ECサイト制作の手順|自作と制作会社のメリット・デメリットや作成期間と構築費用の目安も
株式会社これからの取締役。 2004年、IT系上場企業に新卒入社。ECサイトのコンサルティング営業に従事。 その後、株式会社これからに創業メンバーとして参画し、取締役就任。 小規模ショップから東証1部上場企業まで、500社以上のECサイト戦略について支援。 自社ECサイト支援で業界トップクラスの実績を誇る。 年間100回以上のECセミナー登壇や大規模展示会での講演多数。 書籍「図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)の執筆も手がける。
「ECサイトを立ち上げることになったけど、何から手をつけて良いか分からない」
ECサイトの制作を任されて、このような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事ではECサイト制作の流れを紹介します。ECサイト立ち上げ時に検討しておきたいことにも触れているので、この記事で失敗しないECサイト制作について一緒に勉強していきましょう。
ECサイトの立ち上げ時に検討しておくこと
ECサイトを立ち上げる際には、次のようなことを検討しておく必要があります。
- 提供したい価値
- 競合他社の調査
- 顧客のニーズ
- 商品選定
- 予算
- 集客方法
ECサイトには、ECモールやASPなどの種類があり、戦略的に売上を立てていくには上記のような検討事項を洗い出したうえで、ECサイトの種類を決める必要があります。
たとえば、主にメーカーなどによって製造される製造番号や商品コード、JANコードなどがある型番商品を取り扱う場合は、値段の安さが購買の意思決定に寄与するAmazonや楽天などのECモールがおすすめです。
対してブランド重視のオリジナル商品の場合は、デザインテンプレートや世界観を重視したECサイトを構築できるShopifyが有力な選択肢となり得ます。
このように、取り扱う商品やショップの方向性によってECサイトを構築するプラットフォームが異なるため、ECサイトの制作に取りかかる前段階として、「誰に・何を・どうやって提供するのか」を検討しておく必要があります。
ECサイトの制作手順
ECサイトは次の手順で制作します。
- ECサイトのコンセプトを定義する
- システムの要件定義を行う
- 構築方法の選定
- デザイン・決済方法・機能を決める
- 集客方法を決める
- サイトを構築する
最も力を入れたいのが、1番目のコンセプトの定義です。ここの作り込みを行えば、それ以降の工程における選択肢を絞りやすくなります。
1.ECサイトのコンセプトを定義する
まずEC事業の根幹となる「コンセプト」を決めます。
商品の特性を加味して、誰にどうやって価値提供するのかを決めることで、ターゲット層にマッチしたECサイトを制作できます。コンセプトを定めて統一感のある使い勝手の良いサイトができあがれば、UX(ユーザーエクスペリエンス)が向上し、顧客満足度も高まります。
自社サイトの場合は、デザインや機能面においてオリジナリティを出しやすくなるので、競合他社との差別化も図りやすくなるでしょう。売上を左右する要因となるため、ECサイトの構築においてコンセプトの定義は最も重要なポイントといえます。
2.システムの要件定義を行う
コンセプトが定まったら、それを実現するために必要な機能やシステムの要件を洗い出します。ここで挙げた機能やシステムの要件によって、次工程のECサイトの構築方法の候補が絞られてきます。
一通り必要な機能やシステム要件を洗い出したら、予算や制作スケジュールも考慮して優先順位を付けましょう。ECサイトの構築を委託する場合は、認識のズレが発生しないように、システムベンダーと一緒に要件定義を行います。
3.構築方法の選定
次にシステムの要件定義や予算、事業規模などから構築方法を選定します。ECサイトの主な構築方法は次の5つです。
ECモール | ECパッケージ | オープンソース | フルスクラッチ | ASPカート | |
メリット |
など |
など |
など |
など |
など |
デメリット |
|
|
|
|
|
初期費用 | 無料~数万円 | 数十万円~数千万円 | 無料 | 1,000万円~数億円 | 無料~数十万円 |
月額費用 | 無料~数万円 | 数十万円 | 数千円~数十万円 | 数十万円 | 数千円~数万円 |
おすすめの企業 |
|
ECサイトの年商が1億円以上の企業 | 社内にサイト構築に詳しい人材がいる企業 | 資金力のある大手企業 |
|
初期費用や月額費用といったコスト面からいって、ECパッケージやオープンソース、フルスクラッチを選択できる企業はかなり限定的です。
一方、ECモールやASPカートであれば、無料または数十万円の初期費用で出店できます。月額費用も数万円からなので、個人事業主や中小企業にも選択しやすいでしょう。
特にこれからEC事業の拡大を狙っていく場合は、競合他社との差別化や顧客情報の収集・分析といった点において、有料のASPカートでの制作がおすすめです。
ECサイト(ネットショップ)の種類については「ネットショップを作成する方法|おすすめのASPカートも紹介」でより詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
4.デザイン・決済方法を決める
次にECサイトのデザインや決済方法を決定します。
このとき大切なのは「ユーザー目線」です。デザインはコンセプトを意識したうえで、視認性や操作性も重視しましょう。見た目が良くても使い勝手が悪ければ、ユーザーの離脱が多発し、販売機会を逃すことになります。
決済方法は、ターゲット層の使用頻度が高い方法を抑えておく必要があります。特に他社と同じ商品を扱う場合は、「自分が使う決済方法を採用しているかどうか」がサイトを利用する基準の1つになりえるからです。カゴ落ちや離脱を防ぐためにも、ターゲットのリサーチを徹底的に行い、好まれるデザインや決済方法を把握しましょう。
このときに参考になるのが、競合他社のECサイトです。すでに何年も運営しているサイトであれば、ターゲット層のニーズを満たすサイト構成になっている可能性が高いので、ターゲットのリサーチと合わせて競合他社のECサイトもリサーチしましょう。
5.集客方法を決める
大手から中小までECサイトが群雄割拠するなかで戦っていく必要があるため、効果的に認知獲得から集客していくためにも制作段階から戦略を練っておく必要があります。主な認知獲得・集客方法には次のようなものがあります。
- Web広告(リスティング、動画、アフィリエイトなど)
- SEO
- SNS・SNS広告
- コンテンツマーケティング
- インフルエンサーマーケティング
認知獲得や集客は売上に直結するため、力を入れたいところです。ターゲットが利用する媒体や好む形式を把握し、予算に合わせて最適なアプローチ方法を選びましょう。
6.サイトを構築する
各要件が出そろったら、サイトを構築していきます。
自社制作、外部委託のそれぞれのメリット、デメリットについては後述します。
サイトが完成したら、商品登録を行います。特に商品点数が多い場合は、事前に商品画像や説明文のデータを作成しておき、CSVデータなどで一括登録するのがおすすめです。
商品登録後は、オープン前にテスト発注を行いましょう。ユーザーが使用する場合と同じ導線を辿り、スムーズに注文できるかどうかの最終チェックを行います。
この確認が終わったら、いよいよECサイトをオープンします。
ECサイト制作は自作?委託?それぞれのメリット・デメリット
自社ECサイトは自社で制作するほか、外部に委託することもできます。それぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。
自社制作 | 委託 | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
サイト制作に知見がある人材が社内にいれば、自社制作も可能です。
しかし、ECサイトの制作には、プログラミング言語はもちろん、Webマーケティングやデザインのなど、幅広い知識が必要です。これらの知識を有している人材は稀です。
専門知識がない人がサイトを制作するとオープンまでに時間がかかりすぎるうえに、不必要なところにコストがかかる恐れがあります。さらに、できあがったサイトで成果を上げられる可能性は低くなるでしょう。
その点、委託する場合は費用がかかりますが、サイト制作のプロが、売れるための導線設計からターゲットに最適なデザイン、機能を提案してくれます。
せっかくECサイトを立ち上げるのなら、売上が上がらないと意味がありません。ECサイトの制作はその道のプロである制作会社に委託するのがおすすめです。
ECサイト制作を委託した場合にかかる期間の目安
制作会社に委託した場合にかかるECサイトの制作期間の目安は次のとおりです。
ECサイトの種類 | 期間の目安 |
ECモール | 2週間~ |
ECパッケージ | 3カ月~半年程度 |
オープンソース | 1ヶ月~ |
フルスクラッチ | 1年~数年 |
ASPカート | 2週間~ |
上記はあくまで目安です。制作するECサイトの規模や構築方法によって異なるので、どのくらいの期間が必要かは、制作会社との打ち合わせの際に確認しましょう。
ECサイトの制作を委託した場合にかかる費用の目安
ECサイトの制作を委託した際にかかる費用の目安は次のとおりです。
ECサイトの種類 | 費用の目安 |
ECモール | 数万円~ |
ECパッケージ | 数百万円~ |
オープンソース | 数百万円~ |
フルスクラッチ | 数億円~ |
ASPカート | ~数百万円 |
制作を委託するには、やはりそれなりの費用がかかります。
ECモールであれば数万円の出費で制作が可能ですが、ブランディング面や事業拡大を狙うならば、自社ECサイトを制作しておきたいところです。費用面や将来性を考えた場合、ASPカートであれば手頃に自社ECサイトを制作できる最適な方法といえるでしょう。
なお、費用に関しても制作にかかる期間と同じく、ECサイトの規模や構築方法によって異なります。
ECサイト制作の注意点
ECサイトを制作するうえで、次の点には注意が必要です。
1 機能にこだわりすぎない
ECサイトは、機能の優劣で売上が変わることはほとんどありません。カートシステムは、高額なほど機能面が充実していますが、実際に使う機能は限定的です。そのため、機能面よりも商品・集客・買いやすさを重視しましょう。
2 差別化を大事にする
数多あるショップのなかから自社を選んでもらうためには、競合他社と差別化できるポイントが重要です。利用者を満足させる強みがないと、売上の確保が難しくなります。
3 集客にも予算をかける
ECサイトの制作に費用をかけすぎてしまうと、集客に回す予算がなくなります。立派なサイトができても、集客がおざなりだと売れなくなってしまい、本末転倒です。売上には集客が最も重要なため、適切な予算配分を行いましょう。
制作会社を選ぶ際のポイント
ECサイトの制作を委託する制作会社を選ぶ際には、次のポイントを意識しましょう。
- 実績をチェックする
- 対応可能な構築方法を確認する
- 費用や制作スケジュールを確認する
- 集客サポートがあるか確認する
過去に同業他社のECサイトの制作実績がある場合は、業界特有の事情を考慮した提案を受けられる可能性が高いです。依頼の際もスムーズに話を通しやすいので、まずは実績のチェックをおすすめします。
実績をチェックする
制作会社のHPには、過去に制作したサイトが掲載されています。この実績から、その制作会社が得意とする分野や、サイト制作の技術力を推し量れます。
特に、自社と同業の制作実績がある場合は、業界特有の事情を把握している可能性が高く、その点を考慮したサイト設計の提案が期待できるでしょう。
ただし、恰好ばかりのECサイトでは作る意味がないので、実際に成果が出ているECサイトかどうかもチェックしておく必要があります。問い合わせの際には、制作したサイトの検索順位や販売実績の確認も行っておくことをおすすめします。
対応可能な構築方法を確認する
サイト制作会社のなかにも、幅広い構築方法に対応している会社や、特定のシステムを専門的に扱う会社など、それぞれ特徴があります。
自社が希望する構築方法に対応していないことも考えられるため、その点も問い合わせ時に確認しておきましょう。また、複数の構築方法に対応していても得意・不得意があることが多いので、その点も確認が必要です。
費用や制作スケジュールを確認する
制作会社を選ぶにあたって、設定された予算で対応可能か、リリース日に間に合うかどうかも重要なポイントです。
なお、サイト制作では予期せぬトラブルが発生するケースもあるので、スケジュールは余裕を持って組むことをおすすめします。
また、予算については複数社から見積りを取り、適正価格を見極めましょう。
集客サポートがあるか確認する
ECサイトは公開すれば集客できるわけではありません。SEO対策やリスティング広告などの施策を実施して集客を行う必要がありますが、ノウハウが乏しい場合は自社で対応するには限界があります。
マーケティングやコンサルティングサポートがある会社なら、制作から集客まで一貫したサポートが受けられるので、EC事業を成功に導きやすくなります。
ASPカートで制作するなら株式会社これから
ECサイトは、制作段階から売れる設計をしなければ思うような成果を得られません。売れる設計をするには、お客様の業態はもちろん、カートシステムの特徴を把握しておく必要があります。
株式会社これからは創業から11年間、ECサイト制作をはじめ、集客サポートやコンサルティングなど、自社ECサイトに特化したサービスを提供し続けています。ECサイトの制作歴も10年に上るため、各カートの特徴も熟知しています。
また、これまで2,800件以上のECサイト制作で蓄積した統計データを活用。業態や購買行動、カートの特徴など、多角的に見て売れるECサイト設計の提案が可能です。サイト制作後も集客・分析・更新など、運用サポート体制も万全です。ECサイトの制作にあたって不安が大きい、売れるECサイトを作りたいといったご用命がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
ECサイトは、初期費用・月額費用を抑えられるECモールもしくはASPカートでの作成がおすすめです。カスタマイズ性は高くありませんが、必要な機能が備わっているため比較的短期間で構築できるのもメリットです。
しかし、自社の業態に最適なプラットフォームやカートシステムを選定できなければ、EC事業は失敗に終わる可能性が高くなります。そのため、ECサイトの作成は、豊富な実績がありカートシステムにも詳しい制作会社を見極めて委託するようにしましょう。
※当社2022年8月実績
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