地酒販売のパイオニア!佐野屋 地酒.comを運営する株式会社クラビシュ様
コレカラお客様インタビュー第10回目は、、、 大阪府枚方市で獺祭などの地酒を専門に販売する株式会社クラビシュ様。もともとは地元枚方の酒販店だったお店がネットショップを始めたきっかけ、また「地酒といったら佐野屋!」と言われるまでになったその理由を代表の佐野様に伺いました。
今までの日本酒の概念を打ち消すおいしさに感銘を受けて
まずはネットショップを立ち上げた経緯を教えてください。
当初は店頭で日本酒を売っていたんですけど、思ったように売れず苦戦していたんです。当時はまだ今のような地酒専門店ではなくて、一般的な街の酒販店だったんですね。
どうして地酒を専門にしようと?
理由は2つあって、1つ目は酒販免許の規制緩和です。酒販免許の取得がどんどん緩和されて今まで通りでは生きていけなくなってきて。 何らかの事業形態を変えなければならないという時期に迫られていました。周りの酒販店はコンビニエンスストアに変わったり、業務専用の酒販店に変わったり、さまざまでした。
その中で「日本酒専門店」を選んだ理由はやっぱり自分自身、日本酒が大好きだったいうのがあります。
まぁでも実は僕、もともと日本酒は苦手だったんですけどね。
え?(笑)そうなんですか?
日本酒って「酒臭くてオヤジが飲むもの」っていうイメージがあって、いい印象がなかったんですよね。 でもあるとき、白いすりガラスの瓶に入った日本酒がおしゃれなグラスと一緒に出てきたことがあって。それを飲んだとき「これは本当に日本酒なのか」と思うほどさわやかでフルーティーで。今までの日本酒の概念を打ち消すおいしさだったんですね。
そのお酒に出会ったときに「日本酒にもこういう世界があるのか」と気が付いて。このお酒はどこのだろうと興味を持って調べたところ、地元のお酒だったんですね。 「あぁ、地元でもこんなにいいお酒が作れるところがあるんだ」と。地酒ってこんなにおいしいものが作れるのかと改めてびっくりして。それが地酒との出会いで、地酒を扱うようになったきっかけです。
2つ目の理由は同じ枚方市に地酒の専門店があって、そこがめちゃくちゃ売れてるって聞いたんですね。地酒だけで1億円超えそうみたいな。 そんな地酒だけで1億円も超えられるのかと衝撃で。なので目指すはこっちの方法だと思ったんですよね。そうすれば仕事にやりがいも出るんじゃないかと。
というのも実は酒屋はもともと父の店だったんですけど、継ぎたくて継いだわけではないんですよね。 東京でソフトウェア開発の仕事をしてたんですけど、父の病気がきっかけで酒屋を継いで。だから仕事そのものがおもしろくなかったんですよ。
でも日本酒・地酒に出会ってから、仕事の楽しさを見つけることができたんです。店を地酒専門店にすることが成功すれば売上げが上がるということが分かって、仕事頑張ろうという気持ちになれたというか。
では地酒は佐野様の仕事に対する考え方も変えてくれたんですね。
そうですね。それでいざ頑張ってみたんですけど、実店舗では売れなくて。そんなときインターネットが普及し始めたんです。 ちょうど先輩の酒屋さんが事業拡大のために枚方だけでなく大阪市内まで進出するようになったんです。でも僕はもっと大きな市場が必要だと思って。地元よりももっと大きな市場。それがネットショップだったんです。
サイトはどのようにして作られたんですか?
まずは競合の調査から始めました。 大きな会社はWebサイトを持っていたんですけど、機能面ではまだまだ弱かったんですよね。商品はサイトで見られるけど、注文は電話かFAXでお願いしますみたいな。注文方法がなかったんですよね。しかも商品写真も小さくて。
だからうちはWebサイト上で注文ができるようにしようと決めました。買い物かごをつけて、複数の商品を同時に買えるようにしたいなって。 あとは写真も他社よりも大きくきれいなものを使いたいなと。
元々ソフトウェアの仕事をしていたので、htmlを使ってサイトを作ることはできたんですよね。だから先行している同業他社よりもいいページを作って目立ってやろうじゃないかと。 そこでいろんな商品を取り扱うことで完全な地酒の専門家を目指そうというのが当初のスタートですね。
ネットショップ改善提案を聞ける
自分が魅力を伝えたいと思える商品は売れる
いま相当な月商があると思いますが、そこに至るまでで成功した作戦などありますか?
大きくは2つあって、1つ目は心構えですね。 初めの半年ぐらいは全く売れていなくて。そのころ大手百貨店もネット販売は苦戦しているというのがニュースで流れていて。大手も売れていないのに僕らが売れるわけないやん!と半ば諦めぎみだったんですね。
そんな中、ネットショップの成功者が現れたんですよ。京都のTシャツ屋さんで。すぐにそのサイトを見に行ったんですけど、結局なんで売れているのかわからなくて。
あるときに関西Webマスター塾っていう勉強会があるのを知って。その勉強会になんとそのTシャツ屋さんが講師として来ると!すぐにその勉強会に申し込みをしました。
勉強会のあと事務所も訪問させてもらって。最初は売れてるなんて半信半疑だったんですけど、実際に事務所を見させてもらったら、本当に注文がたくさん来てたんですよ。
それでじゃあどうしたらこんな風になれるのか、徹底的に違いを見ていったんです。 そうしたら1番最初の違いというのが販事業者としての心構えが僕にはなかったっていうことなんですね。 僕は単なる酒屋の延長線上で、インターネットでお酒が売れたらええなっていう程度だったんです。それに対してそのTシャツ屋さんは通販事業者としての心構えが座ってたんですよ。
まずどこが大きく違ったかというとお支払方法についての説明が多かったこと。僕はそこの配慮が全くなくて代金引換か銀行振込で、振り込みが確認できたら送りますっていう、あっさりした対応をしていたんです。 でもそのTシャツ屋さんは当時は珍しかった後払いの制度を導入していて。今では当たり前ですけど、当時はネットショップで後払いを導入するなんで考えられなかったんですよ。でもやっぱりお客様を信用していないと、お客様も僕らを信用してもらえるわけないよなと。 そこでお支払い方法に後払いも追加して、その説明ぺージも強化しました。
2つ目はメルマガですね。 知り合いのワイン屋さんがネットショップで売れるようになったらしく、その理由を聞くとメルマガだと。 そのワイン屋さんの方は本とかも出してるぐらい文章を書くのが大好きで、めちゃくちゃうまいんですよ。ワインの説明とかなんですけど、うんちくを語るんではなく上手に笑わせるように世間話を交えながら書いていて。そういったメルマガはおもしろいからみなさん購読するんですよね。
だから僕も頑張ってメルマガを書こうと!でもそんなんいきなり書けるわけないんですよ。 なんとか購読者を増やそうといろいろ考えた結果、プレゼントで釣るしかなくて。「プレゼントが当たるメールマガジン」みたいな感じで書くとすごい数の登録が来るんですよ。1週間で1万人とか。
でも購読をやめる数も恐ろしいぐらいいて。プレゼントで集めた購読者はプレゼントが目当てなので、全然お客様にはなってくれないんですよね。
1番いいのはご注文されたお客様にメルマガ登録をしてもらうこと。でも元の注文数が少ないからそれも無理があって。 とりあえず必死に購読者をかき集めてメルマガの練習していくわけなんですよ。そうすると最初は下手やった文章がちょっとずつ慣れて売上げに繋がっていって。
1番売上げに繋がったメルマガとかありますか?
具体的な数字を入れて限定感を出すことですかね。 白露垂珠のしずく酒という商品のメルマガだったんですけど、そのお酒は希少性が高く100本ほどしか取れないと。製造方法が珍しい商品だったのでその説明と、今回蔵元に在庫が30本しかなくそのうちの6本を入荷しました!みたいな説明を書いたところ全部売れたんですよ。
そのあとも「前回のしずく酒が大好評で買えなかったお客様のために追加で入荷しました!」というような内容で送ったら、それもまたすぐにバンっと売れて。
そのときに気が付いたのが、ネタが書ける商品でないと売れないんだなっていうこと。「何書こうかな、書くことないな~」という商品は売れないんですよね。
だから商品の選定も紹介文がスラスラ書ける蔵から仕入れていくことにしたんです。いい文章が書ける蔵の商品はよく売れるんでね。 逆に何書くか思い浮かばないところは取引しないっていう風に決めて。それがやっぱり大きく変わった1つですね。
そんな感じで他の酒屋さんや百貨店では売ってない、地酒専門店だけに卸す特別銘柄を中心に仕入れることでショップにもメルマガにも特別性が出るようになり、だんだん売上げも上がるようになっていきました。
じゃあ商品を選定するっていうのが結構肝なんですね。
そうですね。一度大手コンサル会社にコンサルをお願いしたことがあるんですよ。 そこで言われたのが1年以内に日本で1番を取れるところを選びましょうという作戦。
日本酒で日本一を取るのが難しければ地酒の1品種で日本一を取る。これなら頑張れば・努力すれば1年以内に日本一が取れるもの。それに絞って日本一を狙っていきましょうと。それが獺祭だったんです。
なので獺祭にフォーカスを絞って売っていったんですよ。そうするとうまいこと1年で日本一の獺祭の販売店になれたんです。 そうしたら獺祭自体がブレイクしてテレビにも出るようになって。 いくらブランドが強くても商品が入ってこなきゃ意味がないので、無名の間に販売実績を作ることは大切やなって思いましたね。
あとはもう1つそのコンサル会社から言われたことが「全国の酒蔵を回る」ということで。 酒蔵を回ってそのレポートをブログに書くんです。それをすることによって、取引していない蔵の情報も増えて、日本酒のあらゆるキーワードで検索したときに佐野屋のブログが出てくるということで。
いま取り扱ってる銘柄が40弱あって、その取り扱ってる銘柄に対しては上手にSEO対策をやってるかもしれないですけど、そうじゃない取り扱えない銘柄・酒蔵もあるわけで。 そういう酒蔵もとりあえず訪問してブログを書いていったんです。そうしたらもちろんそのブログ自体、サイトのSEOを高めてくれたっていうのもあるんですけど、酒蔵に足を運ぶことで自然といい酒蔵に出会うこともできたんですね。
なるほど!一石二鳥だったんですね。
初めはブログを書くために酒蔵を訪問してたんですけど、結果的に取引先も増えてさらに魅力のあるショップにすることができたんです。
だから僕は小さな日本一の積み重ねが大きな日本一にステップアップしていくのかなという風にイメージしていますね。
日本一の地酒屋として日本酒の世界を海外に広めていきたい
今後のビジョンを教えてください
やっぱりまずは日本一の地酒屋さんになることですね。日本一の地酒屋と言ったら「佐野屋」という風になれたらいいかなと。
あとは外国の方にも地酒の良さを知ってもらいたい。日本に来た外国の方が日本で買える英語のサイトを作りたいんです。 日本に来た時にお酒を買って帰りたいという方が結構いらっしゃって。なので輸出するわけではなく、外国の方が日本にいるときにネットで買えるサイトですね。あくまでも日本市場を中心にした考え方です。
日本でも外国の方の注文って結構増えてるんですよ。でも英語でここまで詳しく日本酒のことが書かれたサイトってないらしくて。 よく外国の方から「海外では日本酒の情報が少ない。だから日本の酒蔵を訪問した記事とかが英語で書いてあれば、外国人からしたらすごく助かる。」というお声をいただくんですね。
なので外国語、できたら日本語・英語・中国語の三か国語で書いて、日本酒の世界や日本に来たときに飲んでもらう・買ってもらうお酒の情報を提供していきたいですね。
ネットショップで成功するために必要なのは全国の同業者と戦う覚悟
では最後にこれからネットショップを始める人にひとことお願いします。
ネットショップのメリットって全国に発信できること。でも逆を言うと全国の同業者がライバルになるということでもあって。
どんな業界でも競合は必ずいます。その業界No1と戦わないといけない。その覚悟が必要です。 そことの戦いは絶対避けられないですからね。
負けるのは決まってるから2番目3番目でいいです、という気持ちでは絶対だめです。いかにあいつらよりも上に行くか。その強い気持ちが大切です。
ネットショップ改善提案を聞ける
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