必要なのは「母性」。ディレクターにキャリアチェンジした二人が大切にする心構え
案件に関わる社内外のさまざまなメンバーをまとめながら、目指すゴールに向けて指揮を執るディレクター。この職種には、「中立な姿勢」と「適切な距離感」、そして「母性」が必要だと二人は語ります。
物腰柔らかで客観的な視点を持つ二人が、ディレクターになったきっかけを振り返りつつ、仕事のやりがいやディレクターに必要とされる「コミュニケーション力」について語ります。
ほんちゃん
HON-chan
2018年4月新卒入社。制作サークル所属ディレクター、インストラクター。
会社説明会で社員に一目惚れしたことが入社のきっかけ。入社後は営業を経験し、2020年に名古屋支社立ち上げメンバーに大抜擢されたことが、ターニングポイントに。名古屋支社では営業だけでなく、採用や支社の細かな業務にも携わるようになり、改めて仕事の楽しさに気付く。2022年以降は支社長代理として名古屋支社をまとめ上げ、2023年10月よりディレクターに転身。
さき
SAKI
2021年4月新卒入社。制作サークル所属ディレクター、インストラクター。もともとはCA志望だったが、コロナ禍に伴う採用中止を受け、さまざまな企業に目を向ける中で、直感でピンときたこれからに入社。営業職に従事していたが、自ら希望して2022年夏にディレクター職へ異動。的確で明確な指示と物腰の柔らかいやり取りは、クライアントからの評判も良く、社内の信頼も厚い。福岡支社勤務。
営業職などを経て、自ら希望してディレクターに異動
ーまずは、お二人の経歴を簡単に教えてください。ほんちゃん:2018年に新卒入社後、東京で営業をしていました。2020年に名古屋支社の立ち上げメンバーとして声を掛けていただいて、名古屋に赴任して。2022年からは、名古屋支社長代理として支社をまとめる役割も担っていました。ディレクターになったのは2023年の10月からです。
さき:私も、キャリアのスタートは営業です。2021に新卒入社して、研修を経て営業に配属されました。ディレクターになったのは、入社2年目の夏からです。
ーディレクターになったきっかけは?
ほんちゃん:ずっと、ディレクションをやってみたかったからです。ディレクターは、案件をコントロールできる、責任のあるポジションだと思っていて。良くも悪くも僕しだいで、お客様のショップの今後を左右する仕事かなと。「サイト公開まで、自分で責任を持ってやりたい!」と思って、営業時代から自分でディレクションまで手掛けることもあったんです。そうする中で、シンプルにディレクションの仕事が好きだなと気付いて。以前から「ディレクターをやりたいです!」と上司に打診していたので、希望が叶いました。
さき:もともと、私が働いている福岡支社に同期でディレクター職の子がいたんですが、その子が2年目の夏に退職することになってしまって。当時から、支社にも必ずディレクターがいて、営業としても「支社にディレクターがいると、制作面の相談がしやすい」というメリットがあったので、「ディレクターがいなくなるのは困る…」という声が挙がっていたんです。そこで、「やりたいです」と手を挙げました。同期からディレクターの仕事についてよく話を聞いていたんですが、幅広く深い知識が必要で、かつお客様のことを考え尽くすディレクターの姿勢がかっこいいなと以前から思っていて。「お客様ともっと深いコミュニケーションを取りたい!」と思い、ディレクターへの異動を希望しました。
ーディレクターとしての担当案件は?
さき:常時10~15件の案件を担当しています。お客様の業種はさまざまですが、ShopifyというカートシステムでECサイトを構築する案件を担当することが多いです。
ほんちゃん:僕は、ディレクターになった当初は皆の案件にフォローで入ることが多くて、最近になってメイン担当の案件を持つようになったので、今は5件ほどです。
ーさきさんは、入社2年目でディレクターに異動後、どのように業務に慣れてきましたか?
さき:福岡支社には、当時私しかディレクターがいなかったので、最初は手探りで。インターネットや社内チャットで検索しつつ、自ら情報を取りに行っていました。ノウハウが蓄積され、調べずとも行動できるようになって、ディレクターとして社内外の人とスムーズにコミュニケーションを取れるようになってきたと感じられたのは、異動して半年ほど経った頃でした。
ーほんちゃんは、ディレクターに異動してみていかがでしたか?
ほんちゃん:前から自分の案件のディレクションをしていたし、そもそも僕が入社した頃はまだディレクターという職種が社内に無くて、営業全員が自ら受注後のディレクションを行っている時期もあったので、業務内容にギャップはありませんでした。ただ、今はディレクターとして、営業メンバーからパスされた案件のディレクションを行うので、案件に途中から入るという意味での難しさはあって。お客様は、これからのサービスや営業メンバーを気に入って発注してくれているわけなので、僕としては自己主張はしすぎずに、でも案件にうまく入り込んで、お客様をゴールに導いていくコミュニケーションスキルが問われると実感しています。
中立な姿勢で、適切な距離感を保つことも大切
ーずばり、ディレクターとして大切なことは?ほんちゃん:常に「中立」で居続けること。この姿勢は、揺らいじゃいけないと思ってます。営業とお客様の中で意見が異なったり、案件が進む中でお客様の考えや意見が変わってしまったりすることがあって。そのときに、僕が営業の味方になってしまうと、お客様の味方がいなくなりますよね。かと言って、契約いただいたサービスメニューの範囲内で期待に応えるためには、お客様の意見をただ肯定して従うだけでもいけない。だからこそ、心に「不動」という言葉を宿して、揺らがずに中立な姿勢で対応することを意識してます。
さき:ほんちゃんと少しニュアンスが似てるんですが、私は「距離感」を大切にしてて。営業さんともお客様とも、詰めすぎず離れすぎない距離感を意識してます。それは、お客様の課題や要望、そして案件のゴールを冷静に整理するためにも、その姿勢が必要だから。「お客様が本当にやりたいことは何か」を突き詰めることは、ディレクターにしかできない仕事じゃないかなと思ってるので、客観的な視点から、お客様の目指すゴールを一緒に見つけて設定するようにしています。
ーディレクターは、多数の関係者の調整役としてコミュニケーション能力が重要だと言われていますが、「コミュニケーション能力」を分解すると、どんな素養が必要?
ほんちゃん:ヒアリング力、聞く力です。ディレクターって、一見よく喋って提案するポジションに映るかもしれませんが、そうではなくて。むしろ、周りに「どう思ってるの?」って聞いて回るような役割だと思ってるんです。子どもが生まれてからすごく実感するんですけど、こちらがやりたいことと、相手が求めてることって違うからこそ、聞く力が大切で。正直、営業時代は、「このサイト、ここを改善した方がいいと思います!」と強く提案することが多かったんですが、今は「そもそも、何を求めて発注してくれたのか」や「どんな目的があって、ここを変えたいと思っているのか」を、お客様に聞くことを意識してます。こうした姿勢に必要な素養を一言で表すなら、「母性」ですかね。
さき:「母性」は大事ですよ。私なりに母性を分解すると、柔軟性と忍耐力ですかね。コミュニケーションは大事ですし、聞く力も大事なんですけど、聞いたときにお客様や社内メンバーから、自分が想像してなかったような答えが返ってくることもあって。そんな場合にも対応できる、引き出しの多さと柔軟性は必要だと思っています。「自分としてはこうしたい」という気持ちより、皆の意見を汲んで、相手に寄り添った提案を行う姿勢がディレクターとしては重要なので、そういった意味でも柔軟性と忍耐力の両方が必要だと思います。
ーディレクターにもKPIが設定されていますが、KPIはかなり意識している?
ほんちゃん:もともと名古屋支社全体の数字を管理する立場だったのもありますが、僕は自分の数字よりも、チーム全体としての目標達成を意識してます。ディレクターはもちろん、デザイナーやコーダーも含めて、メンバー皆が気持ち良く仕事をしてKPIを達成できることが一番だなと。なので、皆がKPIを達成するにあたって、必要な役回りを担おうと意識してます。
さき:私がディレクターとして一番大事にしているのは、お客様が本当に何を求めているのかを突き詰めて、案件に携わること。そうした意識で仕事をしていれば、別のサービスのお申し込みをしてくださったり、「さきさんになら任せたい」と追加の依頼をくださったりといった形で、数字は付いてくると思ってます。だから、数字を追うよりも、まずはしっかりと軸を持ってお客様に対応していくことが大事だと思ってます。
お客様の成功を支援できる、それこそが何よりものやりがい
ーディレクターとして印象的だった案件は?ほんちゃん:営業時代に初めてディレクションを担当した、ECサイトリニューアル案件です。リニューアル後すぐに売上が伸びてCVRも上がるという、ディレクターとして最高の喜びを実感できて。お客様からお礼の言葉をいただいたり、追加依頼をいただいたりしたこともうれしくて。初めてのディレクションでその経験ができたことで、僕はディレクションが好きになったんだと思います。最初は「無事にサイトを作り上げる」ことをゴールにディレクションを手探りで始めたけれど、その成功体験から、ディレクション業務の奥深さと醍醐味に気付きました。
さき:私は2つあって。1つは、ディレクター業務に慣れて、自信が付いてきたタイミングで、その自信をへし折られた案件です。というのも、自分なりにお客様のことを思ってプラスアルファのことをしたものの、それがお客様にとっては望んでなかったことで。それを機に、お客様とのコミュニケーションがすれ違ってしまったんです。かなり辛い経験でしたが、「自分がいいと思っていても、お客様が望んでいるとは限らない」という当たり前のことに改めて気付くきっかけになって、それからはお客様に対して『こういうことをプラスアルファでやるのはどうかと思っているんですけど、いかがですか?」と直接意見を聞くようになり、コミュニケーションにすれ違いが無くなりました。
もう1つは、レディースアパレルのお客様が自社ECを立ち上げる案件のディレクションを担当したときのこと。お客様と密にコミュニケーションを取りながら、どうすればゴールを達成できるだろうと考えてディレクションした結果、ECサイトオープン当日に2000万円の売上を上げられたことは嬉しかったです。
ーディレクターには、多様な知識が必要?
さき:デザイナーさんやコーダーさんは専門職ですが、これからのディレクターの中には未経験から一人前のディレクターになったメンバーも多いですし、実務を行う中で知識は自然と身に付くので、心配は無用だと思います。
ただディレクターは、おそらく社内の中でもっとも社内外の人とコミュニケーションを多く取るポジションなので、コミュニケーションスキルや、積極的にコミュニケーションを取ろうというマインドは必須だと思います。
ほんちゃん:もちろんあるに越したことはないですが、周りの人に声を掛けたり電話一本掛けたりすれば、いろんな人が教えてくれるので、そこまで高度な知識は必要ないかなと。むしろ、ディレクターとしてスキルアップしたい人に、これからはぴったりの環境だと思っていて。ECを立ち上げるお客様から、すでに成熟していて僕らよりECのノウハウを持っているようなお客様まで、多様なお客様のECサイト制作をサポートする機会がありますし、幅広いカートシステムを扱うからこそ、ディレクターとしての守備範囲が広がるからです。
ーこれからの魅力は?
さき:変化が多いところは特徴ですかね。若手のうちからさまざまな仕事を経験できますし、会社の方針と自分の希望と適性が合致すれば部署異動も叶えられます。新しいことにどんどんチャレンジしていこうという風土もあるからこそ、メンバーの一言がきっかけで新しいサービスが生まれることも。そうした風土は面白いと感じます。
ほんちゃん:自由度が高いところと、とにかく“いい人”ばかりなところ。優秀であるとか能力が高いというだけではなくて、接していて気持ちの良い、“いい人”がとにかく多いです。それが組織の風通しの良さや、役職関係無く“いい意味で”距離感が近いところに繋がっているのかなと。
ー最後に、お二人のキャリアビジョンは?
さき:私はディレクター職が好きなので、より大きな案件や、要件が難しい高難易度の案件にどんどん挑戦したいです。そして、案件で学んだことを社内にノウハウとして蓄積することで、周りにも還元できるディレクターになりたいと思っています。
ほんちゃん:これからでのキャリアの最終ゴールは、人事です。特に、新卒採用がやりたくて。僕はいい意味でこの会社に人生を変えてもらったので、自分もそうしたプラスの影響を誰かに与えたいと思うから。一方で、うちはカラーがある尖った会社なので、「これからより、他の会社に行った方が幸せになれるのでは」と思う子に、違う道を示すことも採用担当の役割だと思っていて。そうしたことに携われたらと思います。人生における夢は、カウンター5席とテーブル2つの、こじんまりとした小料理居酒屋を開くことです。
※2024年3月の情報です。
この記事は 倉本 祐美加 が書きました
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