特に食品D2Cでは、製造者が直接消費者と取引を行うことで、顧客のニーズを把握しやすくなり、競争力を維持・向上するための戦略として注目されています。近年外食機会の減少が見られる一方、食品D2Cサービスの市場規模は拡大傾向にあるのです。
D2Cビジネスモデルは、2000年代後半に登場し、アパレルメーカーやコスメブランドをはじめとするさまざまな業界で採用されてきました。従来の小売店や卸業界を通さずに直接消費者に商品を提供することで、企業は顧客との関係を深め、市場のニーズに迅速に対応できるようになってきたのです。
食品のD2Cが急速に広まっている理由
食品D2Cは、商品の賞味期限や温度管理などで配送コストが高くなることがあります。
食品のD2Cが急速に広まっている主な理由は、以下の3つが考えられます。
- 自宅で職を楽しむ文化が広まっている
- 食にまつわる健康や環境への関心が高まっている
- 商品の生産・販売にまつわるストーリーへの共感が増えている
それぞれ、詳しく解説していきます。
自宅で食を楽しむ文化が広まっている
ひとつ目の理由として、自宅で食を楽しむ文化が広まっていることが挙げられます。
コロナ禍以降、食品市場において大きな変化をもたらしました。近年では外食の機会が減少し、多くの人々が自宅で食事を楽しむようになったのです。この状況下で成功した食品のD2Cブランドは、単に「安心・安全」な食品提供に留まらず、家庭での食事体験を豊かにすることに力を入れています。
企業は「献立考案や調理の手間を省く」ことや、「自宅でレストランや飲食店のような感動の食体験を提供する」ことに注力しています。
また、家飲みでのプチ贅沢の需要も高まっており、コロナ禍で生まれた新たなライフスタイルに合わせた商品やサービスが人気を集めています。
食にまつわる健康や環境への関心が高まっている
食にまつわる健康や環境への関心が高まっている現代において、栄養価の高い食品やバランスのとれた献立への関心が一段と高まっています。それだけでなく、フードロスへの対応など環境に配慮された食品を選択したいという意識の変化も見られるようになってきました。
今や、消費者は「生産者の顔が見える、安心して食べられる」食品D2Cのサイトから直接購入したいと考える方が増えているのです。また、単に生産者だけでなく、生産過程や栄養素などの情報にも関心を寄せる傾向があります。
このような消費者のこだわりに応えるため、食品D2Cブランドは栄養素にこだわりを持ち、生産過程を公開するなどの取り組みを行っています。
商品の生産・販売にまつわるストーリーへの共感が増えている
食品D2Cブランドの成功には、商品の生産から販売までのストーリーが見える化されることが欠かせません。生産者の顔や思いが消費者に伝わりやすい食品D2Cブランドでは、その特徴を活かしてターゲット層にストーリーを展開することができます。このストーリー性が消費者の共感を呼び、商品へのありがたみや安心感を得ているのです。
さらに、食品D2Cブランドでは単なる食品としての消費だけでなく、生産者を応援する気持ちから購買へのつながりも生まれています。消費者は生産者の顔やストーリーを知ることで、商品を支持する意欲を高める傾向があります。このように、食品D2Cブランドは生産者と消費者の間に直接のつながりをもたらし、信頼関係を築いているといえるでしょう。
これらの要素が組み合わさることで、食品D2Cブランドは市場で注目され、成功を収めています。商品のストーリー性と生産者とのつながりは、消費者の心に響き、ブランドの成長を後押ししているのです。
D2Cを展開している食品ブランドの成功例20選
ここからは、D2Cを展開している以下食品ブランドの成功例を紹介していきます。
- Mr.CHEESECAKE
- 日清商品
- Snaq.me
- Nosh
- キリンホームタップ
- Oisix
- BASE FOOD
- ZENB
- Homeal
- GREEN SPOON
- Minimal -Online Shop-
- HiO ICE CREAM
- ブラウンシュガーファースト
- THE ROAST BEEF
- Andew
- パルシステム
- 椎茸祭
- 森山ナポリ
- Muscle Deli
- ヤッホーブルーイング
それぞれの食品ブランドにより、さまざまな特徴の成功事例を持っています。各ブランドで企業理念や商品のストーリーなども異なりますので、参考にしてみてください。
Mr.CHEESECAKE
ミシュランを獲得したフレンチ出身のシェフが手がけるチーズケーキ専門ブランド、Mr.CHEESECAKEは、毎週日曜日と月曜日の午前10時から販売され、販売直後に即完売という人気ぶりです。このブランドは、シェフとしての経歴を持つ創業者が「人生最高のチーズケーキで、より豊かになる体験を届けたい」という想いの下でスタートしました。
トライアル的にInstagram経由で直販を開始したフェーズでも、1ヵ月で売り上げ100万円を達成という人気ぶり。毎週日曜と月曜の朝10時に数量限定でネット販売されるや、たった5分で完売するほどの人気が続いています。
消費者にとっては、コロナ禍の影響で「レストランで味わう」楽しみが奪われました。そこでMr.CHEESECAKEは「レストランの体験価値の重要性」に着目し、シェフ経験を活かして「おいしさが的確に届く形」に料理をチューニングし直したそう。つまり、顧客が求める体験と徹底的に向き合い、商品を通して応えることで、絶大な支持を獲得したのです。
日清食品
出典:日清食品
日本のインスタントラーメンのパイオニアが、自社ECサイトでの進化と遂げています。2000年に立ち上げた当初は、ケース単位での販売で、商品到着までに時間がかかる状況でした。しかし、2016年のサイトリニューアルが大きなターニングポイントとなりました。
その改善策とは、どの商品でも1食から購入可能にし、即日出荷を実現したことです。この改革により、消費者のニーズにより適応したサービスを提供し、顧客満足度を高めています。
日清食品の自社ECサイトでは、一般的な商品のほかに、通販専用の商品も販売されています。さらに、新商品を先行販売し、顧客の反応を需要予測に活用しています。特に、アニメやゲームとのコラボ商品など、ストーリー性のある商品は、総合通販サイトよりも自社ECサイトでの売れ行きが好調です。
これは、日清食品がD2Cの成功を実現し、顧客との直接的なつながりを築いている証と言えるでしょう。
snaq.me
出典:snaq.me
株式会社スナック・ミーが展開する食品D2Cブランド「snaq.me」は、定期的におやつを届けるサービスです。毎月変わる100種のおやつから8つのおやつの詰め合わせが、2週に1回(または4週に1回)ポストに直接届きます。すべてのおやつは人工添加物、ショートニング、白砂糖不使用で、ナチュラル素材からのみ作られています。
このサービスでは、単なるおやつの宅配だけでなく、「おやつ体験」を提供しています。利用者は自分の好みや目的に合わせておやつを選び、栄養バランスを考慮したり、栄養士やダイエットコーチのサポートを受けたりすることもできます。また、おやつのリクエストや評価を通じて、顧客のニーズに合ったおやつが次回以降の詰め合わせに反映される仕組みも備えています。
このように、snaq.meは消費者のニーズに応えるだけでなく、おやつの時間をワクワクしたり楽しんだりする体験を提供しています。そのため、自分の好みや目的に合ったおやつを手軽に楽しめるという点で、顧客にとって価値あるサービスとなっているのです。
nosh
出典:nosh
株式会社ナッシュが展開する食事宅配サービス「nosh(ナッシュ)」は、管理栄養士とシェフが監修したヘルシーで糖分と塩分に配慮したおいしいお弁当を、自宅に届けるサービスです。
noshでは、健康的でおいしい食事を手軽に楽しみたい人々をターゲットにしており、特に糖質と塩分に着目しています。自社工場で調理された料理は、糖質30g・塩分2.5g以下の栄養価基準を満たしており、電子レンジで温めるだけで食べられるので、忙しいビジネスパーソンや自炊の負担が増えた人々にとって便利です。
さらに、noshでは好きなメニューを自由に選ぶことができ、新メニューも定期的に追加されるため、飽きずに継続して利用することができます。また、購入回数が増えるほど割引率が増える仕組みも用意されており、継続購入を促す施策が行われています。
キリン ホームタップ
出典:キリン ホームタップ
キリンビール株式会社が提供する飲料D2Cブランド「キリン ホームタップ」は、会員制の生ビールサービスで、自宅に専用ビールサーバーとビールが届き、工場で作りたての本格生ビールを楽しむことができます。
利用者は月2回の配達サービスを選択し、月4Lコースか月8Lコースから選択することができます。また、追加の注文や配達のスキップも簡単に行うことが可能です。ビールの種類は定番のものから、季節や旬に合わせた期間限定のクラフトビールなど、常時3~4種類から選ぶことができます。
キリンホームタップは、普段の食卓を少し贅沢にする特別なひとときを提供し、コロナ禍で増加している「おうち時間」を豊かにするサービスとして注目されています。さらに、サイトではホームタップ開発までのストーリーを公開し、自社のファンの獲得にも力を入れています。
Oisix
出典:Oisix
オイシックスは、定期宅配で選りすぐりの食材を自宅まで届けるサービスを提供しています。このサービスは、おいしい食材だけでなく、開発途上国の飢餓問題を改善するNPO法人のプロジェクト『TABLE FOR TWO』に参加し、売り上げの一部がアフリカの子どもの給食費として寄付されることで、社会貢献にもつながっています。
さらに、季節を感じられる食材やイベント感あふれる食材の配達は、おうち時間を楽しみながら豊かに過ごすことができます。また、使い切りできる量の食材セットとレシピがセットになっているので、消費者は毎日の献立に悩むことなく利用できると好評です。
さらに、オイシックスは顧客の声を大切にし、定期的にアンケートを配信し、顧客のフィードバックを分析して商品やサービスの改善に取り組んでいます。
BASE FOOD
出典:BASE FOOD
BASE FOODは、人の身体に必要な栄養素が豊富に含まれた「完全栄養食」を提供するD2Cブランドです。主力商品は、「BASE PASTA」や「BASE BREAD」といった完全栄養の主食ですが、さらに「BASE Cookies」も販売されており、これらの商品はおやつや朝食にもアレンジ可能です。
BASE FOODは、忙しい方々のニーズに応える商品を提供しており、初めて体験する方に向けてはスタートセットが用意されています。また、継続コースを選択すると、送料や価格が割引されるなどの特典もありお得です。
これらの商品は、ビタミンやミネラル、タンパク質、食物繊維など、人の身体に必要な栄養素がバランスよく摂取できるように作られています。この完全栄養食は、忙しい生活を送る方々や栄養管理にも気を使う方々に好評を得ており、累計販売数は1000万食を突破しました。
ZENB
出典:ZENB
ZENB(ゼンブ)は、大手調味料メーカーのミツカンが展開する野菜スナックブランドです。野菜スティックや野菜のペースト、豆100%のヌードルなどを提供し、植物性の素材を活用した日々の生活を提案しています。野菜・豆の芯や皮などを可能な限りまるごと使い、フードロスにも貢献しています。
オウンドメディアにも注力し、コラムやレシピを通じて消費者に情報を提供。さらに、荻上直子監督によるコンセプトムービーなど、大手メーカーならではのPR方法も展開しています。SNSを積極的に活用し、消費者に生活提案を行うことで、D2Cの成功モデルとなっています。
homeal
出典:homeal
homeal(ホーミール)は、幼児食の悩みを解消することをモットーにしたD2Cブランドです。幼児食診断の結果を参考にしながら、自由に組み合わせたメニューが定期的に冷凍便で届きます。味・栄養・時短がそろった料理が配送されるため、働きながら子育てをしている家庭に大変人気です。
また、子ども用のメニューだけでなく、大人用のメニューもあるため、家族全員がhomealでの食事を楽しめます。さらに、サイトでは幼児食に関する役立つコラムが配信され、Instagramではレシピなどが公開されており、情報提供にも力を入れています。
GREEN SPOON
出典:GREEN SPOON
GREEN SPOON(グリーンスプーン)は、楽しい食のセルフケア文化を築くウェルネスブランドです。定期的に届く野菜スープやスムージーなど、野菜が豊富なフードが特徴。管理栄養士監修の元、栄養のバランスを考え抜いたパーソナルスムージー・スープが定期的に届き、Webサイト上では診断テストを受けることでユーザーに合った商品が提案されます。
また、個々の生活や栄養ニーズに合わせ、200種類以上の食材からカスタマイズできます。オリジナルレシピも公開され、楽しく健康的な食習慣を提案。洗練されたパッケージデザインは、セルフケアだけでなく、ギフトにもおすすめです。
Minimal
出典:Minimal
Minimal(ミニマル)は、2014年にローンチされたチョコレートブランドで、自社でチョコレート作りの全工程を管理するスタイルを日本で最初に導入したことで知られています。商品は、食べ方までを考慮してデザインされており、例えば板チョコのデザインは、食べるときの気分に合わせてパーツの大きさが選べるように工夫されています。また、バターやミルクを足すのではなく、カカオ豆にこだわりながらも、ほかの要素は引き算にするという独自のコンセプトも持っています。
さらにSNSやオウンドメディアに力を入れ、顧客のUGCを積極的に自社アカウントにアップしました。これにより、顧客が「口コミ投稿をすると取り上げてくれる」という認識を持ち、SNSでの口コミが増加。より活性化したコミュニケーションが生まれました。
HiO ICE CREAM
HiO ICE CREAM(ヒオアイスクリーム)は、株式会社HiOLIが展開している厳選素材のクラフトアイスクリームが自宅に届く、食品D2Cブランドです。大量生産せず美しさにこだわり、小ロットでアイスクリームを製造しています。厳選された素材を独自に仕入れて自分たちの工房でアイスクリームを作るという、ものづくりの面白さを特別な体験として顧客に提供しています。
定番の商品だけでなく、その季節だけの限定フレーバーも販売されるので、1年を通してアイスクリームが楽しめるブランドです。ナチュラルローソンや成城石井などでも発売が開始されており、今後も販売チャネルは拡大していくでしょう。代表自ら食材の産地に足を運ぶストーリーとともに、「期間限定」「地域限定」などの希少性を刺激するスノップ効果を上手く活用してマーケティングを展開しています。
ブラウンシュガーファースト
ブラウンシュガーファーストは、株式会社ブラウンシュガー1STが展開している食品D2Cブランドです。商品は有機エクストラバージンココナッツオイルや有機アガペシロップなど、高品質の調味料を中心に販売しています。
企業がお客様の視点で商品を作ることで、お客様も企業に共感してくれるという好例です。「わが子に食べさせたいかどうか?」を基準に、母親目線での商品作りが特徴。親子で安心して食べられる、美味しく楽しい食材を提供しています。
THE ROAST BEEF
THE ROAST BEEFは、デクノバース社が手がけるローストビーフに特化した食品D2Cブランドです。「世界一アガる!ローストビーフを。」というブランドコンセプトのもと、見た目・ボリューム・美味しさに徹底的にこだわったローストビーフを冷凍で配送しています。外食機会の減少により、自宅でのホームパーティーが特別な時間になることを考慮し、ローストビーフの提供を開始しました。
素材と味わいにこだわりぬいたローストビーフは、多くのファンを獲得しています。ホームページでは、ローストビーフを使用した盛り付け例やレシピを公開し、顧客が商品に親しみやすい環境を提供しています。さらに、おしゃれなパッケージから始まり、見た目や味などすべてのポイントで顧客の想像を超えられるように工夫しています。
andew
出典:andew
andew(アンジュ)は、2020年に販売を開始した食品D2Cブランドで、世界初の完全食チョコレートを提供しています。このチョコレート開発は、皮膚の難病に苦しむ患者さんにも美味しく食べられる食品が必要だという医学生・中村恒星氏の想いから始まりました。
開発のポイントは、栄養不足を補える栄養価の豊富さ、口当たりがよくなめらかであること、そして病気の有無にかかわらず誰もが一緒に楽しめることでした。数多くの試行錯誤の末、最高のおいしさと最大限の栄養価を実現するレシピが生まれました。
植物性由来の素材でヴィーガンでも食べられ、スーパーフードで低カロリーながら栄養価が高いため、健康志向の方々にも注目されています。そして、中村恒星氏の想いが多くの人の共感を呼び、人気に火がついているようです。
パルシステム
出典:パルシステム
パルシステムは、体にやさしい商品を提供する食品D2Cブランドです。科学調味料を使わず、農薬や薬品をできる限り避けた野菜・肉や、時短料理が可能なお料理セットなどが人気です。また環境にも配慮した生活用品もラインナップしており、1日1日の食生活を大切にする人に喜ばれています。
商品だけでなく、不在時にも所定の場所に届けてくれたり、重い商品も届けてくれたりするなど、便利なサービスが特徴です。家族との時間を大切にしたい忙しい方にとっては、買い物時間を節約できる点が魅力的です。
椎茸祭
出典:椎茸祭
椎茸祭(しいたけまつり)は、椎茸を軸にしたビジネスを展開する会社で、代表取締役の竹村賢人さんが和食や日本の食文化に対する熱い思いから2017年に創業しました。創業者の異色で濃厚な経歴が、椎茸への情熱として具現化されています。
ブランドは、完全植物性・無添加であることにこだわり、山の自然環境で育つ原木椎茸を使用して和風だしを製造。ECサイトでは、椎茸だしの製造工程がストーリー仕立てで紹介され、共感性の高いコンテンツが提供されています。さらに、椎茸だしを使ったレシピも紹介されており、単なる商品紹介に留まらず、ユーザー目線で役立つ情報を提供することで、ファン化を促進中です。
森山ナポリ
出典:森山ナポリ
森山ナポリは、石川県金沢市にあるピザ工房が提供する窯焼きピザのD2Cブランドです。単品メニューやセットメニューを通じて幅広い顧客にアプローチし、おためしセットや会員限定のチーズケーキセットなどの特別なオファーを通じてリピーターを獲得しています。さらに、地域の豊かな食材を使用し、地元の方々に焼き立てのピザを提供することで地方活性化の一翼を担っています。
彼らのピザは地元の素材を贅沢にトッピングし、手作りの味わいを全国のお客様に届けています。そのため、森山ナポリの商品は地域の雇用を支える柱になっており、地元の食材やストーリーが商品に込められていると評判です。開発チームや製造チームは、常に顧客の感想を受け入れ、良いご意見やお叱りも含めて、顧客の声をパワーの源にしています。
Muscle Deli
出典:Muscle Deli
Muscle Deliは、管理栄養士やダイエットコーチが監修する、総勢50種類以上のメニューを選べる宅配フードサービスです。ユーザーは自分にあった食事プランを選び、宅配で受け取り、食べる前にレンジで加熱するだけという手軽さが魅力です。人気メニューの見栄えや重要な栄養素が一目でわかるECサイトのデザインも特徴的で、消費者が抱える健康課題に合わせた4つのプランが展開されています。
コロナ禍における巣ごもり需要に対応し、2021年1月には前年比100%増加の売上を達成しています。ダイエットを目指す人々の「何をどれだけ食べたらいいかわからない」「いつも同じ食事になってしまう」「自分にあった栄養素の計算や調理をする手間がない」といった悩みに応えるメインコンセプトを持ち、高たんぱく・低カロリーな食品を提供しています。
ヤッホーブルーイング
出典:ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングは、クラフトビールの製造を手掛け、自社ECサイトでは定期宅配サービスやオリジナルグッズを販売しています。熱心なファンを育成するため、オウンドメディアやSNSを活用した積極的な顧客との交流や、ビールファン向けのイベントを定期的に開催。これらの施策により、知名度を高めてきました。
商品は実店舗や小売店頭・大手ECモールでも販売されていますが、特に自社ECのサブスクリプション販売に力を入れています。ファンの声を大切にし、EC上でも積極的に活用。その結果、業績は13期連続で増収増益を達成し、売上高は2022年には200億円規模を目指しています。従業員数も増加し、この10年で20人から130人へと、約6倍に成長しており、躍進中です。
H2.食品D2Cで勝ち残るためのポイントは7つ
食品D2Cで勝ち取るためには、オリジナリティがあるこだわりの商品作りが重要な要素となります。
ここでは、食品D2Cで勝ち残るためのポイントを7つ紹介します。
- 他社と差別化できているか
- 顧客体験を提供している
- 顧客とのコミュニケーションを重視している
- 明確なターゲットを絞っている
- 継続購入させるシステムがある
- ECカートをうまく活用している
- 広告運用で成果を出す
それぞれ解説していきますので、参考にしてみてください。
他社と差別化できているか
食品D2Cブランドの成功には、オリジナリティが不可欠です。消費者は、単なる低価格だけでなく、ブランドのコンセプトや製品へのこだわりに共感し、購買意欲を高める傾向があります。
自社ECサイトを活用し、ブランドのコンセプトや世界観を明確に伝えましょう。食品D2Cブランドは、食の多様化に対応し、オーガニック志向や健康志向などの消費者ニーズに合わせたコンセプトを打ち出すことで、他社との差別化を図ることができます。
また、ECブランドを通じて商品開発ストーリーや製品の特長を明確に伝えることで消費者に理解を促し、ブランドへの共感を深めることが可能です。一貫したブランディングを実施し、「なぜ自社のサービスを選ぶのか?」という明確な理由づけを行うことで消費者の購買意欲を刺激し、ブランドの成長を促進できます。
大前提ですが商品の質が高いことは必須です。いくらマーケティングが得意でも、品質が高くないと成長は減速します。
顧客体験を提供している
ポイントの2つめは「顧客体験を提供している」ことです。店舗での食品購入以上の付加価値があることが、食品D2Cブランドの成功には欠かせません。たとえば、Oisixでは食材をセットにしてレシピと同梱したり、食材を組み合わせて「ミールキット」として自社サイトで販売したりしています。
また、オウンドメディアで誕生までの軌跡をストーリーとして公開したり、商品に関連のあるコラムを配信したりすれば、商品だけでなく付加価値としての情報も提供可能。
D2Cのターゲットとなるミレニアル世代やZ世代は、商品そのものの価値だけでなく、商品の購入に関するすべての体験に価値を感じています。ECサイトのデザインや使い勝手のよさ、発送の速さ、梱包の丁寧さなどがその一例です。
顧客とのコミュニケーションを重視している
顧客とのコミュニケーションを重視している食品D2Cブランドは増えています。特に、SNSを活用した双方向のコミュニケーションは顧客のファン化に不可欠です。例えば、「Minimal-Online Shop-」では顧客のレビューに丁寧に返信し、アフターフォローを行うことで、顧客がブランドとのつながりを感じファンとして親近感を抱いてくれた好例です。
顧客の囲い込みとファン化を促すために、ブランドの世界観に共感を呼び起こす取り組みや、CRMを利用した個別施策が重要です。
また、食品D2Cブランドでは定期的な消費を促進するためのサブスクリプションの導入も有効です。これらの取り組みは、顧客のロイヤルティを高め、ブランドの成長に寄与します。
明確にターゲットを絞っている
顧客のニーズやターゲットを明確にすることは、食品D2Cブランドが成功するための重要な要素です。ターゲットを絞ることで、ブランドが提供する商品やサービスが、関心の深いユーザーにより深く響きます。また、広告戦略も明確になり、効果的なマーケティング活動が可能になります。
例えば、パルシステムは「食にこだわりたい家庭」をターゲットにしています。この明確なターゲット設定により、彼らは食育イベントなどを通じて顧客のニーズに応え、ブランドと顧客の関係を深めています。顧客を特定のニッチな範囲に絞ることで、ブランドはそのニーズに合った製品やサービスを提供し、より意義深い顧客体験を提供しているのです。
このように、ターゲットを絞ることで、ブランドは消費者の細かなニーズに対応し、顧客との関係を深め、ブランドの価値を高められます。
継続購入させるシステムがある
継続的な購入を促すシステムを導入することは、食品D2Cブランドにとって極めて重要です。定期購入やサブスクリプションなどの仕組みを通じて、顧客に便利でお得な特典を提供し、リピート率や顧客生涯価値(LTV)を高めることができます。
食品D2Cでは、商品のサイクルが長すぎず価格が適切であることが継続購入を促すポイントです。そのため、定期購入や継続購入による特典を設け、顧客にリピーターになる魅力を提供しましょう。これにより、安定的な収益を確保するだけでなく、価格競争に巻き込まれにくくなります。
顧客が長期間にわたって商品を購入し続ける仕組みを構築することは、顧客との関係を強化し、ブランドの成長を支える基盤を築くために非常に重要です。
ECカートをうまく活用している
食品D2Cにおいては、定期購入や頒布会など定期購入に特化した機能を備えたカートシステムの選択が重要です。顧客が商品を長期間にわたって購入することが利益率を高める鍵となるため、「今月はお休みしたい」といった顧客ニーズに柔軟に対応できるなど、お客様のニーズに合わせて選択しましょう。
ECサイトのカートシステムは、使いやすさや売上に大きな影響を与えます。購入までのステップが簡潔で情報の入力が少ないなど、顧客の負担を最小限に抑えるカートシステムの設定が最適です。顧客のサイト内回遊データや購買行動データを分析し、購買までのハードルを低くし、カゴ落ちのリスクを減らしましょう。
広告運用で成果を出す
食品D2Cで勝ち残るためのポイントとして、広告運用で成果を出すことは重要です。新規顧客を獲得し成長させるためには、広告運用を通じて成果を上げ続けなければなりません。Meta広告やGoogle広告を活用し、適切な広告戦略を展開することが成長の鍵ともいえるでしょう。
一方で、D2Cの広告は従来の広告とは異なり、ターゲットを絞った広告を展開します。スマホやSNSの普及により、特定のターゲット層への広告が容易になりました。
さらに、消費者のリテラシー向上により、商品を選ぶ際にも広告が大きな影響を持つようになりました。これらの要素を踏まえ、運用広告を積極的に活用し、成果を最大化するための手法を習得した後、実践しましょう。
まとめ
今回は、日本で注目を集めている食品D2Cブランドを紹介しました。
成功した食品D2Cブランドから学べるポイントは、単に「安心・安全」だけでなく、家庭内での食事体験に新たな価値を提供することです。「献立の考案や調理の手間を省く方法」や「自宅でレストランや飲食店のような感動的な食事体験を提供する方法」などの要素が、今後重要となってくるでしょう。
食品D2Cでは、顧客の情報やデータを自社で管理できるため、販売の柔軟性が高まります。この記事を参考に、食品D2Cの特徴を詳しく知り、取り入れてみましょう。
※当社2024年1月実績
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