健康食品の販売には許可がいる?売る方法や資格・届出など必要なものを解説

category :  EC売上UP

update :  2024/08/22(木)

staff :  nakahara

効率よく栄養を摂取したい現代人は、普段の生活に健康食品を活用する方が増えています。また、この流れに合わせて健康食品を販売してみたい事業者や個人の方も多いでしょう。

サプリメントや粉末タイプの健康食品は常温で保存できるため、在庫管理のコストも抑えられ手軽に販売しやすい特徴があります。

しかし、健康食品は管理が手軽とはいえ食品に分類され、お客様の健康に直接影響を与えます。お客様はもちろん、自分の身を守るためにも、法律はしっかりと押さえておきたいところです。

この記事では、健康食品を製造・販売するときに気をつけてほしい法律について解説します。

健康食品の定義

健康食品の定義は、実はきちんと定められていません。ただし、一般的には「口から摂取するもののうち、健康の維持や増進の効果が期待でき、さらに医薬品に分類されないも」のを健康食品と指すことが多いようです。

健康食品と呼ばれる食品の中でも、国の基準を満たしている食品に関しては「保健機能食品」として認められ、保健機能食品制度が定められています。

健康食品の形状についても特に決まりはなく、生鮮食品からお菓子、飲料、サプリメント(錠剤・カプセル・粉など)と、かなり幅広いことが特徴です。

健康食品を製造・販売する際には、医薬品と区別が必要です。「健康食品は、医薬品のように病気の治療・予防・診断はできない」という点に注意し、以下の点に気をつけて販売しましょう。

  • 医薬品とみなされる成分を使用しないこと
  • 販売の際には、パッケージや広告において医薬品と誤解を与える表現をしないこと

上記を守っていない健康食品は「無承認無許可医薬品」とみなされて、医薬品医療機器等法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保 等に関する法律)に抵触するため、注意が必要となります。

出典:厚生労働省|いわゆる「健康食品」のホームページ

健康食品を販売するだけなら許可や資格は不要!

基本的に、日本の健康食品を販売するだけなら許可や資格、届出は不要です。健康食品を輸入して販売する際には、輸入する都度に検疫所へ届け出が必要です。

厚生労働省の資料によると「常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生のおそれがない包装食品」を販売する事業の場合は、営業の許可や届出も不要とあります。ほとんどの健康食品は常温で保存するため、許可や資格は不要の場合が多いでしょう。

ただし、自社で健康食品を製造する場合には、後ほど解説する営業届出や製造許可が必要です。不明点がある場合には事業所の管轄する窓口に相談しましょう。一般的には、事業所が設置してある都道府県や保健所に問い合わせることをおすすめします。

また、許可や届出が不要な健康食品においても、販売する際に注意するべき法律があるため、記事後半で解説します。

健康食品を販売する方法

健康食品を販売するには、「自社で製造して販売する方法」と「既存製品を仕入れて販売する方法」の2つに分かれます。ここでは、それぞれの販売方法について詳しく解説します。

自社で製造・販売する場合

健康食品を販売したいと考えるとき、多くの場合は自社で企画・開発・製造することになるでしょう。自社の施設において健康食品を製造する場合には、製造業の営業許可または届出が必要です。

健康食品をはじめとした食品の安全性を取り締まる「食品衛生法」によって、製造業の営業許可または届出が必要になり、営業許可が必要な場合には、製造施設の基準もクリアする必要があります。

自宅のような小さな事業所の場合、この施設基準をクリアするのが難しい場合もあります。製造業の許可を取得することが困難な場合には、OEM製造に委託する方法がおすすめです。

OEM製造とは、企画・開発は自社で行い、製造は外部企業に委託する方法のことです。製薬企業や食品メーカーがOEM製造の受託を行っていることが多いでしょう。すでに整備された施設で健康食品を製造してもらえるため、初めて健康食品を企画して販売したい方には安心な方法です。最近のOEM製造では、商品の成分や形から相談でき、マーケティングも一緒に行ってくれる企業もあります。

既存製品を販売する場合

既存製品を販売する方法としては、卸業者やメーカーから健康食品を仕入れて、自社の店舗や通販で販売する方法が挙げられます。ドラッグストアやスーパーマーケットの販売方法をイメージすると良いでしょう。

卸業者やメーカーから仕入れた健康食品を販売する方法は、安定した供給を受けることができる反面、利益率は低くなる傾向があります。また、まとまった数量を仕入れる場合が多いため、在庫スペースの確保や売れ残りのリスクも考慮する必要があるでしょう。

既存製品を販売する場合には、卸業者やメーカーと販売代理契約を結びます。仕入れ価格や仕入れの数量、競合商品の取り扱いについてなど、不利な契約内容のまま契約を結ばないようにすることが重要です。

また、海外の健康食品を輸入販売する場合には、輸入の届出をしましょう。海外の健康食品の中には、医薬品成分が混合されていたり、健康被害が報告されていたりするものもあります。医薬品成分を含む健康食品を販売することは、無承認無許可医薬品の販売に該当し、医薬品医療機器等法に抵触します。そのため、健康食品の輸入販売は慎重に行いましょう。

健康食品販売に関連する届出

健康食品販売の販売方法について、関連する届出や許可をご紹介します。

自分が販売したい健康食品にはどんな届出・許可が必要なのか、販売前に必ず確認しましょう。不明点があれば、事業所を管轄する保健所に相談してください。

食品営業届出

食品営業届出とは、令和3年から新しく創設された制度で、公衆衛生への影響が中程度の事業者に必要です。

食品販売をするにあたって欠かせない法律である「食品衛生法」ですが、時代の流れに沿って食品の安全性を確保するため、平成30年から少しずつ改正が行われてきました。そして、HACCPという衛生管理の制度化に伴い、公衆衛生に影響を与える可能性がある事業者に関しては、届出または許可が必要となりました。

対象 公衆衛生に与える影響が少ない(届出不要)と食品営業許可どちらにも該当しない事業者
届出先 事業所が管轄する保健所
要件 施設基準なし、更新も不要、廃業した場合には届出が必要

ちなみに、公衆衛生に与える影響が少ない届出不要の事業者は次のとおりです。

① 食品又は添加物の輸入業
② 食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、冷凍・冷蔵倉庫業は除く。)
③ 常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業
④ 合成樹脂以外の器具容器包装の製造業
⑤ 器具容器包装の輸入又は販売業

健康食品の販売業者の多くは③に該当する可能性が高いため、食品営業届出が不要なケースとなるでしょう。

参考:広島県公式
参考:厚生労働省

食品製造業許可

食品営業許可とは、公衆衛生に与える影響が大きい食品を販売する場合に必要な許可です。食品営業許可は従来から存在する制度でしたが、食品衛生法の改正に伴い令和3年に制度の見直しがされました。

食品営業許可の申請では、施設の図面提出やHACCPに沿った衛生管理の取り組みについて提出が必要です。

対象 厚生労働省が定めた32業種(飲食店営業、魚介類販売業、菓子製造業など)
届出先 事業所が管轄する保健所
要件 施設図面や水質検査結果の提出、HACCPに沿った衛生管理の取り組みについて提出

HACCPに沿った衛生管理の取り組みは事業者の規模によって異なりますが、基本的に以下の取り組みを実施することとなっています。

1.「一般的な衛生管理」「HACCPに沿った衛生管理」に基づいた「衛生管理計画」の作成と従業員への周知
2.必要に応じて、清掃・洗浄・消毒や食品の取扱い等について具体的な「手順書」を作成
3.衛生管理の実施状況の記録と保存
4.「衛生管理計画」「手順書」の効果の定期的な振り返りと内容の見直し

食品営業の届出や許可は、書類での提出だけでなく「食品衛生申請等システム」によるオンラインでの提出も可能です。

輸入届出

海外から健康食品を輸入して販売する場合、輸入届出が必要です。輸入届出は、食品(健康食品含む)や食品添加物、容器包装などが対象となります。

輸入届出を提出する際には、食品の種類に合わせた資料が求められます。例えば、加工食品では次の資料が必要です。

  • 製造者・品番・品名など日本に到着した貨物の資料であることが特定できる資料
  • 原材料表
  • 製造工程表
  • 放射線殺菌されていない旨が書かれた製造者からの書類
  • 検査機関が発行した試験成績書

輸入届出の内容を最寄りの検疫所で審査され、場合によっては検査が行われ、流通が認められた後に国内での販売が認められます。

対象 海外から輸入する食品・食品添加物・器具・容器包装・乳幼児のおもちゃ
届出先 最寄りの検疫所
要件  輸入品についての情報を提出、食品衛生法に適合している

輸入届出は、輸入方法に関係なく必要です。郵便で食品を輸入した際にも輸入届出が必要なため注意しましょう。

健康被害情報の届出

平成30年に改正された食品衛生法によって、厚生労働省が定めた指定成分等含有食品による健康被害が生じた場合に、健康被害情報の届出を提出するように義務付けられました。

指定成分は令和2年6月に最終更新され、現在は以下の4つの成分が定められています。

  • コレウス・フォルスコリー
  • ドオウレン
  • プエラリア・ミリフィカ
  • ブラックコホシュ
対象 厚生労働省が定めた上記4成分を含む食品
届出先 都道府県知事、保健所を設置する市の市長または特別区の区長
要件  指定成分等の含有量、健康被害者の受診情報などを提出

指定成分等食品以外の健康食品でも、摂取したお客様から思わぬ健康被害を訴えられる場合があります。販売側としてはお客様に対しては健康食品の使用を中止してもらい、まずは医療機関への受診を促しましょう。医師に健康被害と健康食品との関連性を判断してもらうことが望まれます。

令和6年には、厚生労働省より健康食品にまつわる健康被害の未然防止と発生時の拡大防止についての助言が通知されました。お客様の健康被害が健康食品のものと疑われる場合には、保健所・都道府県をとおして厚生労働省に報告することが求められています。

参考:岐阜県公式

自主回収の届出

令和3年より、食品等の自主回収を行なった場合には、保健所をとおして厚生労働省や消費者庁へ届出が必要となります。

自主回収をする判断は「食品衛生法に違反しているか、または違反の恐れがあるか」で行います。例えば、食品衛生法で制度化されているHACCPに沿った衛生管理がなされていない環境で製造販売された健康食品に関しては自主回収をする必要性が出てくるでしょう。

ただし、自主回収をした健康食品が、まだ倉庫に保管されていて販売されていない場合や消費・賞味期限を超過している場合には届出の対象から除外される可能性が高いです。

対象 食品衛生法に違反、または違反の恐れがある食品
届出先 事業所の管轄する保健所
要件 自主回収の理由や健康への影響などをまとめて提出

自主回収の届出は、食品営業許可と同じく「食品衛生申請等システム」によるオンラインでも提出できます。

健康食品を売るときに注意する法律

ここでは、健康食品を販売するときに注意するべき法律について解説します。届出や許可以外にも、お客様に誤解を与え不利益を与える販売方法をしないように、以下の法律には特に気をつけましょう。

不明点があれば、管轄の保健所に相談することをおすすめします。

食品衛生法

食品衛生法とは、食品の安全性を確保し、飲食による健康被害を未然に防止するための法律です。食品の中にはもちろん健康食品も含まれるため、健康食品の製造販売をする際に守る必要があります。

ここまでで解説してきた、食品営業許可・届出や輸入届出、健康被害情報の届出、自主回収の届出は、全て食品衛生法による制度です。

食品衛生法の中でも特に注意しておきたい制度に「HACCP(ハサップ)」があります。HACCPは衛生的で安全な食品を製造するための管理方法で、HACCPに沿った衛生管理ができていない食品製造業者は営業が認められないほか、健康食品の自主回収やクレーム、ロスが増える原因となってしまいます。

健康食品の中には公衆衛生の影響が少なく、営業許可や届出が不要なものもあります。ですが、販売を行う事業者は、食品衛生法を必ず理解しておきましょう。

参考:食品衛生法の法令

食品表示法

食品表示法とは、主に食品のパッケージ表示についての法律です。食品の健康被害の発生防止(食品衛生法)・品質の適正表示(JAS法)・国民の健康の増進(健康増進法)についての考えを統一した法律で、お客様が食品を自主的かつ合理的に判断して選択できるように定めました。

食品表示法では、食品の原材料、アレルゲン、栄養成分、消費期限や保存方法などを正確に表示することを義務付けています。「低〇〇」「〇〇ゼロ」「ノン〇〇」「〇〇無添加」などの強調表示についても細かく定められています。

また、健康食品のうち、特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品・機能性表示食品は保健機能食品と呼ばれ、「栄養や保健機能に関する表示制度」によって、栄養成分や食品の機能を表示することができます。

参考:食品表示法の法令

健康増進法

健康増進法は、国民の健康づくりや病気予防を推進するための法律です。健康診断の実施に関する指針や栄養調査・保健指導の実施、受動喫煙の防止などについて定められています。

健康食品に関連する事項としては誇大表示の禁止が定められており、事業者は健康食品のパッケージや広告の表示で注意すべき点を確認する必要があります。

健康増進法第 65 条第1項では、食品の広告やその他の表示に関して、著しく事実と相違する表示や誤解を招くような表示をしてはならない旨が記載されています。

例えば、健康食品にも関わらず「がんが治る」「生活習慣病を予防する」「糖尿病の人へ」「便秘改善」といった病気の改善・予防ができる表示は禁止されています。また「疲労回復」「若返り」「免疫向上」「脂肪燃焼」など、体や体の一部が変化したり状態が良くなったりする表現も認められていません。

参考:健康増進法の法令

医薬品医療機器等法

医薬品医療機器等法(別名:薬機法、薬事法)は、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と呼び、その名のとおり医薬品や医療機器について定めた法律です。

一見すると健康食品と関連性がないと思われますが、健康食品の成分や表示によっては医薬品医療機器等法に触れてしまう可能性があるため、製造販売時に注意が必要となります。簡単に言うと、成分や表示によって医薬品のような効果があると誤解を招く健康食品は「無承認無許可医薬品」に分類されてしまい、医薬品医療機器等法により罰則が与えられます。

例えば、次のような健康食品は「無承認無許可医薬品」に分類され、医薬品医療機器等法に抵触するでしょう。

  • 国内で医薬品として認められている成分を配合している
  • 医薬品のような効能効果を表示している(保健機能食品を除く)
  • 医薬品のように、摂取の対象者や摂取方法を決めてしまっている

成分については、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」が厚生労働省から公開されているため、健康食品を企画・開発・輸入する際に参考にしておきましょう。

参考:医薬品医療機器等法の法令

特定商取引法

特定商取引法は、事業者による悪質な勧誘行為などを防止するための法律です。

以下のような、消費者トラブルが生じやすい販売方法のルールを定めています。

  • 訪問販売
  •  通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供取引
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入 

特定商取引法はインターネットの通信販売も対象となるため、健康食品の販売をする際には押さえておくべき法律となります。広告の表示で必要な項目や禁止事項、クーリングオフなどについて定められています。

参考:医薬品医療機器等法の法令

まとめ

健康食品は、製造するときはもちろん、商品企画や輸入するときにも注意が必要です。また、広告を作成するときにも表現に気をつけなければなりません。

法律も世間のニーズによってどんどん改正されていきます。こまめにチェックしながら、安心安全を確保して健康食品を販売していきましょう。

 

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