ECモールとは|自社サイトとの違いや大手モール型ECサイトを比較
実店舗を持たなくても、簡単に商品販売をはじめられる「ECモール」をご存知でしょうか。ECモールとは、ネット上のさまざまなお店が一箇所に集められたショッピングセンターのようなものです。本記事ではECモールの仕組みや種類、ECモールに出店するメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。また、大手ECモールを3選紹介するため、出店の参考にしてみてください。
ECモールとは
そもそも「EC」とはネット通販やネットショッピングなど、インターネット上で商品を売り買いする取引の総称です。つまり、さまざまなジャンルの商品や店舗を一度に巡れるサイトのことを「ECモール」と呼びます。
またECモールへ出店する場合には、自社ECサイトを新たに開設する必要がなく、既存のテンプレートを利用し簡単にECサイトを作成できる点が魅力です。さらに、人気のECモールに出店することで一定の集客を見込めるため、まだ認知度の低い企業などからも注目を集めています。
自社ECサイトとの違い
ネット上で商品販売したい場合には、自社ECサイトを開設するパターンと、ECモールに出店するパターンの2通りの方法があります。ブランドの個性を自由に表現できる自社ECサイトに対し、ECモールではある程度のサイト構成が決まっているため、競合他社との差別化を図りにくい点がデメリットです。
ただし無名のブランドが自社ECサイトのみ運営する場合には、サイト自体を認知されることなく衰退していくリスクがあることを理解しておきましょう。一方で、ECモールに出店すれば「おすすめ」などに商品紹介されるケースがあるため、ECサイトへ一定数の集客が見込めます。他にも、自社ECサイトとECモールには異なるメリット・デメリットがあるため、下記の表を参考にしてみてください。
|
メリット |
デメリット |
ECモール |
・一定の集客が見込める |
・ランニングコストが高くなる |
自社ECサイト |
・ランニングコストはサーバー契約費用などで済むため低コスト |
・サイト自体を認知してもらえない可能性がある |
※当社2023年3月実績
ECモールに出店するメリット
ECモールに出店するメリットには下記の4点が挙げられます。
- 一定の集客が見込める
- 商品に対する信頼を得やすい
- ネット初心者でも運営しやすい
- 販売の支援サービスを利用できる
有名なECモールに出店することで、既存の利用顧客数が確保されているため一定の集客が見込めます。また、大型ECモールであればECモール自体の信頼度が高いため、知名度の低いブランド商品であっても購入される可能性が高まることがメリットの1つです。
さらに、プログラミングの知識がないネット初心者であっても、簡単に出店できるように工夫されているため初出店のハードルが低くなります。また、初出店の出品者でも安心して販売できるように、マーケティングのノウハウを提供してもらえるなどの支援サービスも魅力的です。
一定の集客が見込める
自社ECサイトを開設したとしても、サイトそのものにアクセスしてもらえなければ商品を紹介する機会すら得られません。そもそも通販サイトにアクセスする消費者の多くは、Googleなどの検索エンジンで購入したいジャンルや使用用途を検索しヒットしたサイトへ流れていきます。つまり、検索結果の上位にサイト名が上がらなければ見向きもされないということです。
SEO対策により検索結果の上位にサイトを表示させる努力ができますが、一朝一夕で実現できるわけではありません。一方、ECモール自体がSEO実施済みのため、新規出店であっても検索上位に表示される可能性が高まり、一定のアクセス数(集客率)が見込めます。
商品に対する信頼を得やすい
ネットショッピングで商品を購入する際に重視される点は、「手元に商品が届くこと」や「商品説明通りの品物であること」などです。名前も知らないブランドの商品を、現物も見ずにネット上で購入するには勇気がいります。
一方で、ECモールに対する信頼がある場合には、消費者が不安を感じづらい傾向です。そのため、知名度の低いブランドであっても気軽に購入してもらえる可能性があります。
ネット初心者でも運営しやすい
インターネット上でサイトを構築するためには、プログラミングの知識や検索上位に表示させるためのSEO知識が必要です。しかし、専門知識を持たないネット初心者でも、簡単に出店できるように工夫されていることがECモールの魅力です。
ECモールの出店方法に従ってECサイトを作成していくことで、自然に購入意欲を誘うようなサイト構成になります。またECモールの仕様によっては、既存ユーザーの購入履歴から「類似品」のおすすめとして紹介されることで、興味を持ってもらえる機会が増える傾向です。
販売の支援サービスを利用できる
多くのECモールでは、初出店の出品者でも安心して運営できるように、アクセス分析などの支援サービスを提供しています。また、ECモールの利用者からよく寄せられる質問に関しては、「よくあるQ&A」として簡単に閲覧できる仕組みです。
さらに、サイト運営には欠かせないシステム関連のメンテナンスも定期的に行われるため、ネット上の不具合に頭を悩ませる必要がありません。加えて「よくあるQ&A」を参考にしても解決しない問題については、問い合わせフォームなどから適宜質問できるため出品者の不安に対しても柔軟に対応しています。
※当社2023年3月実績
ECモールに出店するデメリット
ECモールに出店するデメリットとしては下記の3点が挙げられます。
- ランニングコストが高くなる
- 他社との価格競争になる
- ブランドの独自性を出しにくい
ECモールで継続的に出店するには細々とした費用が重なるため、比較的高めのランニングコストがかかってしまいます。また、同ECモール内では競合他社と簡単に比較できるため、価格競争については厳しい世界です。さらに、ECモールへの出店ではデザインの自由度が低く、ブランドの独自性を表現しづらい点もデメリットといえます。
ランニングコストが高くなる
簡単に出店できるECモールですが、無料でサイト作成できるわけではありません。主なランニングコストとして必要になる項目は下記の5点です。
- 初期登録料
- 月間出店料
- システム利用料
- 売上手数料
- 決済サービス個別手数料
上記の他にも、商品の注文から発送まで請け負っているECモールの場合には、下記の費用が別途必要になります。
- 在庫管理手数料
- 配送代行手数料 など
サイト運営から発送まですべてを自社で行う自社ECサイトと比べ、間に人が入るためどうしてもランニングコストがかかってきてしまうことがネックです。
他社との価格競争になる
消費者の心理として、「ほぼ同じような謳い文句の商品であれば安い方を買いたい」と考える傾向があります。ECモールでは類似品を簡単に比較できる構造のため、1円でも安いブランドの方が人気です。そのため、ブランド力や商品の魅力で勝負できない場合には、少しずつ価格を下げる価格競争が起こります。
ただし、価格を下げると当然利益も下がってしまうため、一定の利益率を保つためにあえてECモールには出店しないお店もあります。たとえば、有名アパレルショップの「ユニクロ」は、ECモールの1つであるAmazonには出店していません。他にも同じ理由でECモールに出店していない有名店としては、無印良品やニトリなどが挙げられます。
ブランドの独自性を出しにくい
それぞれのECモールにはモールごとのイメージがあり、出店する際には自由度の低いテンプレートを用いることが特徴的です。ただし、ECモールが用意しているテンプレートでは満足できないケースもあります。
たとえば、自社ブランドのイメージを大切にしたい場合や、商品のラインナップ方法にこだわりを持ちたい場合などです。もし、ECモールのイメージと自社ブランドのイメージの違いに違和感を覚えてしまう場合には、自社ECサイトを構築したほうが結果として販促活動にも繋がることでしょう。
※当社2022年8月実績
ECモールの主な種類
ECモールと一口にいっても、「テナント型」と「マーケットプレイス型の2種類のモールがあります。主な違いとしては、名前の通りECモールに出店できるタイプがテナント型で、ECモールに商品を並べていくタイプがマーケットプレイス型です。
他にも、自社の異なるショップを1つのECモールで一括管理する「統合管理型」も存在します。ただし、統合管理型はECモールに出店するという表現より、複数の自社ECサイトを管理するためのモールのため本記事では詳しく紹介しません。
種類 |
メリット |
デメリット |
テナント型 |
・一定のデザインやレイアウトが変更できる |
・「マーケットプレイス型」に比べて出店まで手間がかかる |
マーケットプレイス型 |
・「テナント型」に比べて商品単位で出品可能なため手軽 |
・商品単体で売り出すためブランディングやマーケティングが難しい |
テナント型
テナント型ECモールのメリットは、1つのお店として出店できることです。ECモール内に自社のショップページを作成するため、一定のデザインやレイアウトなど変更可能な範囲内で自社ブランドの魅力を伝えられます。また、ショップページの閲覧者が同店の商品を見て回り、お目当ての商品以外にも続けて購入してもらえる可能性が期待できる点もメリットの1つです。
ただし、ショップページ作成の手間が増えるため、マーケットプレイス型と比べると少し時間がかかってしまいます。多少の手間が増えたとしてもブランディングに重きを置く企業は、テナント型ECモールへの出店を検討してみてはいかがでしょうか。
マーケットプレイス型
マーケットプレイス型ECモールの特徴は、1つの商品から販売できることです。テナント型と違い商品単位での出品となるため、ショップページを作成する手間が省けます。そのため、まだ企業としては未完成であっても先に商品販売を開始できる点がメリットです。
一方で、商品メインの販売方法になってしまうため、ブランド名がなかなか浸透しない可能性も考えられます。そのため、ブランドのイメージで差別化を図りたい企業には、あまり向いていません。マーケットプレイス型ECモールへの出店は、商品単体でも売り出していけるような特徴のある商品を扱っている企業であれば、ぜひ検討してみてください。
※当社2023年3月実績
大手ECモールの最新シェア比較【ランキング】
ネットショッピングといえばで思い出せるような、大手ECモールには「Amazon.co.jp」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などが挙げられます。株式会社大和総研が令和3年度(2021年度)に行った、市場調査から推計した市場シェア率に基づき下記の表を作成しました。
あくまでも推計した市場シェア率は、出店先を選ぶときの参考程度に考えてください。ECモール選びにはランニングコストにかかる手数料もしくは、受けられる支援サービスの内容を比較検討してみましょう。
【2021年】市場シェア率ランキング(推計)
順位 |
ECモール名 |
種類 |
市場シェア率(推計) |
1位 |
Amazon.co.jp |
マーケットプレイス型 |
25~35% |
2位 |
楽天市場 |
テナント型 |
20~30% |
3位 |
Yahoo!ショッピング |
テナント型 |
5~10% |
※参照:株式会社大和総研「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」
Amazon.co.jp
出典:Amazon.co.jp
「Amazon.co.jp」は、商品の保管から配送代行サービスまで行う「フルフィルメント by Amazon」で有名なマーケットプレイス型ECモールです。月額費用は、マーケットプレイス型特有の商品数による設定となり、小口出品プランであれば1つの商品につき月額100円という格安金額から出品できます。
また、50点を超える商品を扱う企業向けに大口プランが用意されており、月額4,900円で上限なく出品可能です。梱包や発送はもちろん、返品や返金の手続きなどを代行してもらうことで空いた時間を有効活用し、販促活動に専念してみてはいかがでしょうか。
プラン |
小口出品 |
初期費用 |
― |
月額費用 |
小口出品プラン:100円/商品 |
販売手数料 |
8~15%(商品カテゴリーによる) |
その他手数料 |
FBA配送代行手数料(商品サイズ・重量による) |
※2023年4月時点
おすすめの企業
- 商品の保管から発送まで一括でおまかせしたい企業
- 初期費用やランニングコストを抑えたい企業
楽天市場
ポイントを効率よく貯められるECモールといえば、楽天カードマンでおなじみの「楽天市場」です。楽天銀行や楽天カードなど、楽天が提供するサービスを利用することでポイント還元率アップできることから、多くのユーザーを抱えています。
また、楽天市場は90年代後半からサービス開始している老舗ECモールでもあり、出店には厳しい審査を通過しなければなりません。そのため、楽天市場に対するユーザーからの信頼も厚く、楽天市場へ出店することで認知度と信頼度の両方を獲得できます。
プラン |
がんばれ!プラン |
初期費用 |
60,000円 |
月額費用 |
がんばれ!プラン:19,500円 |
販売手数料(システム手数料) |
がんばれ!プラン:月間売上高の3.5〜7.0% |
その他手数料 |
楽天ポイント原資負担:1% |
※2023年4月時点
おすすめの企業
- 楽天ポイントユーザーを取り込みたい企業
- オトクなキャンペーンに便乗して集客を期待する企業
Yahoo!ショッピング
出典:https://shopping.yahoo.co.jp/
「Yahoo!ショッピング」も楽天市場やAmazon.co.jpと同じく、ネット通販利用者におなじみのテナント型ECモールです。近年のキャッシュレス決済で人気のPayPay払いと連携し、お得にポイント獲得できる店でも注目を集めています。
また、大手ECモールにもかかわらず、初期費用・月額費用・販売手数料のすべて無料で出店できることもメリットの1つです。試験的に短期間のみ出店してみたい企業や、イベントなどの単発的なタイミングで利用したい企業はぜひ一度検討してみてください。
プラン |
― |
初期費用 |
無料 |
月額費用 |
無料 |
販売手数料 |
無料 |
その他手数料 |
ストアポイント原資負担:1~15% |
※2023年4月時点
おすすめの企業
- 短期出店のため初期投資を抑えたい企業
- PayPayユーザーを取り込みたい企業
※当社2023年3月実績
まとめ
ECモールには自社ブランドをアピールしやすい「テナント型」と、商品の魅力をダイレクトに伝えられる「マーケットプレイス型」の2種類があります。自社ECサイトよりも手軽に出品できるECモールのメリットを理解し、企業の特色と合致したECモールへの出店を目指してみてください。
※当社2022年4月実績
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