セレクトショップ開業の流れ|手順・仕入れ・手続き・必要な資金をわかりやすく解説

セレクトショップの開業を成功させるためには、正しい開業の流れを理解しておく必要があります。決めるべきことが多くあるため、この記事で確認しておきましょう。
そこで本記事では、セレクトショップ開業の流れを段階別にわかりやすく解説します。開業方法や開業資金の目安も紹介しているため、セレクトショップの開業を検討している方はぜひ参考にしてください。
セレクトショップの開業方法は大きく2つ
セレクトショップの開業方法を大きく分けると、実店舗とネットショップの2つです。
実店舗は顧客と対面でコミュニケーションを取れるため、商品の魅力を伝えやすく、顧客の購買意欲を高めやすくなっています。一方、ネットショップは場所の制約を受けないことから、遠方の顧客にも購入してもらうことが可能です。どちらの方法にもメリット・デメリットがあり、どちらかが優れているというわけではありません。
ここからは、実店舗とネットショップの開業方法について、それぞれのメリット・デメリット、有効なケースを解説していきます。どちらの方法で開業するか決まっていない場合には、参考にしてください。
実店舗での開業
セレクトショップを実店舗で開業するメリットには、顧客の商品を手にとってもらえる点が挙げられます。実際に見てもらうことで魅力が伝わりやすいうえに、顧客の悩みをその場でヒアリングして、悩みを解消できるような商品の活用方法を提案できれば購入に繋がりやすいです。
一方、実店舗に来店する顧客は、基本的に実店舗を開業するエリアを生活圏としている人であり、開業するエリアによっては集客が難しい点がデメリットです。さらに、家賃や水道光熱費、人件費などの費用がかかり、固定費だけで高額となってしまいます。
実店舗の顧客の多くは、そのエリアを生活圏としている人です。そのため、実店舗を開業したいエリアの近くに、住宅地があったり、学校や会社があったりする場合に、有効となっています。
ネットショップでの開業
セレクトショップをネットショップで開業するメリットは、場所や時間の制約を受けずに、商品を販売できることです。仕事終わりの時間など顧客にとって都合の良いタイミングで商品を見てもらえるため、昼だけではなく、夜にも商品が購入されます。また、インターネットが繋がっている環境であれば誰でも購入できるため、販売するエリアが制限されない点も魅力です。
しかし、購入前に実際に商品を手にとってもらえないため、想定していたものと違ったという理由で返品されたり、クレームに繋がったりする可能性があります。また、ネットショップを開業しても自然に集客できるわけではないため、集客の施策が必要となる点もデメリットです。
実店舗を構えずに、その費用を商品の開発に充てたい場合や、全国の人に商品を届けたい場合にネットショップの開業は有効な方法と言えます。
※当社2023年10月実績
セレクトショップ開業の流れ
以下の流れで、セレクトショップを開業します。
- コンセプトの設計
- 出店形態の選定
- 開業の届け出や手続きをする
- 仕入れルートの決定
- 設備・備品を整える
セレクトショップを開業する際はいきなり仕入れルートを決めたり、設備を用意したりするのではなく、まずはコンセプトを設計します。コンセプトをしっかりと設計できなければ独自性のあるサービスとならないため、具体的に決めましょう。ここでは、段階別にポイントや注意点を解説していきます。
①コンセプトの設計
セレクトショップにおけるコンセプト設計とは、独自性を生むために、どのようなセレクトショップを開業したいのか、セレクトショップの全体像を決めることです。具体的に3つの要素に分けて考えます。
要素 内容
誰に ターゲットの年齢や性別、職業、年収、趣味、ライフスタイル、興味があること など
何を 商品のジャンル
どのように どのように表現するか
コンセプト設計が不明確な場合、例えば「可愛らしい衣服を女性に販売する」では、3つの要素が具体的ではないため、独自性を持つとは言えません。
ここでは正しいコンセプトの設計例がわかるように、実際に人気のあるブランドのコンセプトを紹介します。例えば、レディースファッションブランドであるLIZ LISAでは『レトロとトレンドを融合し、「かわいい」女のコらしさが残るおしゃれを提案。トレンドには敏感だけど、自分のおしゃれを楽しむことができる女のコへ ディテールの可愛さ、ふわっとした柔らかい雰囲気をつめこんで・・・。』というコンセプトを掲げています。以下で、LIZ LISAのコンセプトを3つの要素に分類しました。
- 誰に:トレンドに敏感だけど、自分のおしゃれも楽しみたい人
- 何を:ディテールの可愛さや、ふわっとした柔らかい雰囲気を詰め込んだアイテム
- どのように:レトロとトレンドを融合して、かわいいが残るおしゃれを提案
②出店形態の選定
セレクトショップの出店形態は、以下の通りです。
- 実店舗
- ネットショップ
- 実店舗とネットショップ
実店舗とネットショップを両方とも開店すれば、より多くの人に商品を届けられます。しかし、同時に開店する場合には大きな負担がかかるため、どちらか一つを開店して、慣れてきてからもう一方を開店することがおすすめです。出店形態に悩む場合には、競合のビジネスモデルが参考になるでしょう。
③開業の届け出や手続きをする
セレクトショップを開業するためには、以下の届け出の提出が必要です。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
新たに個人事業を始めたことを税務署に知らせるための書類。税務署の窓口または国税庁のホームページで入手して、事業開始日から1か月以内に税務署に持ち込み・郵送・オンラインのいずれかで提出する。
- 所得税の青色申告承認申請書
青色申告特別控除を受けるために必要な書類。税務署の窓口または国税庁のホームページで入手して、事業開始日から2か月以内に税務署に持ち込み・郵送・オンラインのいずれかで提出する。
上記の書類を提出しない場合、最大65万円の青色申告特別控除を受けられなかったり、家族に支払った給与を経費として計上できなかったりします。確定申告で青色申告を行うためには、個人事業の開業・廃業等届出書を提出している必要があるため、上記の書類は同時に提出しておくことがおすすめです。
④仕入れルートの決定
コンセプト設計や出店形態の選定、届け出の提出が完了したら、仕入れ先を決定します。セレクトショップの仕入れルートには、以下のようなものが挙げられます。
【国内で仕入れる方法】
- 仕入れサイトで仕入れる
- 見本市や展示会で仕入れる
- 問屋街で仕入れる
- メーカーから直接仕入れる
【海外で仕入れる方法】
- 海外からの仕入れサイトで仕入れる
- 現地で買い付ける
下記の記事で、ネットショップの仕入れ方法について詳しく解説しています。上記で紹介している仕入れ方法のメリット・デメリットを詳しく解説しているため、ぜひ併せてご覧ください。
関連:ネットショップ開業のための仕入れ方法|国内・海外から仕入れる方法をそれぞれ解説
※同時制作の「ネットショップ 開業 仕入れ」に内部リンク
⑤設備・備品を整える
セレクトショップでは、出店形態に関わらず、設備・備品を整える必要があります。必要となる設備・備品には、以下のようなものがあります。
【実店舗で必要となる設備・備品の例】
- ハンガーやバー(洋服をかける場合)
- 商品を展示する棚
- レジ
- キャッシュトレー
- 電話
- 印鑑・朱肉
- 領収書
- ペン
- ショップカード
- 電卓
- ゴミ箱
- 輪ゴム
- ショッパー
- 梱包材
- ハサミ など
【ネットショップで必要となる設備・備品の例】
- 発送時の梱包材
- 発送時の緩衝材
- プリンター
- 撮影用機材
- 在庫・受注管理システム
- セキュリティ対策ソフト など
なお、実店舗の場合は、備品も店舗の雰囲気に影響するため、できるだけコンセプトに合うものを選びましょう。
※当社2023年10月実績
セレクトショップ開業に必要な資金目安
セレクトショップの開業に必要な資金は、実店舗の場合で1,000万円程度、ネットショップの場合で20〜100万円程度です。これより、それぞれの内訳を紹介していきます。
実店舗の開業に必要な資金目安
実店舗の開業で必要となる資金は、以下の通りです。
項目 |
資金の目安 |
店舗の賃貸料 |
200万円程度 |
店舗の外装・内装工事費 |
300〜600万円程度 |
設備・備品など |
100万円程度 |
販促費 |
50万円程度 |
水道光熱費 |
20万円程度 |
実店舗でセレクトショップを開業する場合に必要な資金の目安は、1,000万円程度です。店舗を構えるエリアや広さ、立地によって賃貸料は大きく変わるため、上記の数値は参考程度にとどめてください。
ネットショップの開業に必要な資金目安
ネットショップの開業で必要となる資金は、以下の通りです。
項目 |
資金の目安 |
パソコン・スマホなど |
20万円程度 |
プリンター |
1〜5万円程度 |
撮影用機材 |
5〜10万円程度 |
梱包材・緩衝材 |
1〜5万円程度 |
通信費 |
月額1,000〜2万円程度 |
レンタルサーバーの費用 |
月額1,000〜5,000程度 |
サイトのドメイン取得料金 |
年間1,000〜2,000円程度 |
在庫・受注管理システム |
月額1万円程度 |
セキュリティ対策ソフト |
月額3,000〜1万円程度 |
ネットショップの開業にもさまざまな費用がかかり、必要となる資金の目安は20〜100万円程度です。導入するパソコンや撮影用機材、システムなどのスペックによって費用は大きく異なるため、参考程度にとどめてください。
ちなみに、これらの費用を考慮せずに商品の販売価格を決めてしまうと、利益が出ずにセレクトショップ経営を失敗してしまいます。手数料などで利益を出せないことは、ネットショップ開業でよくある失敗例のひとつです。開業を成功させるためにも、ぜひ以下の記事で失敗例や成功のコツを理解しておいてください。
関連記事:ネットショップ開業のよくある失敗例|成功させるためのコツやEC販売の注意点を解説
※同時制作の「ネットショップ 開業 失敗」に内部リンク
まとめ
セレクトショップを開業するためには、まずコンセプトを設計する必要があります。誰に・何を・どのようにといった3要素を意識して、具体的にコンセプトを設計しましょう。コンセプトを設計したら、次は出店形態の選定や届け出の提出、仕入れルートの決定、設備の準備などを行います。やるべきことが多いですが、どれもセレクトショップの開業に必要なものであるため、忘れずに行ってください。
本記事では、セレクトショップ開業に必要な資金の目安も紹介しました。店舗を構えるエリアや用意する備品によって、かかる費用は大きく異なります。そのため、本記事で紹介した資金目安は参考程度にしてください。
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