自社ECサイトを運営するメリット・デメリット|構築方法と成功させるためのポイント
拡大し続けるEC市場に参入して売上アップを狙おうと、自社ECの運営を検討している方は多いでしょう。現在は導入のハードルが下がっているものの、あらかじめ自社に適した構築方法や成功のためのポイントを知っておかなければ、あまたの競合に勝つことは困難です。
こちらでは、自社ECのメリット・デメリットや構築方法、モール型ECとの違いについて詳しく解説します。
※当社2022年8月実績
自社ECとは?
自社ECとは、企業が独自にドメインを取得して運営するECサイト・ネットショップを指します。
自社ECというと、ゼロから立ち上げなければならず、コストと技術が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、今では初心者向けのサービスも提供されており、気軽に構築・運営が可能です。
そのため、大企業や中小企業のみならず、個人事業主も自社ECを立ち上げるケースが増えています。
モール型ECとの違い
ECサイトの種類には、自社EC以外にモール型ECがあります。モール型ECは、複数のネットショップがまとまって1つの大規模ショップを構築している、オンライン上のショッピングモールのようなものです。代表的な例として、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。
自社ECとモール型ECの具体的な違いについて、次の表にまとめました。
|
自社EC |
ECモール |
運営元 |
自社 |
モールの運営会社 |
ドメイン |
独自ドメイン |
モールのドメイン |
初期費用 |
高額(無料~数千万円) |
安価(無料~数万円) |
月額費用 |
高額(無料~数十万円) |
安価(無料~数万円) |
まず大きな違いとして挙げられるのは、モール型ECでは運営元の会社が顧客情報管理などの一部運営を担うのに対し、自社ECでは完全に自社のみで運営することです。
また、運営にかかる費用にも差が出てきます。自社EC運営に必要な費用は構築方法によって大きく異なり、最大で数千万円以上かかることもあるのが特徴です。
一方、ECモールは初期費用・月額費用ともに安いものの、運営会社に販売手数料を支払わなければいけません。
自社ECサイトを運営するメリット
モール型ECに出店・出品するのではなく、自社ECを運営するメリットは何なのでしょうか。以下にまとめた3つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
【自社EC運営のメリット】
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自社ECの強みは、運営における自由度の高さです。他社が介在しないため、ブランディングや顧客データの収集がしやすく、利益率やリピート率の向上も期待できます。
自社のブランディングがしやすい
サイトのデザインや機能を自社で自由に作り上げられる自社ECは、商品のイメージに応じたブランディングがしやすい点で有利です。モール型ECの場合、デザイン・機能がモールごとにある程度決まっており、ブランドの色を強く押し出すのには向いていません。
特に独特の世界観を持つ商品を売り出すうえで、認知度向上や競合との差別化にもつながるブランディングは重要です。「この商品といえば自社」というイメージづくりを目指すのであれば、自社ECをおすすめします。
利益率が高い
一般的にモール型ECよりも、ECサイトを活用したほうが高い利益率が望めます。なぜなら自社ECであれば、サイト構築後は基本的にシステム障害への対応や、システムの更新といった保守にしか費用が発生しないためです。
一方で多くのモール型ECでは、売上に応じた手数料や出店料がかかってしまいます。自社ECは構築方法によっては初期費用がほとんどかからず、激しい価格競争の機会が少ないこともあり、利益率が高まりやすい傾向です。
データを収集し活用できる
モール型ECではモールの運営元が顧客情報を所有・管理するのに対し、自社ECなら細かな顧客情報を自社で管理できます。ですので、顧客の購入履歴や性別・年代といったデータを収集して分析し、リピート購入の促進やサイトの改善に活かすことも可能です。
※当社2022年8月実績
自社ECサイトを運営するデメリット
自社ECの運営を考えているのであれば、デメリットも把握しなければいけません。自社ECの主なデメリットは、以下の3つです。それぞれどのように不都合なのか、どのような対応策を講じればよいか見ていきます。
【自社EC運営のデメリット】
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まとめると、集客や購入といった成果に至るまでに多くの技術と時間、費用を要することがネックといえます。
担当者のスキルが必要
自社ECを構築・運営する際は、担当者にさまざまなスキルが求められます。特に以下のスキルは必須です。
- webマーケティングスキル・・・自社サイトに顧客を誘導するためのマーケティングやSEOに関する技能
- クリエイティブスキル・・・デザイン・コーディング・ライティングなど、サイトやコンテンツの制作・運営に必要な技能
- カスタマーサポートスキル・・・顧客からの問い合わせに適切に対応する技能
これらの多様なスキルを持った人材がいなければ、自社でECサイトを運営するのは難しいでしょう。ただし、ECサイトに必要な機能を提供してくれるサービスを活用すれば、特別なスキルがない場合でもECサイトの立ち上げは可能です。
はじめは集客が難しい
自社ECでは、サイト構築後に自ら集客に取り組まなければいけません。中小企業や個人事業には大手EC型モールのような知名度と信用性がないため、はじめはサイトへの誘導さえ困難です。
自社ECで集客数を増やすには、SEO対策や高品質コンテンツの制作、広告・SNSによるマーケティングなど、幅広い施策に注力する必要があります。
成果が出るまでに時間がかかる
自社ECは構築や維持にコストがかかる割に、成果が出るまでに長い時間がかかってしまいます。前述したとおり、サイトや自社の知名度をほとんどゼロから獲得しなければいけないためです。
できるだけ早く成果を出すためには、運営開始前から顧客との関係構築に尽力したり、顧客データをもとにサイトの改善を重ねたりといった対策が考えられます。とはいえ、自社ECを導入する際は最初から2~3年ほどの長期的な計画を立てておいたほうがよいでしょう。
※当社2022年8月実績
自社ECの構築方法
自社ECといっても、構築方法はさまざまです。ここからは、次に挙げた5つの構築方法のメリット・デメリットについて紹介します。方法によって必要な技術力や費用、時間は異なりますので、自社にとってメリットが大きいものを採用しましょう。
【ECサイト構築方法】
- すべてをオリジナルで作る:フルスクラッチ
- カスタマイズで簡単構築:パッケージ
- 費用を抑えられる:オープンソース
- 低価格で簡単に導入できる:ASPサービス
- 構築・運用ともに楽に行える:クラウドEC
すべてをオリジナルで作る:フルスクラッチ
フルスクラッチは、システムやソフトウェアを含め、ゼロからサイトを構築する方法です。
完全に自社の方針で開発できるため、ブランディング効果は大きく期待できます。ただし、開発に莫大な時間と費用がかかるのがデメリットで、年単位の準備期間と1,000万円以上の費用が必要になるケースも少なくありません。
商品や自社のイメージを顧客に浸透させることが目的で、技術力の高い人材と多くの予算が用意できるのであれば、おすすめの方法です。
カスタマイズで簡単構築:パッケージ
パッケージとは、ショッピングカート・決済機能や受注・売上管理機能など、ECサイトに必要な機能がひと通り揃ってシステムを指します。
もともと備わっている機能を基本に、自由度の高いカスタマイズで独自性の強いサイトを開発できる点が大きなメリットです。フルスクラッチに比べると安価ですが、セキュリティ面や販売会社による開発・運営サポートが手厚いソフトは、500万円以上かかる場合が多いです。
フルスクラッチよりも予算を抑えつつ、効果的なブランティングに取り組みたい会社に向いているといえます。
費用を抑えられる:オープンソース
オープンソースは、企業や個人が開発して一般公開しているプログラムでECサイトを構築する方法です。
メリットとしては、無料でECサイトに必要な基本機能が利用でき、カスタマイズすれば独自色も出せることが挙げられます。ただし、不具合や障害の発生時はプログラム提供元のサポートが受けられず、自社で対応しなければいけません。また、外部に公開されているプログラムを利用するため、セキュリティ上の不安があります。
自社にカスタマイズやトラブルに対応できる技術者がおり、導入コストや開発の手間を省いて自由度の高いサイト構築をしたい場合におすすめです。
低価格で簡単に導入できる:ASPサービス
ASPとはApplication Service Providerの頭文字で、クラウドを介して提供されるサイト構築のためのシステムです。
導入に費用や時間がかからないのが最大の魅力で、ほとんど完成されたシステムを無料~10万円程度で利用でき、最短1日で構築が完了します。さらに、構築後は販売会社側が保守やシステム更新を担当してくれるため、CMSやセキュリティに関する専門知識がなくてもECサイト運営が可能です。ただし、デザインや機能はテンプレートに従わなければならず、カスタマイズの自由度も高くないため、ブランディングにはあまり向いていません。
とにかく金銭的・時間的・人的コストを抑えて自社ECを導入したい、小規模な企業や個人事業主の方にとっては非常に便利なサービスです。
構築・運用ともに楽に行える:クラウドEC
クラウドECは、クラウド上で提供されるプラットフォームを利用してサイト構築する方法です。
ASPサービスに似ていますが、クラウドECのほうが機能やデザインをカスタマイズしやすく、イメージ戦略を図るのに適しています。システム更新料が別途かからないことや、販売会社に保守を任せられることはASPと共通の特長です。しかし、初期費用で500万以上はかかるため、導入のハードルは高いでしょう。
費用よりも構築と運用の手間の削減を重視したブランディングが目的の場合、クラウドECを選ぶことをおすすめします。
自社ECを成功させるためのポイント
自社ECを成功させるためには、ポイントを押さえながら運営することが重要です。最後に、以下に挙げた代表的なポイントについて、詳しく解説します。
【自社ECサイトを成功させるためのポイント】
- 自社ECサイトをメディア化する
- 自社ECとモールECを併用する
自社ECサイトをメディア化する
自社ECのメディア化とは、商品に関するコンテンツを充実させることで、サイトに情報発信メディアとしての側面を持たせることです。自社ECをメディア化すると、コンテンツに興味を持った人がサイトに流入したり、商品に関心のある人がコンテンツを見て購買意欲を強めたりする可能性が高まります。
以下は、自社ECをメディア化するための取り組みの例です。
- 商品との関連性が高い内容のコラム・記事を載せる
- SNSと連携し、動画や画像も活用しつつ商品・キャンペーン情報を発信する
ECサイトを単なる通販ショップではなく情報メディアとして活用し、顧客が訪問する流れをつくり出すことを意識しましょう。
自社ECとモールECを併用する
自社ECとモール型ECを併用し、それぞれのメリットをフルに活用するという手段もあります。つまり、EC型モールに出店して自社や商品の知名度を獲得しておくことで、自社ECへの集客につなげるのです。
自社ECとモール型ECの両方を導入する場合、売上を最大化できる一方で運営上の労力は増えます。そのため自社ECを構築する際は、在庫管理システム同士の連携ができるフルスクラッチやパッケージ、クラウドECがおすすめです。
まとめ
自社ECには、EC型モールよりも自由度の高いブランディングやデータ収集ができ、利益率の向上が見込めるなど、大きなメリットがあります。しかし、幅広いスキルや多額の費用が求められる割に、知名度のない初期段階は集客が難しく、成果が出るまでに時間がかかるというデメリットも無視できません。
自社ECをこれから導入する方は、この記事を参考に自社が用意できる予算や人材に応じた構築方法を選び、サイトのメディア化やモール型ECとの併用などの工夫を凝らしましょう。
※当社2022年8月実績
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