事業再構築補助金はいつからいつまで続くか|スケジュールと申請方法を詳しく解説
【監修者】
G1行政書士法人
代表行政書士
清田 卓也 氏
これまでIT導入補助金累計2,061件の採択実績から、申請者様から詳細をヒアリングさせていただき、またITツールの検証・効果性を元に申請をサポートさせていただいています。また、IT業界(主にWEB制作)にて10年間従事し、卸・小売・サービス業を始め幅広い業界のWEBコンサルティングを経て、現在の業務においてWEBを活用した集客を実践している事から、リアルな視点で事業計画書を作成させていただいています。
新型コロナウイルスの感染拡大で、打撃を受けた中小企業を支援する「事業再構築補助金」。
事業を立て直すため、事業転換や新分野展開を進める企業に交付される補助金で、関心をお持ちの経営者の方々も、少なくないはずです。
この記事では、事業再構築補助金への申請を検討している中小企業や個人事業主の方々に向け、補助金がいつまで続くのかなど、今後の公募スケジュールについて紹介します。併せて、申請の流れや注意点なども詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
事業再構築補助金は令和5年度も続く
事業再構築補助金は、コロナ禍で苦境にあえぐ企業などを支援するため、2021年に創設されました。
「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」の5分野で、思い切った取り組みを進める中小、中堅企業、個人事業主を公募し、選ばれた企業には、最大で1億円の補助金を交付。2021年3月にスタートした第1回から、これまでに計8回にわたって公募が実施されています。
2022年12月に成立した国の補正予算では、事業再構築補助金に関連する予算が盛り込まれ、補助金の継続が決定しました。2023(令和5)年度も、事業再構築補助金は続きます。
既に2023年1月16日から、第9回の公募がスタート。令和5年度中には、10回目以降の公募も行われる見込みですが、現時点では、9回目以降の公募スケジュールは未定です。
事業再構築補助金の公募スケジュールは?
令和5年度の継続が決まった、事業再構築補助金の具体的な公募スケジュールについて見ていきましょう。
既に決まっているスケジュール、今後予想されるスケジュールについて解説します。
公募 | |||
事業再構築補助金 |
第11回 | 公募開始 | 2023年8月10日 |
申請受付 | 調整中 | ||
応募締切 | 2023年10月6日 18:00 | ||
結果発表 | 未定 |
参考:事業再構築補助金
第11回公募スケジュール
まずは、既に決まっているスケジュールです。現時点で決定しているのは第11回公募スケジュールのみとなっています。
公募申請は、補助金申請システムから、いつでも、どこからでも申請可能ですが、専用アカウントの取得が必要となります。専用アカウントは、取得申し込みから発行まで最低でも2週間程度が見込まれるので、応募を検討されている方は、余裕をもって準備することが必要でしょう。
参考:これまでの公募スケジュール
令和5年度の公募スケジュールも、前例を踏襲する可能性が高いため、参考として、これまでの公募スケジュールについて紹介しましょう。
第1回から第10回の公募期間は次の通りです
- 第1回(令和3年3月26日~4月30日)
- 第2回(令和3年5月20日~7月2日)
- 第3回(令和3年7月30日~9月21日)
- 第4回(令和3年10月28日~12月21日)
- 第5回(令和4年1月20日~3月24日)
- 第6回(令和4年3月28日~6月20日)
- 第7回(令和4年7月1日~9月30日)
- 第8回(令和4年10月3日~令和5年1月13日)
- 第9回(令和4年10月3日~令和5年1月13日)
- 第10回(令和5年3月30日~令和5年6月30日)
これまではおおむね2~3カ月ごと、前回の公募締め切り後すぐに、次回の公募が設定されています。令和5年も3月下旬ごろから、年計4回程度の公募の実施が予想されるでしょう。
事業再構築補助金の申請の流れ
次に、事業再構築補助金の申請の流れについて解説します。
事業再構築補助金に応募申請をし、補助金の交付を受けるまでのプロセスは次の通りです。
- 申請書類を準備する
- GビズIDを取得する
- 補助金申請をする
- 採択結果の通知・発表を確認する
- 交付申請をする
- 補助事業を始める
- 事業実績を報告する
- 精算払請求書を提出し補助金を受領する
それぞれ具体的な内容を、順を追って説明しましょう。
1.申請書類を準備する
まずは申請書類の準備です。
事業再構築補助金には、対象となる企業や補助金の用途によって、いくつかの「枠」が設けられています。
そのうち第9回公募の「通常枠」で必要となる書類について紹介しましょう。
具体的には次の通りです。
- 事業計画書
- 認定経営革新等支援機関による確認書
- 金融機関による確認書(補助金額が3000万円を超える事業の場合のみ)
- コロナ以前に比べ売り上げ、または企業の付加価値額が減少したことを示す書類
- 決算書類
- 中小企業などの補助金申請をサポートする経済産業省のサイト「ミラサポplus」で作成した事業財務情報
- 労働者名簿
その他、建物の新築に関する経費を補助対象としている場合は「建物の新築が必要であることを説明する書類」、リース会社と共同申請する場合は「リース料軽減計算書」、複数の事業者が連携して取り組む事業の場合は「連携の必要性を示す書類」なども必要になります。
2.GビズIDを取得する
事業再構築補助金は、電子申請システムでのみ申請が可能です。
電子申請システムを利用するためには、行政手続きのための認証サービス「GビズID」と呼ばれる認証サービスのアカウントが必要。GビズIDのホームページから、法人、個人事業主向けの「GビズプラIDプライム」のアカウントを取得しましょう。
具体的な取得方法は、まず、GビズIDのホームページにある「gBizIDプライム作成」のボタンから専用サイトに入り、メールアドレスを登録してください。その上で、指示に沿って、必要事項を入力すると、取得申請の書類が作成できます。
その作成した書類をダウンロード、印刷して、「GビズID運用センター宛」に郵送。書類審査を経て、通常は2週間程度で、アカウントが使えるようになります。しかし、記載漏れや間違いがあった場合などは、時間が掛かってしまうので、注意が必要です。
3.補助金申請をする
必要書類が集まり、GビスIDプライムの取得が完了したら、次は申請です。
事業再構築補助金の専用サイトから、GビズIDプライムを使用し、電子申請システムにログインします。
ログイン後、「申請TOP」画面で、応募申請する枠を選択。指示に従って、応募申請者の概要、事業概要、補助事業等の実績、経費明細表・資金調達内訳などの情報を入力します。
入力が終わったら、必要な提出書類を画面上でアップロード、添付し、申請内容を確認し、送信します。これで正式に、事業再構築補助金事務局に送信され、申請は完了。
申請完了時に画面に表示される受付番号を大切に保存しましょう。事務局への問い合わせなどで必要になります。
申請完了後、申請内容の変更はできません。申請システムの操作方法などは、事業再構築補助金事務局のシステムサポートセンターなどに問い合わせることができるので、申請は慎重に行いましょう。
4.採択結果の通知・発表を確認する
申請内容に基づき、事業再構築補助金事務局が審査を行います。
これまで公募では、審査の結果は、公募締め切りから2~3か月後に発表。応募申請者には、メールで通知があります。
過去の審査をみると、例えば直近の第7回公募では、申請が締め切られた令和4年10月5日までに、計1万5132件の応募があり、7745件が採択されました。第7回を含め、過去の採択率は50%程度です。
5.交付申請をする
採択された場合は、交付申請が必要になります。
交付申請に期限は定められていませんが、申請が遅れると事業期間が短くなり、補助金交付額減などにもつながる恐れがあるので、申請は速やかに行いましょう。
応募した事業計画が採択されても、応募の際に計上した諸経費がすべて補助対象として認められるわけではありません。交付申請に当たっては、補助対象となる経費を十分に精査することが必要です。
交付申請では、交付申請書のほか、直近の決算書や青色申告書・白色申告書、経費の見積もり額などに関する書類なども提出します。
6.補助事業を始める
交付申請の審査が完了すると、事務局から交付決定の通知が届きます。事務局が設定した交付決定日から、補助事業をスタートさせることができます。
交付決定日前に事業を始めたい場合は、「事前着手」の承認を受けることが必要。事前着手の承認を受けていない場合、交付決定日前に事業を開始した場合は、原則として補助金の交付対象にならないので注意が必要です。
補助事業の実施期間は、枠によって異なりますが、通常枠の場合は交付決定日から12カ月以内。一方で、「採択発表日から14か月後の日」が事業の完了期限とされており、この期限を過ぎて支出した経費は、補助対象外になるので、こちらも注意が必要です。
7.事業実績を報告する
補助事業完了後には、事業実績についての報告が必要です。
電子申請システムにログインし、「実績報告」のひな型(テンプレート)をダウンロード。必要事項を入力し、会計書類や証拠書類とともに送信します。
提出期限は、「補助事業の完了日から起算して30日を経過した日」、または「補助事業完了期限日」のうちいずれか早い日です。
期限までに提出しなかった場合は、交付決定が取り消されます。
8.精算払請求書を提出して補助金を受領する
実績報告の提出後、事業再構築補助金事務局が、提出内容を審査。必要に応じて実地検査なども行われます。
審査の結果、事業再構築補助金事務局が適正だと認めた補助対象経費について、補助金の額が確定されます。
事務局から「補助金確定通知書」が届いたら、補助金精算払請求書を速やかに申請しましょう。
請求書類に不備が無ければ、8営業日程度で指定の口座に補助金が振り込まれます。
事業再構築補助金申請時に注意する点
事業再構築補助金の申請に当たり、注意すべきことをまとめました。
ポイントは次の2つです。
- 必須申請要件を満たしているか確認する
- 書類不備のないようにする
それぞれ詳しく説明しましょう。
必須申請要件を満たしているか確認する
まず1点目です。
事業再構築補助金の交付には、いくつもの条件があります。
申請する事業が必須申請要件を満たしているか、しっかりと確認しましょう。
ちなみに「通常枠」の必須申請要件の次の通りです。
- 売り上げが減っている
2020年4月以降の連続する6カ月のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年たは、2020年1月~3月)のうちの任意の3か月と比較して、10パーセント減少していること。
または、2020年4月以降の連続する6カ月のうち、任意の3か月の合計付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費の合計額)が、コロナ以前の任意の3カ月と比較して15%以上減少していること
- 新分野展開、業態展開、事業・業種転換、事業再編に取り組む
中小企業に対する支援・相談を行っている認定経営革新等支援機関や金融機関ともに、事業計画を策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと
- 付加価値額の増加を見込む
補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%以上の増加、または従業員1人当たりの付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込んだ事業計画を策定すること
書類不備のないようにする
2点目のポイントは「書類」です。
事業再構築補助金の採択率は50%程度ですから、応募申請者の2分の1しか補助金交付が認められない計算です。
採択されるためには、必須申請要件を満たした上で、支援するに値する取り組みを進めていることが証明されなければなりません。実際に採択された事例などもチェックしながら、「採択されやすい書類」を作成することを心がけましょう。
提出書類の不備にも、十分な注意を払ってください。書類の不備により、不採択となったケースも少なくありません。事業再構築補助金事務局のマニュアルなども参考にしつつ、提出書類は十分に精査の上、提出するようにしましょう。
まとめ
事業再構築補助金の公募スケジュール、申請から補助金受領までの手続きの流れなどについて紹介しました。
コロナ禍の影響が依然として続く中、事業再構築補助金の役割は大きいと言えます。しかし採択率は、およそ50%。補助金を獲得するためには、入念な準備が必要です。補助金申請を検討している企業の方々は、この記事も参考に、令和5年度中に予想される公募スケジュールを踏まえ、十分な時間を取って作業を進めてください。
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