無在庫販売とは|ネットショップでのやり方や仕入れ先、在庫を持たないメリットを解説
ネットショップを運営する上で、在庫管理は多くの事業者にとって大きな課題です。商品の在庫を抱えることは、売れ残りのリスクや保管スペースの確保など、さまざまなコストを生じさせます。そこで注目されているのが「無在庫販売」という手法です。
本記事では、無在庫販売とは何か、その具体的なやり方やメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。
無在庫販売とは
無在庫販売とは、商品を事前に自分で仕入れたり、在庫として保管したりすることなく、注文が入ってから商品を仕入れ、お客様に発送するというビジネスモデルです。商品を保管するための倉庫スペースや在庫管理の手間を省くことができ、個人や小規模なネットショップ運営者にとっては、初期投資を大幅に削減できる点が魅力です。
無在庫販売は、在庫リスクを回避しつつ、幅広い商品ラインナップを提供することが可能なため、効率的なビジネス展開を目指す多くの事業者に採用されています。
無在庫販売は初期投資や在庫のリスクを減らせるので事業規模が限定的なECにおいて有効な選択肢です。
無在庫販売のメリット
無在庫販売には、従来の在庫を持つビジネスモデルにはない多くのメリットがあります。以下では、その具体的な利点について詳しく説明します。
- 初期費用を抑えられる
- 在庫リスクが少ない
- 多様な商品を取り扱える
初期費用を抑えられる
無在庫販売の大きなメリットの一つは、初期費用を大幅に抑えられることです。通常、商品を仕入れて在庫として保管する場合、商品の購入費用に加えて、保管場所の確保や在庫管理のためのシステム導入が必要になります。
しかし、無在庫販売では商品を事前に購入する必要がないため、これらの初期費用をほとんど発生させずにビジネスをスタートすることが可能です。このため、資金が限られているスタートアップや個人事業主にとって、無在庫販売は魅力的なビジネスモデルといえるでしょう。
在庫リスクが少ない
無在庫販売では、在庫を持たないため、売れ残りや商品の陳腐化といったリスクを回避できます。在庫ビジネスでは、売れ行きが予想よりも低い場合、商品が売れ残り、最終的に値下げ販売や廃棄を余儀なくされることがあります。
しかし、無在庫販売では、注文が入ってから仕入れを行うため、必要以上の商品を抱えるリスクがなく、効率的な資金運用が可能です。これにより、在庫管理に伴う無駄なコストやストレスを減らすことができ、安定したビジネス運営を実現できます。
在庫を抱えるリスクを避けるはキャッシュフロー面から考えても重要です。
多様な商品を取り扱える
無在庫販売は、多様な商品を幅広く取り扱える点でも優れています。通常の在庫ビジネスでは、取り扱う商品の数を増やすと、それに伴って在庫管理の負担やリスクも増大します。
しかし、無在庫販売では在庫を持たないため、商品ラインナップを自由に拡充できるのが強みです。これにより、顧客のニーズに応じて迅速に商品を追加でき、市場の変化にも柔軟に対応することが可能となります。結果として、より多くの顧客層にアピールできるネットショップを構築できます。
ネットショップでの無在庫販売のやり方
無在庫販売をネットショップで成功させるためには、適切な手順を踏んで計画的に進めることが重要です。以下では、無在庫販売の具体的なやり方について説明します。手順は以下です。
- 販売する商品を決める
- 販売プラットフォームを選ぶ
- 仕入れ先を探す
- 販売プラットフォームに商品情報を登録する
- 集客活動を行う
1.販売する商品を決める
無在庫販売を始める際に、まず重要なのはどのような商品を販売するかを決定することです。この段階では、ターゲットとする顧客層を明確にし、そのニーズに合った商品を選ぶことが求められます。人気があり、かつ競合が少ないニッチな商品を見つけることが、成功のカギとなるでしょう。また、商品選定の際には、商品の供給元が信頼できるか、安定的に供給可能かどうかも確認する必要があります。
2.販売プラットフォームを選ぶ
次に、商品を販売するためのプラットフォームを選びます。プラットフォームによっては無在庫販売が禁止されている場合もあるため、事前に規約を確認することが不可欠です。また、使いやすさや費用、顧客サポートの充実度も考慮し、自分のビジネスモデルに最適なプラットフォームを選ぶことが重要です。
Shopify(ショッピファイ)
Shopifyは、無在庫販売に適したプラットフォームの一つであり、特にドロップシッピングをサポートする機能が充実しています。使いやすいインターフェースと豊富なアプリ連携により、初心者でも簡単にネットショップを構築できる点が特徴です。また、世界中で利用されているため、海外市場にもアプローチしやすいという利点があります。
BUYMA(バイマ)
BUYMAは、海外の商品を日本国内に紹介・販売することを得意とするプラットフォームです。無在庫販売を行う際に便利なのが、海外の商品を取り扱う際のハードルを低くする仕組みです。バイヤーとして登録することで、現地から直接商品を仕入れ、お客様に届けることができるため、国際的な商品の展開に向いています。
BASE(ベイス)
BASEは、簡単にネットショップを立ち上げることができる無料プラットフォームです。無在庫販売に対応しており、特に日本国内向けの販売に強みがあります。操作がシンプルで、ネットショップ初心者にも扱いやすいことから、多くの個人事業主や小規模ビジネスに利用されています。
makeshop(メイクショップ)
makeshopは、ECサイト構築に特化したプラットフォームで、カスタマイズ性の高さが特徴です。特に、国内市場に向けた本格的なネットショップを構築したい事業者に向いており、無在庫販売にも対応しています。豊富な機能を活用することで、より競争力のあるショップ運営が可能です。
自社ECとして取り組む場合、2024年ごろからShopifyを利用するユーザーが増えつつあります。
3.仕入れ先を探す
無在庫販売では、信頼できる仕入れ先を見つけることが成功のポイントです。仕入れ先は商品の品質や供給スピードに直結するため、慎重に選ぶ必要があります。取引実績や評判、サポート体制を確認し、長期的に安定した関係を築けるパートナーを選びましょう。
また、価格交渉や納期の確認も、仕入れ先選定の際には重要なポイントです。
4.販売プラットフォームに商品情報を登録する
仕入れ先が決まったら、販売プラットフォームに商品情報を登録しましょう。商品情報の登録は、顧客にとっての購入判断に直結するため、詳細な説明や高品質な画像を使い、商品の魅力をしっかりと伝えることが重要です。また、SEO対策を意識してキーワードを適切に盛り込み、検索結果で上位に表示されるよう工夫することも必要です。
5.集客活動を行う
最後に、ネットショップへの集客活動を行いましょう。集客活動は、売上を伸ばすための重要な要素です。SNSの活用や広告の出稿、メールマーケティングなど、さまざまな方法でターゲット層にアプローチしましょう。
また、SEO対策を強化して自然検索からの流入を増やすことも、長期的な集客には効果的です。定期的に効果を分析し、改善を重ねることで、より多くの顧客を引き付けられます。
集客施策は非常に重要です。Google広告・Meta広告などのWeb広告を活用してください。
無在庫販売のデメリット
無在庫販売には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。以下に、その主なデメリットを詳しく解説します。
- 納期が長くなる場合がある
- 仕入先の在庫に販売状況を左右される
- 品質管理が難しい
納期が長くなる場合がある
無在庫販売では、商品を手元に持っていないため、注文が入ってから仕入れ先に発注し、その後、仕入れ先から商品が顧客に届けられる流れになります。このプロセスには時間がかかることが多く、結果として納期が長くなる場合があるでしょう。
顧客が迅速な配送を期待している場合、納期が遅いことは大きな不満となり、リピート率の低下やクレームの原因となる可能性が高いです。特に競争が激しい市場では、納期の遅れが競争力を損なう要因となるため、事前に納期について顧客に正確な情報を伝えることが重要です。
顧客への配送が遅いことは購入率が下がる要因となります。配送期間で多い期間は3日前後であることをあらかじめ認識しておきましょう。
仕入先の在庫に販売状況を左右される
無在庫販売では、商品を自分で保管していないため、販売の成否が仕入先の在庫状況に大きく依存します。仕入先が在庫を切らしている場合や、急な価格変動が発生した場合、自分の販売計画が大きく狂う可能性があります。
特に、仕入先の在庫が不安定である場合、販売機会の損失や価格設定の不安定さにつながり、結果的に顧客満足度の低下を招くことになるでしょう。価格変動リスクについても同様に、仕入れ価格が突然上がると、利益率が減少し、事業全体に影響を与える可能性があるため、リスク管理が求められます。
品質管理が難しい
無在庫販売では、商品が手元にないため、品質管理が困難です。仕入れた商品が顧客に直接送られるため、商品の品質を自分で確認することができず、品質に問題があった場合、顧客からのクレームにつながるかもしれません。
さらに、クレーム対応にも時間がかかることがあり、顧客からの信頼を失うリスクが高まります。特に、商品が海外からの仕入れである場合、品質基準が異なることがあるため、事前に仕入れ先の信頼性を十分に確認することが重要です。クレーム対応が遅れると、ブランドイメージに悪影響を及ぼし、リピート購入や口コミにも悪影響が出ることが考えられます。
無在庫販売が向いている商品・サービス
無在庫販売を成功させるためには、取り扱う商品の選定が重要です。以下では、無在庫販売に向いている商品やサービスについて詳しく紹介します。
- 価格帯の低い商品
- 返品率が低い商品
- 仕入れ先の安定供給が期待できる商品
- 顧客のニーズが安定している商品
価格帯の低い商品
無在庫販売においては、価格帯の低い商品が特に向いています。例えば、アクセサリーやスマートフォンケース、消耗品などが該当するでしょう。これらの商品は比較的手頃な価格で、消費者が購入を検討する際のハードルが低いため、売れやすい傾向があります。
また、価格が低い商品であれば、万が一売れ残った場合でも在庫リスクが少ないため、無在庫販売に適しています。一方で、高額商品になるほど売れ残りのリスクが高まり、在庫を抱えるビジネスモデルでは負担が大きくなるため、無在庫販売では避けたほうが良いでしょう。
返品率が低い商品
無在庫販売では、返品率の低い商品を選ぶことが重要です。例えば、本や文房具、日常的に使用する雑貨などが該当します。これらの商品は、使用後に不満が出にくいため、返品のリスクが低く、無在庫販売において安心して取り扱えるのがメリットです。
返品が少ないことで、返金手続きや商品の再発送などの手間を減らすことができ、運営コストの削減にもつながります。また、顧客満足度を維持しやすいという点でも、返品率の低い商品は無在庫販売に向いています。
仕入れ先の安定供給が期待できる商品
無在庫販売では、仕入れ先からの安定供給が期待できる商品を選ぶことが重要です。例えば、定番のファッションアイテムやシーズンを問わず販売できる消耗品などが該当します。
これらの商品は、常に一定の需要があり、仕入れ先が安定して供給できる体制を持っている場合が多いため、無在庫販売でも在庫切れのリスクを最小限に抑えられます。また、仕入れ先が信頼できることで、急な需要の変動にも対応しやすくなり、販売機会を逃すことが少なくなるでしょう。
顧客のニーズが安定している商品
無在庫販売では、顧客のニーズが安定している商品を取り扱うことも成功のポイントです。例えば、日用品や衛生用品、季節を問わないベーシックなアパレルアイテムなどが挙げられます。
これらの商品は、季節やトレンドに左右されにくく、年間を通じて一定の需要が見込めるため、在庫を抱えない無在庫販売に適しています。ニーズが安定している商品を扱うことで、売上を安定させることができ、ビジネスをスムーズに運営することが可能です。
まとめ
無在庫販売は、在庫を抱えるリスクや初期費用を大幅に抑えながら、効率的にネットショップを運営できる魅力的なビジネスモデルです。特に、価格帯の低い商品や返品率の低い商品、仕入れ先の安定供給が期待できる商品を選ぶことで、メリットを最大限に活用することが可能です。
しかし、納期の遅れや品質管理の難しさといったデメリットにも注意しなければなりません。無在庫販売を成功させるためには、商品選定から販売プラットフォームの選択、そして仕入れ先の選定まで、細かな戦略と計画が求められます。
無在庫販売はリスクを低減しつつ、柔軟で多様な商品展開が可能なビジネス手法なため、より多くの顧客にリーチし、ビジネスを拡大させるチャンスが広がります。自分に合った商品やサービスを選び、戦略的に運営することで、無在庫販売を成功に導けるでしょう。
※当社2024年1月実績
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