【2023年最新(令和5)】小規模事業者持続化補助金とは|事例や不採択理由も解説

category :  EC売上UP

update :  2023/02/01(水)

staff :  nakahara

小規模事業者を持続的な経営をサポートする「小規模事業者持続化補助金」。 採択されることで最大250万円の補助金が受け取れます。

2022年3月末より、最新の公募受付がスタートしますので、興味のある方はこの記事で概要を確認しておきましょう。

今回は小規模事業者持続化補助金の概要、申請枠、補助対象となる経費、スケジュールや手続き期限、業種別の活用事例などをご紹介。さらに、審査基準や不採択になる理由と対策についても解説します。

 小規模事業者持続化補助金とは

 小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、生産性アップや販路開拓に取り組む小規模事業者をサポートするための制度です。

適切な経営計画を作成・申請し、採択されることで補助金を受け取ることができます。

なお、制度の対象となる「小規模事業者」は、以下のように定義されています。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外):常時使用する従業員数が5人以下
  • 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数が20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員数が20人以下

また、小規模事業者持続化補助金で、補助の対象となるのは「生産性アップや販路開拓に取り組みに必要な経費」です。

本制度には、いくつかの枠が設けられており、枠ごとに細かな申請要件ほか「補助上限額・補助率・対象経費」などが異なります。

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 【2023・令和5年度】小規模事業者持続化補助金の最新情報

前年度と令和5年度(2023年)の大きな違いは「インボイス特例」の新設です。

インボイス特例が適用されると、補助上限額が50万円アップします。

各枠の具体的な補助上限額は、次をご覧ください。

【2023・令和5年度】小規模事業者持続化補助金の申請枠と補助対象経費

【2023・令和5年度】小規模事業者持続化補助金の申請枠と補助対象経費

小規模事業者持続化補助金の申請枠は、通常枠が1つと特別枠が5つで、計6つあります。各枠の補助率と補助上限額は以下の通りです。

種類

補助率

補助上限額

通常枠

2/3

50万円(インボイス特例が適用される場合は100万円)

特別枠

(賃金引き上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠)

2/3

(*賃金引き上げ枠のみ、赤字事業者は3/4)

200万円(インボイス特例が適用される場合は250万円)

 

(*インボイス枠のみ100万円。また、インボイス枠にはインボイス特例は適用されません)

ここからは、各枠について概要や要件を見ていきましょう。

通常枠

小規模事業者持続化補助金における、基本の枠です。

この他の枠は、通常枠に申請要件が追加される形となります。

補助上限額は、他の枠と比較して最も低くなっています。 また、複数事業者で共同申請する場合は、通常枠しか申請できません。

通常枠の要件は以下の通りです。

要件

●経営計画に基づく、販路開拓のための取り組みであること、もしくはこれらの取り組みと併せて実施する生産性アップ(業務効率化)のための取り組みであること

●商工会・商工会議所のサポートを受けて取り組む事業であること

●事業終了後およそ1年以内に売上につながることが見込まれること

●パチンコ・ゲームセンター・マージャン、性風俗関連特殊営業などに関連する事業でないこと など

賃金引き上げ枠

賃金引き上げに取り組む事業者向けの枠です。

赤字事業者は、この枠の審査において加点されるとともに、補助率も引き上げられるため有利です。

賃金引き上げ枠の要件は以下の通りです。

要件

●事業終了までに「申請時の地域別最低賃金+30円以上の事業場内最低賃金」を達成すること

卒業枠

常時使用する従業員数を増やし、事業規模の拡大に取り組む事業者向けの枠です。

この枠では、雇用を増加させ「小規模事業者からの卒業」を目指します。

卒業枠の要件は以下の通りです。

要件

●事業終了までに「常時使用する従業員数の増員」を達成し、小規模事業者の従業員数を超えること

後継者支援枠

後継ぎの候補が、新しい取り組みを実施するケースの枠です。

ただし、中小企業庁が開催するイベント「アトツギ甲子園」でファイナリストになった事業者のみが対象となるため、後継者のいるすべての事業者が申請できるわけではありません。

後継者支援枠の要件は以下の通りです。

要件

●申請時点までに「アトツギ甲子園」のファイナリストに選ばれた事業者

創業枠

「特定創業支援等事業」の支援で創業した小規模事業者向けの枠です。

特定創業支援等事業は、新規事業の立ち上げ希望者に対して実施される研修制度で、研修受講によって補助金申請ができます。

創業枠の要件は以下の通りです。

要件

●特定創業支援等事業の支援で創業した事業者

●公募締切時から過去3か年の間に受け、かつ過去3か年の間に開業

インボイス枠

免税事業者からインボイス発行事業者へ転換し、販路開拓する事業者向けの枠です。

特別枠の中では、最も高額な補助上限額(100万円)となっています。

なお、12次募集より新たにインボイス特例が設けられることから、11次募集(2023年2月まで)で廃止となります。

インボイス枠の要件は以下の通りです。

要件

●2021年9月30日から2023年9月30日の課税期間で、免税事業者もしくは免税事業者であることが見込まれる事業者

●上記を満たし、適格請求書発行事業者に登録した事業者

 

 低感染リスク型ビジネス枠

低感染リスク型ビジネス枠は、新型コロナウイルス感染拡大に対する前向きな投資を支援する枠として設けられました。

補助上限額は100万円、補助率は3/4です。

しかし、この枠は廃止されており、現在は申請することができません。

補助対象経費

小規模事業者持続化補助金では、補助の対象となる経費が以下のように定められています。

  1. 機械装置等費
  2. 広報費
  3. ウェブサイト関連費
  4. 展示会等出展費(オンラインの展示会・商談会等もOK)
  5. 旅費
  6. 開発費
  7. 資料購入費
  8. 雑役務費
  9. 借料
  10. 設備処分費
  11. 委託・外注費

上記11種以外の費用を経費として申請すると、補助金の対象外となる可能性があるためご注意ください。

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インボイス特例とは

インボイス特例は、インボイス転換事業者(免税事業者からインボイス発行事業者へ転換する事業者)を対象に「それぞれの枠の補助上限額を、一律50万円アップする」という内容になります。

インボイス特例は12次募集からスタートし、代わりに2023年2月以降は「インボイス枠」が廃止されます。

【2023・令和5年度】最新の小規模事業者持続化補助金のスケジュール・手続き期限

【2023・令和5年度】最新の小規模事業者持続化補助金のスケジュール・手続き期限

ここからは、小規模事業者持続化補助金における最新のスケジュールについて確認します。

併せて、手続き期限からどのくらいで審査結果が出るのかについても知っておきましょう。

現在の受付スケジュール

小規模事業者持続化補助金の、現在の最新募集は「第11回」です。

申請受付は2022年3月末から開始されており「2023年2月20日(月)」に申請受付が締め切られます。

電子申請する場合は当日の23:59までですが、情報入力などに時間がかかる恐れがあるため、ご注意ください。

また、郵送する場合は当日消印有効です。

今後のスケジュール

次回の公募(令和4年度第2次補正予算事業)については、準備が整い次第のスタートとなります。

次回の公募を目指す方は、定期的に情報をチェックするようにしましょう。

審査結果の通知スケジュール

小規模事業者持続化補助金の審査結果は、受付締切日より2〜3ヶ月後程度です。

審査結果(採択結果)はJグランツ(電子申請システム)から、メールで通知されますので、忘れずに確認してください。

 

小規模事業者持続化補助金活用のメリット

小規模事業者持続化補助金の活用には、以下のようなメリットがあります。

  • 生産性アップや販路開拓の取り組みに対して、金銭的にサポートされる
  • 事業や経営の見直しができる
  • 商工会・商工会議所のサポートが受けられる

金銭面の負担が減ることは当然メリットですが、同時に、​​事業や経営の見直しができる点も大きな利点です。

小規模事業者持続化補助金の申請には、経営計画書の作成・提出が必要なため、その過程で自社の課題を発見することも期待できます。

申請に際しては商工会・商工会議所のアドバイザーから指導・サポートが受けられますので、外部の目からも事業や経営を見直す最良の機会と言えるでしょう。

 

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 小規模事業者持続化補助金の活用事例

 小規模事業者持続化補助金の活用事例

小規模事業者持続化給付金は、業種を問わず活用されています。

ここからは、小規模事業者持続化給付金のメリットを具体的に理解するため、7業種の活用事例を確認していきましょう。

飲食店の事例|〜〜制度活用でドリンクメニュー強化&オペレーションを合理化〜〜

山形県の「焼⾁いわじ」は、山形牛を主力製品とする焼肉店です。

競合他社との差別化や、オペレーションの合理化などを目的に制度を活用しました。

その結果、 地酒の品揃えを強化し、県外・訪日外国人の取り組みを目指すことができたほか、翻訳対応のWebサイトも新設。さらにWeb予約をスタートしたことで、繁忙時の電話対応も減らすことができました。

製造業の事例|〜〜産学官連携の新製品のセールスに制度を活用〜〜

宮城県の「株式会社畠茂商店」は、昭和元年創業の電気機械器具製造業者です。

東北大学のサポートを受けた産学官連携で完成させた通信機能付きの「SELゲージ」は、従来の測定方法の3倍の精度を誇りますが、多額の開発費がかかり、セールスにかかる経費が問題となりました。

そこで制度を利用し、セールスの経費を補う形で販路拡充に取り組むことができました。

美容室の事例|〜〜新しい椅子の導入で新規客・月10名増&売上15%アップ〜〜

 東京都の「美容室シェモア」は、昭和26年開業の地域密着型サロンです。

お店の椅子が老朽化したことから制度を利用し、腰への負担が軽減された最新チェア2台(カットチェアとシャンプー用チェア)を購入しました。

その結果、高齢者や妊婦に好評で、新規客は月10名増え、トータルの売り上げも15%増となりました。

ボディケア・サロンの事例|〜〜設備導入による環境改善でリピーターを創出〜〜

山形県のボディケアサロン「Canana」は、顧客満足度の向上を目指し、ボディケアの施術場所として活用される個室テントと新たなマッサージ機を導入しました。

その結果、リピーターの創出につなげることができました。

同時に価格体系の見直しやメニューの追加、SNSによる情報発信なども実施し、さらなる顧客満足度の向上と新規顧客の増加を目指しています。

農業の事例|〜〜自社農園の桃を使用したジェラートの販売価格に成功〜〜

山梨県の農業法人「有限会社ピーチ専科ヤマシタ」は、自社農園の桃を使用したジェラートを提供しています。

その販売拡充のために補助金を利用し、レシピの考案やチラシ作成など複数の取り組みを実施しました。

その結果、県内外の顧客・リピーター客の獲得に成功しました。

旅館・ホテルの事例|〜〜パンフレット&新聞チラシ作成で、集客&問い合わせを達成〜〜

長野県の「株式会社ホテルやまぶき」は、 駒ヶ根高原早太郎温泉にある宿泊施設です。

さらなる集客を目的として制度を利用し、結婚披露宴や同級会小旅行用のパンフレットや、新聞折込チラシを作成しました。

その結果、予約につなげることができ、問い合わせなどの反響も長期にわたって持続しました。

小売店の事例|〜〜バイリンガル対応のサイト制作で、アクセス数&受注数が増加〜〜

秋田県の「㈲花万」は、フラワーショップを営む小売業者です。

海外からの注文にも対応できるよう、制度を利用してバイリンガルのウェブサイトを制作し、決済システムも導入しました。

その結果、海外からも含めホームページアクセス数が倍増し、年間売上目標(50万円)が可能となりました。

小規模事業者持続化補助金の審査基準

小規模事業者持続化補助金は、以下を観点に審査を実施しています。

  1. 基礎審査
  2. 書面審査
  3. 政策加点審査

中でも特に重要なのが「書面審査」です。

書面審査では、申込者が提出した経営計画書や補助事業計画書について加点審査を実施し、トータルで高評価な順に採択されます。そのため、採用基準を満たしていても不採択となることがあります。

このように、思わぬ理由で不採択となることがあるため、不採択のケースを理解した上で、採択されるためのポイントを押さえるようにしてください。

小規模事業者持続化補助金が不採択になる理由と対策

小規模事業者持続化補助金が不採択になる理由と対策

最後に、小規模事業者持続化補助金が不採択になる理由と、採択されるための対策をご紹介します。

不採用の理由1:確認ミスで必要書類が揃っていない

小規模事業者持続化補助金の審査でまず実施されるのが「基礎審査」です。

基礎審査では、以下の4点が確認されます。

  1. 必要な書類・資料がきちんと提出されているか
  2. 事業者・事業内容・経費の対象などの記載内容が、要件に合致するか
  3. 補助事業を実施できる能力を有しているか
  4. 技術とノウハウを基に、主体的に活動する取り組みか

上記を満たさない限り「提案は失格となり、審査を実施しない」と公募要領にも明記されているため、注意が必要です。

小規模事業者持続化補助金では、複数の書類の提出が必要なため、確認ミスによる抜け・漏れは特に注意しましょう。

不採用の理由2:ほかの申請者の方が評価が高い

小規模事業者持続化補助金は、加点評価方式で、ポイントの高い申請から順番に採択されます。

仮に採用基準を満たし、書類に不備がなく、事業計画書に問題がなかったとしても「他の申請者の方が高評価だった」ために、不採択となるケースがあるのです。

具体的に近年では、応募者の30〜40%は不採択となっています。

不採択の可能性を下げるためには「採択されるための対策」を充分に講じる必要があるのです。

採択されるための対策

小規模事業者持続化補助金で採択される可能性を高めるためには、以下4つの対策を講じてください。

  1. 書類はしっかり確認する
  2. 資料のわかりやすさを工夫する 
  3. 専門家にサポートを依頼する   
  4. 加点措置を確認してみる

書類はしっかり確認する

提出書類に不備があると審査が実施されないため、しっかりご確認の上、抜け・漏れのないように揃えましょう。主な必要書類は、以下の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書
  • 経営計画書兼補助事業計画書①
  • 補助事業計画書②
  • 事業支援計画書
  • 補助金交付申請書
  • 宣誓・同意書

小規模事業者持続化補助金では、提出する資料の量が多いため、余裕をもって準備してください。

また、個人事業主の方は上記に加えて「直近の確定申告書/所得税青色申告決算書/開業届のいずれか」が必要です。

さらに、特別枠の申請に際しても、上記以外に各枠ごとの必要書類を用意しなければなりません。

資料のわかりやすさを工夫する

小規模事業者持続化補助金の審査は、外部有識者によって実施されます。

申請者の業種・業界に詳しくない可能性もあるため「わかりやすさを重視した資料を作成すること」が重要です。

具体的には、必要に応じてグラフや写真を使い、視覚的・直感的に理解できる内容にします。

また、可能な限り数字を用いて利益や売上を示すことで、 具体的で明確な内容の資料作成が期待できます。

専門家にサポートを依頼する

小規模事業者持続化補助金の申請には、複数の書類が必要で、資料作成にも時間や労力が掛かります。

事業者自身で書類・資料を作成すると、本業にも影響する恐れがあるため、専門家にサポートしてもらうことがベストです。

専門家にサポートしてもらうことで、ポイントを押さえた書類・資料作成が可能となり、抜け・漏れを防ぐことができます。

加点措置を確認してみる

小規模事業者持続化補助金の審査では、一定の条件を満たす事業者に対して、加点を実施しています。

具体的には 、以下のような加点が設けられています。

  • パワーアップ型加点
  • 赤字賃上げ加点
  • 経営力向上計画加点
  • 電子申請加点
  • 事業承継加点
  • 東日本大震災加点
  • 過疎地域加点
  • 災害加点
  • 事業環境変化加点

加点が適用されれば、優先採択の可能性も高まるため、該当するものは全て明記しましょう。

中には、小規模事業者持続化補助金を電子申請するだけで「電子申請加点」が受けられるなど、ハードルの低い加点措置もあるため、しっかりと公募要領をご確認ください。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、中小企業者や個人事業主などの小規模事業者を対象とした制度です。

販路開拓や生産性アップを目指す事業者であれば、活用を検討する価値があります。

最新公募(第11回)は、2023年2月20日(月)まで申請できるため、事業計画のアイデアがある方などは応募を目指して準備を進めましょう。

はじめて応募する方は、専門家にサポートを依頼するとスムーズです。

小規模事業者持続化補助金は、申請すれば必ず採択されるわけではありません。

ポイントの高い事業から順番に採択されるため、加点措置なども含め、審査員に要点やメリットが伝わりやすい事業計画書・資料の作成を心がけてください。

 

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