Eコマースとは|その意味や市場動向・業種別のECサイトの例を紹介
インターネット環境が整備され、スマートフォンが普及した現在、「Eコマース」は、商品・サービス販売に欠かせない手段となっています。
今回は、Eコマースの意味や市場規模、Eコマース事業のメリット・デメリットや販売形態、事業の始めかたについて解説します。また、Eコマースのサイト事例を業種別にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Eコマースとは
Eコマースとは、電子商取引(Electric Commerce)を意味する言葉です。具体的には、インターネットを利用して実施される物・サービスの売買、決済、契約が該当します。なお、「EC」も、Eコマースと同じ意味の言葉です。
Eコマースの分かりやすい例として、Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場などのネットモール(モール型EC)が挙げられます。これらのネットモールは、企業と消費者が取引をするBtoC向けサービスです。
このほか、消費者同士が取引するメルカリやYahoo!オークションなどのCtoC向けサービス、さらにBtoB(企業間取引)向けのネットサービスなどもEコマースを利用した事業です。
Eコマースの市場規模
Eコマースの市場は、国内外を問わず規模が拡大し続けています。
Eコマース市場においては、国境を越えて各国のユーザーが商品を購入し合っているため、日本だけでなく世界のEコマース市場動向についても知っておくことが得策です。
日本のEコマース市場
日本のEコマースの市場(物販系分野のBtoC市場)は、以下のように右肩上がりの成長を見せています。
出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
日本のEコマース市場が拡大し続ける理由は、「商品や価格を納得いくまで比較できる」「営業時間を気にせずショッピングできる」といった利便性が、ユーザーの中に少しずつ浸透してきた結果だと考えられます。
さらに、近年では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による巣ごもり需要などもEコマース市場の拡大を後押ししました。
なお、日本のEコマース市場(物販系分野のBtoC市場)では「食品、飲料、酒類」「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」「衣類・服装雑貨等」「生活雑貨、家具、インテリア」「書籍・映像・音楽ソフト」の売り上げが上位を占めています。
世界のEコマース市場
Eコマース市場は世界全体で見ても拡大傾向にありますが、半分以上(52.1%)のシェアを占めるのが中国、次いで19%を占めるのがアメリカです。
出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
日本は、世界のEC市場シェアでは4位ですが、トップ2カ国(中国・アメリカ)とは国境を越えてEコマースを実施しています。
出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
上記の図によると、日本から中国・アメリカへの購入額は低い一方、中国から日本への購入額は2.1兆円以上、アメリカから日本への購入額は1.2兆円以上と多額の売り上げがあることがわかります。
メイドインジャパン製品は現在も海外において人気が高く、中国やアメリカを対象にした越境ECは、今後も大きなビジネスチャンスが見込めるでしょう。
Eコマースの事業のメリット
Eコマース市場が拡大しているのは、実店舗販売にはない様々なメリットが存在するからです。以下、E コマース事業の主なメリットを3点ご紹介します。
全国や海外に展開できる
実店舗を全国あるいは海外に展開する場合、様々な手間がかかります。
具体的には、地域ごとの類似商品の売れ行き等のリサーチ、土地・物件探し、スタッフ集め、マーケティング展開などがあり、さらにそれらを管理する業務も求められます。場合によっては、地域拠点や支社の立ち上げなども必要です。
一方、Eコマース事業であれば、全国・海外展開の手間がなく、地理的な制約もありません。
国内展開に展開すれば全国どの地域からも注文がくる可能性がありますし、言語や決済などの課題をクリアすれば海外(越境EC)展開も可能です。
顧客データを活用しやすい
実店舗運営でも顧客データは蓄積されますが、店員とのやりとりやアンケートなどアナログな情報も多く、活用が難しい側面もあります。
一方、インターネットを利用するECコマース事業では、年齢・性別、購入商品の記録をはじめ「要望・レビュー・問い合わせ」「ウェブサイト・SNSからの流入」「訪問しやすい日時」など、行動を含む様々な顧客データを、デジタルで蓄積することが可能です。
デジタル化された顧客データなら分析や活用もしやすいため、売上アップの施策を考える上でも大いに役立てられます。
諸経費を削減できる
Eコマースを利用することで、インターネット上で商品の販売が可能です。実店舗が不要なため、実店舗の維持・運営にかかる経費(家賃、光熱費、人件費など) を削減できます。
これから販売をはじめる方で「できる限り経費を抑えたい」という場合も、Eコマースの利用には大きなメリットがあるといえるでしょう。
Eコマースの事業のデメリット
Eコマース事業には大きなメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在します。以下、Eコマース事業の主なデメリットを3点ご紹介します。
商品の魅力を伝えるのが難しい
Eコマース事業の場合、実店舗での販売に比べ商品の魅力を伝えるのが難しい面があります。実店舗のように商品を手に取ることができず、リアルタイムに接客できないケースも多いからです。
その結果、クレームや返品につながる恐れもあるため、事業者は、文章・画像・動画などを用いて、わかりやすく詳細に商品説明することが求められます。
近年では、リアルタイムの動画配信で商品紹介する「ライブコマース」を実施する企業も増えており、工夫次第でこのデメリットを克服できる可能性は十分あります。
配送に関するトラブルが起きやすい
店舗購入ではその場で商品が受け取れますが、ECコマースでの販売の場合、配送に時間がかかります。国内配送では数日、海外配送では数週間程度かかる可能性があるため、その点が自社のレビューや評価を下げる要因となりかねません。
このようなデメリットに対しては、できるだけ円滑な発送を心がけたり、注文の多い地域の倉庫を利用して在庫を置いたりするなどの対策が考えられます。
ITの知識がないと集客ができない
ECコマースで商品販売する用意を整えても、自動的に集客できるわけではありません。Eコマースにおける集客では、広告出稿、SNSによる宣伝、SEO(検索エンジン最適化)対策など、様々な施策を講じる必要があります。こうした施策にはIT・Webの知識が不可欠です。そのため、IT・WEB知識の有無が集客数に直結することもデメリットの1つです。
現在、自社にIT人材がいない場合は、Webコンサルティング会社を利用したり、ITに詳しい人材を雇ったりすることが望ましいでしょう。
ECコマースの販売形態
Eコマースも販売形態は「モール型EC」「自社型EC」に大別できます。ECサイトを自社制作する「自社型EC」に対して「モール型EC」は自社制作が不要。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
種類 |
メリット |
デメリット |
モール型EC |
・ECサイトの制作が不要 ・すぐにEコマース販売がスタートできる ・集客力がある |
・売上が大きくなると手数料なども増える ・価格競争が激しい ・詳細な顧客情報が得られない |
自社型EC |
・ECサイトを好きに構築/デザインできる ・手数料/出店料などが発生しない |
・集客戦略が必要 ・売上が安定するまで時間がかかるケースがある ・ フルスクラッチなどでは構築費用が高額 |
モール型EC
モール型ECは、複数のショップあるいは商品を扱う大型のECサイトです。例えば、Amazon、楽天市場、Yahoo ショッピングなどが該当します。
自社ECサイトを制作せず、商品の出品(登録)だけで簡単にEコマース販売がスタートできるのが大きなメリット。サイトそのものの知名度が高いため、商品が人目に触れる可能性も高いです。
ただし、モール型ECサイト内では、同一商品を複数のショップが出店しており、激しい価格競争が行われているケースが少なくありません。商品が人目に触れても価格競争に勝てなければ、売れない可能性も高くなるでしょう。
また、自社型ECと比較して、詳細な顧客情報が得にくく、売上アップの施策立案がしにくい面もあります。さらに、突然サービスが終了するリスクがあることも懸念点です。
そんなモール型ECサイトは、初期費用を抑えてすぐにEコマース販売をスタートしたい方、価格競争で勝負できる方などが向いています。
自社型EC
自社型ECは、自社でドメインを取得し、制作・運営するECサイトです。
自社型ECの制作方法には、ソフトを購入してECサイトを構築する「パッケージ」、システムやデザインを一から作る「フルスクラッチ」などがあります。
いずれも、モール型ECと比較してデザインやシステムの自由度が非常に高く、ブランディングする上での制約がありません。また、詳細な顧客情報も入手しやすいのもメリットです。
ただし、安価なASPやオープンソースを利用する方法もありますが、保守・運営の手間や諸経費はかかります。また、フルスクラッチにかかる費用は莫大になることが一般的です。さらに、いずれの場合も、サイトの保守運営・サーバー代などの費用が永続的にかかるなど費用面でのデメリットが大きいといえるでしょう。
そんな自社型ECは、ECサイトの独自性やオリジナリティを打ち出したい方、売上が安定するまである程度の時間がかかっても良い方などが向いています。
【業種別】Eコマースのサイト事例
Eコマースで商品販売する場合、販売する商品のイメージに合ったECサイトを制作することが大切です。ここでは、ファッション系、雑貨・家具系、食品系、美容・健康系のECサイト制作事例をご紹介します。
ファッション系
出典:https://www.san-onlinestore.com/
兵庫県尼崎市に所在するsAn ONLINE STOREでは、ヘアアクセサリーやピアス・イヤリングなどを扱っています。
商品そのものの画像だけでなく、商品を身に着けたモデルの画像なども豊富に掲載し、ハイセンスなカタログのような印象。コーディネート(着用例)をわかりやすく提示する点も、ファッション系 ECサイトの大きな特徴です。
雑貨・家具系
東京都台東区に所在するFLOWERiUMは、贈答品のフラワリウムなどを扱っています。
雑貨系ECサイトでは、「どのようなギフトを取り扱うか」「どんなギフトがおすすめか」といった点をはじめ、花言葉や色から商品が探せるなど、「プレゼントを送る側に役立つコンテンツ」が用意されているケースも少なくありません。
食品系
出典:https://safaricurryshop.com/
東京都中野区に店舗を構えるサファリカレーショップは、カレーキットやスパイスを扱っています。
シンプルなデザインと原色を上手に利用した配色、そして食欲をそそるような商品画像が特徴的です。トップ画像であえて作り手の顔を出し、商品に対する安心感を高める手法も食品系ネットショップでは珍しくありません。
美容・健康系
出典:https://mybeautydiary-onlineshop.com/
東京都中央区日本橋に所在するmy Beauty Diaryは、美容パックなどを扱っています。
サイトは白を基調にすることで清潔感のある印象。お悩みや使用シーンに合わせ、自然に商品を絞り込むことができるのも、美容・健康系ネットショップならではの特徴といえるでしょう。
Eコマースの事業を始める方法
Eコマース事業をスタートするためには、以下のようなステップを踏む必要があります。
- 扱う商品を決める
- 事業計画を立てる
- 販売チャネルを選ぶ
- ECサイトを制作する
扱う商品には、自社商品・既存商品も含め様々な選択肢があります。流行や市場、規模を調査した上で、扱う商品を決定してください。
次に、商品をどのように売るかという事業計画を立てます。売上目標と達成までの期間、メイン顧客、ブランドコンセプトなど、多角的に事業計画を立てるとよいでしょう。
さらに、商品をどのようなチャネルで販売するか考えなければなりません。モール型ECと自社型ECのどちらにするか、あるいは両方のチャネルで販売するか、どのサービス・パッケージを利用するかといった点を決めていきます。
自社型ECを選んだ場合は、ECサイトの制作を始めます。サイト制作・運営・施策を自社で実施するか、アウトソースするかなど、人材や予算なども考慮して決定してください。
なお、Eコマース事業をスムーズにスタートさせたい場合は、実績やノウハウの豊富なWebコンサル会社やWeb制作会社に依頼するのも良い方法です。
まとめ
Eコマースにはいくつかのデメリットはありますが、売り手企業と消費者双方に大きなメリットをもたらすため、需要が年々高まっており、国内外のEコマース市場は右肩上がりで成長を続けています。
市場が大きくなれば、それだけ競合も増えますので、さらなるブランディングやショップの魅力アップ、ターゲットを絞り込んだ商品選定など、消費者目線に立った施策を展開することが大切です。今回ご紹介した内容を参考にしていただき、Eコマース事業を成功に導くことをおすすめします。
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