野菜・果物の販売許可とは|個人農家の販売方法(ネットや無人販売など)も解説
株式会社これからの取締役。 2004年、IT系上場企業に新卒入社。ECサイトのコンサルティング営業に従事。 その後、株式会社これからに創業メンバーとして参画し、取締役就任。 小規模ショップから東証1部上場企業まで、500社以上のECサイト戦略について支援。 自社ECサイト支援で業界トップクラスの実績を誇る。 年間100回以上のECセミナー登壇や大規模展示会での講演多数。 書籍「図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)の執筆も手がける。
「個人で作った野菜や果物を販売するのに必要な許可は何だろう?」 というお悩みをお持ちではありませんか? 基本的に、野菜・果物を加工しなければ販売許可は不要です!しかし、加工した野菜・果物(ジャムや漬物など)を販売する場合は、販売許可(営業許可)を取得する必要があります。
「どのような販売方法があるの?」 主な販売方法は以下の通りです。
- ネット販売
- 無人販売
- 道の駅
- 農協(JA)
- 直売所
- 移動販売
販売するまでの必要な工程は異なりますが、基本的に個人で栽培した野菜・果物を販売するだけなら許可は不要です。今回は、自分に合った販売方法が見つけられるよう、各種販売方法をご紹介していきます!
野菜・果物に必要な販売許可とは
野菜・果物に必要な販売許可は、自分で栽培した野菜や果物を販売する場合は、許可や資格は必要ありません。しかし、販売する商品(農産物加工品など)や販売場所によって食品営業許可または食品営業届出が必要になります。
販売方法 |
販売許可(営業許可) |
注意点 |
ネット販売 | 不要 |
・特定商取引法を守る義務有り ・農産物加工品を販売する場合は、営業許可と食品衛生責任者資格が必要 |
無人販売 | ・農産物加工品を販売する場合は、営業許可が必要 | |
道の駅 | ||
農協(JA) | ||
直売所(個人) |
・他農家の農産物の販売や加工品の販売は許可が必要 | |
移動販売 | ・販売場所によっては、許可が必要 |
食品営業許可または食品営業届出の要・不要の判断が難しい場合には、管轄の保健所に確認するとよいでしょう。
野菜・果物の6つの販売方法
これまで、卸売業者に出荷する方法が多かったですが、さらなる売上UPのために販路拡大を考えている農家さんも多いとおもいます。卸売業者以外にも販売できる方法はたくさんあります。以下にまとめましたので参考にしてください。
- ネット販売
- 無人販売
- 道の駅
- 農協(JA)
- 直売所
- 移動販売
ネット販売
コロナの影響からネット販売に参入する方が増えています。 ネット販売には以下の種類があります。
- 自社ネットショップで販売する
- モール型のネットショップに出店する
- 産直販売のプラットフォームに出店する
- フリマアプリに出店する
ネット販売は、営業時間や場所に制限されることなく販売することができます。 そのため、販路を拡大していきたい方にはおすすめです。
個人で栽培した野菜や果物をネットで販売する場合、販売許可は不要です。しかし、ネット販売では、特定商取引法を守る義務があることと、農産物加工品を販売する場合は、営業許可と食品衛生責任者資格が必要になりますのでご注意ください。
メリット | デメリット |
・営業時間や場所に制限されない ・販売作業の一部を自動化できる ・販売する土地が不要 |
・ネット販売の運営に慣れる必要がある ・ネットへの集客に工夫が必要 |
※当社2022年8月実績
無人販売
無人販売は、無人で販売する方法です。 加工食品の販売ではないことと、自身が所有する土地の敷地内の場合であれば、許可は不要です。 つまり、自分で栽培した野菜や果物を自身の所有する土地の敷地内で販売するのであれば、許可をとる必要はありません。開店時に商品を並べて、商品がなくなれば補充をして、基本的に営業時はなにもしなくてOKです。ほぼ自動で稼ぐことができますが、無人である以上盗難の可能性はあります。実際に一定数の人はお金を払わなかったりされるようです。また、天気や立地によっては売上が左右されるようです。例えば、雨の日などは売れ行きが良くない傾向にありますし、当然立地によっては集客率も変わってきます。不確定な点が多いことは注意です。
メリット | デメリット |
・業務負担が少ない ・中間マージンがない |
・盗難のリスクがある ・売上に波がある。 |
道の駅
道の駅とは、全国の一般幹線道路に設けられた、駐車場付き休憩施設のことを言います。この休憩施設を道の駅と呼び、道の駅では野菜や果物を販売することができます。 販売方法は、各道の駅によって異なる場合があるので、販売を検討している道の駅に直接問い合わせをしてみると良いでしょう。道の駅は、地元の消費者以外に観光客に向けても販売することができます。幅広い客層に販売できる点はメリットと言えるでしょう。その他、売値の15%の出店手数料※が発生することもあるので覚えておきましょう。※各道の駅により異なる
メリット | デメリット |
・幅広い客層に販売ができる ・自分で価格を決められる |
・競争が激しい場所である ・販売手数料が発生する |
※当社2023年10月実績
農協(JA)
農協(JA)の直売所に、個人で栽培した野菜や果物を持ち込んで販売する方法です。 ネット販売と同様で、加工食品でなければ許可は不要です。
農協の一番のメリットは、出荷した野菜や果物を「全量買い取り」してもらえることです。しかし、農協の定めた規格に満たしていなければ出荷することができません。例えば、少しでも虫に食害された部分があるだけでも出荷NGになります。農協に出荷するには高い品質が求められます。
農協に出荷する場合は、農協が出品者の野菜や果物を買い取るという形になります。農協が買い取る金額は市場の状況に左右されます。そのため、農家側では金額を決めることができません。買い取り金額に高い日や低い日がある可能性があるのでご注意を。
メリット | デメリット |
・規格を満たせば全量買い取りされる |
・野菜や果物に高い品質が求められる ・出品者は価格を決められない ・市場の状態によって買い取り金額が左右される |
直売所(個人)
既存の直売所に販売するのではなく、個人で直売所を開き販売する方法です。圃場や自宅の敷地内に作られていることが多いです。個人の直売所は「自宅の敷地内」であれば許可・届出は不要です。例えば、台や簡易的な小屋を立てて販売するだけであれば許可や届出は不要です。 個人の直売所の場合、売上の全てが収入になります。集客は売るための仕組みづくりには苦労する点があるかもしれませんが、上手くいけば大きな利益を得ることができます。
メリット | デメリット |
・品質は出品者の判断 ・出品者が価格を決められる |
・完売する保証はない ・販売する土地や小屋が必要 ・マーケティング対策が必要 |
移動販売
移動販売は、店舗を持たずに軽トラなどを使い、様々な場所で商品を販売する方法です。 移動販売の場合、販売する場所によっては許可が必要です。例えば、イベントスペースでの販売は、運営元に確認する必要があります。公道であれば、市区町村の役所で道路使用許可を取る必要があります。※場所によっては許可が必要なので、事前に調べてから移動販売をスタートするとよいでしょう。もちろん、加工品の販売には営業許可が必要です。
※参考:カスタム軽トラで野菜やパンを売りたい! 移動食品販売にはどんな許可が必要?
メリット | デメリット |
・出店場所が自由 ・出店タイミングが自由 ・店舗費用がかからない |
・天候によって売上が左右される ・販売場所によって売上が左右される |
まとめ
今回は、野菜・果物の販売許可や販売方法についてご紹介しました。 消費者の購買行動が多様化している中で、農家の方が消費者に直接商品を販売できる時代になりました。直接販売すると、中間マージンを取られないので、仲卸業者に卸すよりも利益を拡大させることができるでしょう。多様な販売方法があるので、ご自身の経営方針に合った販売方法を始めてみてはいかがでしょうか。
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