ものづくり補助金は個人事業主でも申請できる|事例や採択を受けるポイントを紹介

category :  EC売上UP

update :  2023/06/15(木)

staff :  nakahara

ものづくり補助金は「新商品・サービスの開発や生産プロセスを見直しを通じた生産アップ」を目指す中小事業者向けの制度です。

個人事業主も申請可能ですが、ハードルの高い面があることも事実です。

ただし採択されれば、事業者としての価値を高めることが期待できるため、ぜひ活用してください。

今回は、ものづくり補助金の採択を目指す個人事業者向けに、ハードルが高い理由、採択されるためのポイント、個人事業主の採択事例をご紹介。申請要件・申請手順・補助金額などの基本情報についても解説しています。

 ものづくり補助金は個人事業主でも申し込める

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者などを支えるための補助金です。

業種を問わず、個人事業主の方でも申し込むことができます。

はじめに、ものづくり補助金に申請するための要件と、個人事業主が審査で不利になるかを見ていきましょう。

ものづくり補助金の申請要件

ものづくり補助金の申請要件には、主に以下の4つがあります。

  • 中小企業者であること
  • 設備投資を行って革新的な開発・製造や生産プロセスの改善を行うこと
  • その事業が生産性の向上に寄与するものであること
  • 従業員の賃金が上昇していること

中小企業者

中小企業者は、中小企業等経営強化法第2条第1項によって「資本金」「常勤従業員の人数」が以下のように定義づけられています。

業種

資本金

常勤従業員

製造業、建設業、運輸業、旅行業

 3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円

100人

小売業

 5,000万円

50人

ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円

900人

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

上記の基準以下の資本金または常勤従業員数であれば、中小企業に該当します。

個人事業主には資本金がなく、従業員は多くても数名程度と考えられるため、中小企業の定義には必ず合致し、要件を満たします。

設備投資を行って革新的な開発・製造や生産プロセスの改善を行うこと

ものづくり補助金では「新しい製品・サービスの革新的な開発」もしくは「​​生産プロセスの改善」が求められています。

ただし、補助金の対象として認められるためには、これらの取り組みに「設備投資」が伴っていることが必要となります。

ものづくり補助金の対象は「革新的な開発・製造や生産プロセスの改善」の実現に必要な、設備投資の費用(機械装置の購入やシステム構築費用など)と、設備投資に関連する諸経費(運搬、外注、専門家への支払い費用など)です。

その事業が生産性の向上に寄与するものであること

ものづくり補助金の大きな目的は「中小企業・小規模事業者等の生産性アップのための取り組みをサポートすること」です。

つまり、生産性アップに寄与しない取り組みは、承認されない可能性があります。

ものづくり補助金は、事業単位で申請されますが「申請された事業の付加価値を高めること」が求められているのです。

従業員の賃金が上昇していること

ものづくり補助金の要件には、以下のように従業員の賃金上昇に関するものがあります。

  • 事業計画期間内に、従業員への給与支給総額が、年5%以上増加させる
  • 事業計画期間内に、事業場内の最低賃金を、地域の最低賃金よりも30円以上の水準にする

策定する事業計画は「3〜5年分」のため「3〜5年以内に、上記の達成が見込まれる事業計画」を立てなければなりません。

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個人事業主は不利でものづくり補助金に採択されにくい?

個人事業主は法人と比較して、ものづくり補助金への採択で不利になる傾向があります。

採択されるためのポイントを知る前に、多角的な面から個人事業主が不利な理由を知っておきましょう。

 個人事業主の採択率

個人事業主(※)の申請者の採択率は、増加傾向です。

1次締切から5次締切までの採択率の平均が「38.5%」であったのに対して、9次締切から12次締切までの採択率は平均「47.2%」にまで増加しています。

ただし、申請者の規模別で見ると、個人事業主は最も低い採択率となっています。

個人事業主の採択率は増加傾向にあるものの、個人事業主が採択されるハードルは高いと言えるでしょう。

(※従業員数0〜5人の申請者を個人事業主と表現)

(※9次締切から12次締切までのデータ)

個人事業主が不利な理由①技術的なハードルが高い

ものづくり補助金の公募要領では、以下のような要素から「技術面」が審査されると明記されています。

  • 革新的な開発の新製品・新サービスであるか
  • 開発における課題が明確になっているか
  • 適切な目標が設定されているか
  • 課題解決の方法が明確・妥当で優位性が見込まれるか
  • 技術遂行のための技術的能力が備わっているか

個人事業主でも、革新的なアイデアを思いつくことは可能です。しかし、それを実現するための技術的能力については、中小企業と比較して、人材・設備面等のハードルが高いことは否めません。

例えば、まだ一般的ではない生産方式やサービスを提案すれば、高評価が期待できる一方「達成のための技術的能力があるか」については、より一層厳しく審査されると考えられます。

個人事業主が不利な理由②補助事業実施のための体制を整えるのが難しい

ものづくり補助金の公募要領では、以下のような要素から「事業実施のための社内外の体制」が審査されると明記されています。

  • 人材
  • 事務処理能力
  • 専門的知見

特に従業員のいない個人事業主の場合、 専門的知見に優れていても、人材・事務処理能力をカバーする体制を整えることは難しいケースがあると考えられます。

個人事業主が不利な理由③財務状況が厳しいことが多い

ものづくり補助金の公募要領では、以下のような要素から「財政・資金面」も審査されると明記されています。

  • 最近の財務状況など
  • 金融機関などからの十分な資金調達を見込めるか

ものづくり補助金の入金は「補助事業終了後」のため、補助事業は自己資金あるいは融資で実施する必要があります。

個人事業主は中小企業と比較して、財政規模が小さく、景気・社会情勢の影響を強く受けやすい側面があり、審査においてネックになる可能性が考えられます。

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個人事業主がものづくり補助金に採択されるために押さえておきたいポイント

ポイント

個人事業主にかかわらず、ものづくり補助金に採択されるためには「事業計画書の作り込む」が重要です。

審査ポイントと加点項目を理解した上で、審査員からの高評価が期待できる内容を目指してください。

同時に、事業の遂行が可能であることを示さなければならないため、事業の実施体制・資金計画なども整えておきましょう。

事業計画書を作り込む

事業計画書を読んで審査するのは「外部有識者」です。

実施する事業に関係した専門家とは限らないため、誰が読んでも「事業の内容・優位性・魅力」などが伝わる内容を目指します。

具体的な内容にするため、可能な限り数字を盛り込み、ニーズがあることも示します。

ただし、事業計画書は「A4サイズで計10ページ以内」にまとめなければならないため、要点を示し、冗長表現は削りましょう。

3つの審査ポイントと加点項目を理解して押さえておく

ものづくり補助金では、以下の3つが審査ポイントとなります。

  • 技術面
    革新的な新製品サービスの開発となっているか、事業実施のための技術的能力が備わっているかなど
  • 事業化面
    事業を適切に遂行するための体制があるか、充分な資金調達が見込めるかなど
  • 政策面
    地域に付加価値を創出し、地域の経済成長に寄与するかなど

さらに、ものづくり補助金には以下のような加点項目があります。

  • 成長性加点
    「経営革新計画」承認を得た事業者(有効期間内に限る)
  • 政策加点
    創業・第二創業より5年以内の事業者など
  • 災害等加点
    「事業継続力強化計画認定」を得た事業者(有効期間内に限る)
  • 賃上げ加点等
    事業計画期間内における「一定以上の賃上げの誓約書」を事務局に提出した事業者

3つの審査ポイントをカバーすることはもちろん、該当する加点項目については、漏れなく記載するようにしてください。

事業実施体制を整えておく

個人事業主は、個人あるいはごく少人数の従業員のみで働いているため、組織的な事業を実施体制を整えることは困難です。

そこで、必要に応じて「外注の利用」も積極的に検討しましょう。

ものづくり補助金では、クラウドワークスや外注の費用も経費の対象となっていますので、社内外の体制を整えた上で、事業の実効性があることをアピールしてください。

資金計画を立てる

ものづくり補助金の振り込みは「事業終了後」となります。事業期間中は、補助金ではなく自己資金で事業を進めなくてはなりません。

個人事業主は、中小企業よりも財務状況が厳しいことも少なくないため、審査でも不利になる恐れがあります。

金融機関からの借り入れなども含め、事業の遂行・継続に問題が出ないような資金計画を立てておきましょう。

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個人事業主がものづくり補助金に採択された事例

個人事業主の写真

個人事業主の採択率は高くありませんが、審査ポイントを押さえた事業計画と、きちんとした事業実施体制・資金計画があれば採択される可能性が高まります。

実際に、ものづくり補助金に採択され、より良い事業を実現する個人事業主も少なくありません。ここからは「歯科医院」「パン屋」を例に、個人事業主がものづくり補助金に採択された事例をご紹介します。

歯科医院の事例

島根県の「さいとう歯科医院」は、開業からおよそ35年の地域密着型の歯科医院です。

より精密な根管治療と迅速なインプラント治療を可能にする、最新の歯科用CT導入を目的として制度を導入しました。

その結果、各治療の精度アップ・迅速化のみならず、精密なデータ取得をもとに、3Dプリンターによるマウスピース作成なども可能となり、顧客満足度の向上を実現しました。

 パン屋の事例

福島県の「近藤パン店」は、 石川郡浅川町の唯一のパン屋として近隣住民に愛されています。

安定した品質のパンの製造と生産性アップを目的に、大型ホイロと新たなオーブンを導入するため、制度を活用しました。

その結果、従業員が操作しても安定した品質のパンが製造できるようになり、パンの発酵時間の短縮と製造量の増加に成功。給食取引の増加に対応できる体制も整いました。

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ものづくり補助金の申請手順

ものづくり補助金の申請は「申し込み期限までに必要書類を用意し、電子申請する」という手順になります。

ここでは「必要書類、申請手順、スケジュール」それぞれの詳細について知っていきましょう。

必要書類

ものづくり補助金の申請には、以下のような書類が必要となります。

必要書類一覧

  • 事業計画書(A4サイズで10ページ以内)
  • 補助経費に関する誓約書
  • 賃金引き上げ計画の誓約書
  • 決算書等
  • 従業員数の確認資料
  • 労働者名簿
  • 応募申請時において再生事業者である証明する書類(再生事業者のみ)
  • 課税所得の状況を示す確定申告書類(回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ)
  • 炭素生産性向上計画及び温室効果ガス排出削減の取組状況 (グリーン枠のみ)
  • 大幅な賃上げ計画書(大幅な賃上げを行う事業者のみ)
  • 海外事業の準備状況を示す書類(グローバル市場開拓枠のみ)

個人事業主の場合は、決算書の代わりに「確定申告書等」を添付してください。

また、加点を希望する方は、追加書類の提出が必要なので公募要領でチェックしましょう。

申請手順

ものづくり補助金を申請するまでのステップは、以下の通りです。

  1. GビズIDプライムアカウントの取得
    ものづくり補助金の申請は電子申告のみです。電子申告には「GビズIDプライムアカウント」が必要なので、持っていない方はあらかじめ取得しておきましょう。
  2. ものづくり補助金の「電子申請システム」へログインする
    「ものづくり補助金総合サイト」 から「電子申請」のページへ移動し、システムにログインしてください。
  3. 必要事項の入力
    電子申請システムで必要事項を入力し、PDF化した事業計画書などの必要書類を添付した後、送信してください。
  4. 審査結果のチェック
    審査完了のお知らせがメールで届きます。電子申請システムへログインして、結果を確認しましょう。

スケジュール

ものづくり補助金の最新回(第14回)の公募は、令和5年1月11日にスタートしています。

令和5年4月19日まで申請できるため、制度を利用したい方はできるだけ早く準備を進めてください。

 

ものづくり補助金の種類と補助金額

ものづくり補助金には「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」の3種類があります。各型の詳細は以下の通りです。

一般型

新商品・新サービス開発や生産プロセスの見直し、生産性アップするため、設備投資を実施する事業者向けの型です。

グローバル展開型

海外市場の開拓・獲得を目指し、設備投資を実施する事業者向けの型です。

ビジネスモデル構築型

複数の中小企業をサポートする事業者向けの型です。

ここからはさらに、各型の補助上限額・補助率・補助対象となる経費などについて、見ていきましょう。

一般型

一般型は「通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠」の5枠をまとめた呼称です。

ただし、最新の14次の募集要項では「一般型」の呼称は使用されていません。

通常枠

ここでは、一般型の一例として「通常枠」の補助上限額・補助率・補助対象経費をご紹介します。

補助上限額

補助率

補助対象経費

1,250万円

1/2

(*小規模・再生事業者は2/3)

 

 

機械装置・システム構築費

技術導入費

専門家経費

運搬費

クラウドサービス利用費

原材料費

外注費

知的財産権等関連経費 など

 低感染リスクビジネス枠(新特別枠)

低感染リスクビジネス枠(新特別枠)は「一般型・グローバル展開型」の6次募集で新設され、9次募集を最後に終了しました。

現在申請することができませんが、参考までに9次募集の補助上限額・補助率・補助対象経費をご紹介します。

補助上限額

補助率

補助対象経費

1,000万

2/3

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 上記に加えて
  • 広告宣伝費・販売促進費

グローバル展開型

最新の14次では「グローバル展開型」の呼称はなくなり、グローバル市場開拓枠に名称変更されています。

以下、グローバル市場開拓枠の補助上限額・補助率・補助対象経費をご紹介します。

補助上限額

補助率

補助対象経費

3,000万円

1/2

(*小規模・再生事業者は2/3)

 

 

機械装置・システム構築費

技術導入費

専門家経費

運搬費

クラウドサービス利用費

原材料費

外注費

知的財産権等関連経費

海外旅費

(経費総額1/5が上限)

通訳・翻訳費

(経費総額1/5が上限)

ビジネスモデル構築型

ビジネスモデル構築型は、4次募集を最後に公募を終了しました。

現在申請することができませんが、参考までに4次募集の補助上限額・補助率・補助対象経費をご紹介します。

補助上限額

補助率

補助対象経費

1億円

1/2

(*小規模企業・事業者は2/3)

 

  • 人件費
  • 機械装置・システム構築費(備品費)
  • 旅費
  • 謝金
  • 会議費
  • 消耗品費
  • 広報費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 知的財産権関連経費
  • 外注費

まとめ

ものづくり補助金の申請において、個人事業主にはハードルが高い面があることも事実です。

ただし、事業の遂行が可能な体制を整え、しっかりとした事業計画を示すことができれば、充分に採択の可能性があります。

「事業が大変で、申請の準備にまで手が回らない」という方は、早い段階で専門家の利用も検討すると良いでしょう。

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