ECコンサルタントとは?失敗しない選び方と導入が必要になるケース

category :  EC売上UP

update :  2022/03/31(木)

staff :  yamada

ECサイト運営に関わる様々な課題を解決するのがECコンサルタントです。しかし、ECコンサルタントの業務範囲は業者ごとに異なり、選び方を間違えると課題解決につながらず失敗をしてしまいます。

そこで今回は、ECコンサルタントの業務範囲・内容、選び方、ECコンサルタントが必要になるケースを解説。さらに、ECコンサルタント選びで失敗するケースについてもご紹介します。

ECコンサルタントとは

ECコンサルタントとは

ECコンサルタントとは、ネットショップに代表されるECサイト運営で生まれる様々な悩みの解決をサポートする人材です。基本的に「お客様のECサイトの売上・利益のアップ」がECコンサルタントに求められる、大きなミッションとなります。

実際に「ECサイト出店・出品した/自社サイトを立ち上げたけれど、売上が上がらない」というのは、多くの運営者が抱える悩みです。

他にも「集客で困っている」「人手が足りない」などの悩みに対して、ECコンサルタントは「課題の発見・解決」「改善のための企画・提案」「各種業務の代行」など様々なサービスを提供します。

ECコンサルタントの業務範囲・内容

ECコンサルタントの業務範囲・内容は、以下の4つに大別できます。

  • ・戦略・施策立案
  • ・運用・制作代行
  • ・数値の分析
  • ・組織・商品の育成

上記は、ECサイト運営者が抱える悩みに対応しており、それがそのままECコンサルタントの業務範囲・内容となっています。ただし、これら全ての業務範囲をカバーするECコンサルタントは少ないため、業者選びの際は注意が必要です。

戦略・施策立案

戦略・施策立案では、ECサイトの売上アップを目指すための、アイデアと道筋を考えます。

適切な戦略・施策立案のためには、3C分析(市場・競合・顧客分析)と、自社分析(自社の強みや貴社が抱える課題の分析)が必要です。

なお、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのモールへの出店・出品は、サイト構築や保守作業が不要な点がメリットです。一方、各モールごとにシステムや細かいルールが異なるため、それぞれに合わせた戦略・施策立案が求められます。実際に、各モールに特化したコンサルティングを実施する業者も多く存在します。

運用・制作代行

ECビジネスに乗り出したいものの、ECサイトの制作、構築、運用のノウハウを持たない企業も多いです。そんな企業に対して、ECコンサルタントがおこなう代行業務は以下の2つです。

  • ・運用の代行

ページ作成、サイト更新、バナーの制作など、ECサイトの運用業務を代行するサービスです。制作会社や広告代理店が入る場合、提案内容の確認や折衝、ディレクションも担います。

  • ・制作の代行

ECサイトやクリエイティブの制作を代行するサービスです。制作会社は基本的に指示通りのものを作るのに対して、ECコンサルタント経由での製作では、ノウハウに基づいて、最適なデザインや仕様を提案してくれます。

数値の分析

ECコンサルタントは、KPIと呼ばれる数値指標を用いて、現状把握や課題分析をおこない、さらに目標の設定にも活用します。ECサイト運営においては、以下の要素における数値を分析します。

  • ・広告

ECサイトの集客に広告を利用している場合「広告から何人の集客があったか」など、その効果を確かめるために数値分析が実施されます。新規ユーザー/リピーター比も、広告効果を知るための指標の1つとなります。

  • ・SNS

ECサイトや商品をSNSで紹介している場合、フォロワーやファンの数をチェックすることで、人々の関心度を測ります。LTV(ライフタイムバリュー=1人の顧客が一生のうちにもたらす利益の数値)が低い場合には、フォロワーやファンをさらに生み出す施策を考えます。

  • ・メルマガ(メールマガジン)

メルマガの登録者数は、集客やリピーターを分析する指標の1つとなります。メルマガから購買へ至った率、メルマガを購読解除した数などの数値を通じて、メルマガの効果を検証します。

  • ・Webサイト

滞在時間、直帰率、平均ページビュー、平均セッション継続時間、UU(ユニークユーザー)などの指標から、ウェブサイトにおけるユーザーの動向をチェックします。ECサイトに興味を持たれているか、ユーザーが使いづらさを感じていないかなどを知る指標となります。

  • ・LP(ランディングページ)

ランディングページは、広告や検索結果を経由したユーザーの訪問先となるページです。ここでも滞在時間、直帰率、平均ページビュー、平均セッション継続時間などを通じて、ユーザーの動向をチェックしますが、さらに、ランディングページで実際に行動を起こしたユーザーの割合を示す、コンバージョン率の数値も重要となります。

  • ・カート

ユーザーが商品をカートに入れたものの、購入せず離脱した割合(カート離脱率)をチェックします。カート離脱率が高い場合は「購入まで手間がかかりすぎる」「送料が高い」など、ユーザーの商品購入を妨げる要因が隠れていることが疑われます。

組織・商品の育成

ECコンサルタントの中には、外部顧問として、組織や商品の育成を担う業者もあります。将来的にECサイトの内製化や自走を目指す企業に適したサービスと言えるでしょう。

組織の育成

顧問型のECコンサルタントが、ECサイト運営のノウハウを持つ担当人材を育成します。

ECサイト運営の自社内製化を目指す企業にとってはメリットが感じられる一方、実際に内製化の体制がスタートするまでに時間がかかる点はデメリットです。

「社内にECサイト運営のノウハウを教育できる人材がいない」「人材がいても、他の人に教える時間が取れない」「うまく教えられる自信がない」といった企業に適しています。

商品の育成

アイデアの段階から商品を見直し、3C分析等に基づいて、商品の品質改善や、別角度からの魅力のアピールを実施します。

自社商品を扱っていない場合は、競合商品との比較から、売れる商品を見極めて、その選定をサポートします。

商品の多角的な見直しを通じて、売れ筋商品の育成・選定ができる点はメリットですが、想いの強い自社商品のコンセプトが変化する可能性がある点はデメリットです。

「自社商品の売り上げが伸びない」「売れ筋商品を作って自走を目指したい」といった企業に適しています。

ECコンサルタントが必要になるケース

ECコンサルタントは、新規でECビジネスを立ち上げる際に、きちんとした戦略に基づくスタートアップを支援します。また、既存ビジネスの売上アップや改善を目指す際は、課題の発見とそれに基づく政策を提案します。いずれの場合も、ECサイト運営のノウハウのある人材がいないケースでは、ECコンサルタントに頼った方が成功の確率は高くなります。

新規でECビジネスを立ちあげたい

ECビジネスの立ち上げには、ノウハウを持ち、適切な分析を通じた戦略を描ける人材が不可欠となります。

しかし、特に中小企業の場合、社員がEC業務と他の業務と兼任しており、専任の担当者がいないケースも多いです。ノウハウを持つ人材がいて、やるべきことが分かっていても、運用に必要な人材の数が不足しているケースもあります。

立ち上げの段階でECコンサルタントに頼んでおくと、あらかじめ売れない要因を取り除くことができ、ECビジネスの円滑な立ち上げが期待できます。

ECサイトで確実に売上を伸ばし、社員の負担を軽減するためにも、スタートアップの経験が豊富なECコンサルタントに依頼することがベターです。

既存ビジネスの売上アップ・改善したい

ECサイトを立ち上げたものの、売り上げが伸びずに困っているという企業は多いです。あるいはかつては売れていたのに急に売れなくなった、というケースもあります。

特に、社内にノウハウを持つ専任担当者がいない場合、問題がいつまでも解決しない可能性が高いです。

また、人手が足りずECサイトの保守運営作業や、SNS・広告などの施策が滞ると、これも売上に悪影響を及ぼします。

このような悩みに対しては、売上のアップ・改善に実績のあるECコンサルタントに依頼することがベターです。

ECコンサルタントの選び方

ECコンサルタントを選ぶ際の主なポイントは「実績」「業務範囲」「価格」「担当者の対応力」の4つです。これらのポイントをバランスよく見ることが大切で「価格が安いからこの業者」など、極端な選び方は避けましょう。

実績で選ぶ

ECコンサルタントを選ぶ際は、豊富な実績を持つ業者のほうが安心です。しかし、単に実績が豊富であれば良いのではありません。

実績を見ると、そのECコンサルタントの得意分野を知ることができます。その中から、特に自社と同じチャネルや、似た業界・業種、商品で実績を出している業者を選べば、結果の出るコンサルティングが期待できます。

例えば、自社サイトを運営する企業が、モール運営のノウハウしかないECコンサルタントに依頼したり、越境ECで海外市場を目指す企業が、国内EC経験のみのECコンサルタントに依頼しても、望む結果は得られないでしょう。

業務範囲で選ぶ

現在、国内には多くのECコンサルタントが存在しており、業務範囲、対応チャネル、得意領域も業者ごとに異なります。そこで「自社が抱える課題を得意領域とするECコンサルタント」を選びましょう。

社内に集客ノウハウのある人材がいない企業であれば「集客支援を得意領域とするECコンサルタント」、SEOに詳しい人材がいない企業であれば「SEO対策を得意領域とするECコンサルタント」といったように、自社の課題解決が期待できるECコンサルタントを選んでください。

どんなに広い業務に対応し、実績を上げているECコンサルタントを選んでも、自社が抱える課題とマッチしない場合は、課題解決にはつながりません。

価格で選ぶ

ECコンサルタントを価格で選ぶ際は、相場を意識して、適正価格の業者を選びましょう。

費用が高すぎる場合は、不要なサービスやオプションが含まれている可能性も考えられます。また、費用が安すぎる場合には、担当者が多数の案件を抱えており、迅速で細やかなサービスを受けられない恐れが考えられます。どんなに費用が安くても、良質な戦略や顧客アップ、業務改善など、確かな効果が得られなければ、意味はありません。

これを前提として、大きな予算を割くのが難しい中小企業などの場合は、ECコンサルタントを相談役(アドバイザー)として活用し、実際の改善や施策は自社で行うことでコストを抑える方法が考えられます。

一方、大きな予算を割くことができる大企業などの場合は、ECサイト運用をワンストップで担えるECコンサルタントを選ぶことで、効率的でコストパフォーマンスの高い運用が期待できるケースがあります。

担当者の対応力で選ぶ

ECコンサルタントを担当者の対応力で選ぶ際は、疑問・問題・要望にしっかり耳を傾けて、スピーディーに対応してくれる業者を選びましょう。

また、難しい専門用語ではなく、なるべく平易な言葉を使用するECコンサルタントならば、ノウハウや知識のない企業でも、スムーズなコミュニケーションが期待できます。

特に、ECサイト運営のノウハウやリソースがあまりなく、ECコンサルタントに頼る割合が高い企業であれば、対応力の高い担当者がいる業者を選ぶことがベターです。

なお、初回担当者に好感をもっても、以降、その人が担当するわけではないケースもあります。実際の担当は誰になるのか、依頼前に確認しておきましょう。

ECコンサルタント選びで失敗するケース

ECコンサルタント選びの失敗ケースとして多いのが「自社の課題に対応できるECコンサルタントを選べていなかった」というものです。

失敗の大きな原因としては「自社の課題が適切に把握できていなかったこと」「ECコンサルタントの業務範囲を確認できていなかったこと」が挙げられます。

ECコンサルタントにはそれぞれ強みがあり、できる業務が限られているのが普通のため「頼めば、どんな業務も丸投げできる」と考えるのは間違いです。

このようなトラブルを避けるためにも、契約時に、業務範囲を明確にしておくことが大切です。

 まとめ

国内におけるEC市場規模(消費者向け電子商取引の市場)は、2020年に19.3兆円となりました。2013年と比較すると、6.1兆円も市場が拡大したことになります(※)。

このようにEC市場は活況を呈する一方、競争は激化しており、着実な集客・売上アップのためには、客観的な課題分析に基づく、戦略立案・実行が不可欠です。社内にノウハウを持つ人材がおらず、集客・売上が伸び悩む場合はもちろん、運用・制作の人手が足りなかったり、組織や商品を育てたい場合も、ECコンサルタントの利用を検討すると良いでしょう。

ECコンサルタントに依頼する際は、担って欲しい業務範囲・内容を明確にした上で、お使いのECサイト(チャネル)のコンサルティング実績を持つ業者を選んでください。

(※ 経済産業省 )

参考:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000029558.html

参考:

https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html

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