アップセルとは|クロスセルとの違いや代表的な事例・成功させるコツ

category :  EC売上UP

update :  2023/03/17(金)

staff :  nakahara

Webマーケティングの世界でよく使われる言葉に、アップセルがあります。アップセルの主な目的は、顧客一人当たりの売上高(顧客単価)の向上にあるのですが、Webの世界だけでなく、日常生活のいろんな場面で使われています。今回は、アップセルの基本的な営業手法、成功させるポイント、代表的な戦略事例などを紹介します。アップセルを活用して売上を伸ばしたい方、アップセルをECサイトに導入したい方はぜひ参考にしてください。

アップセルとは

アップセルとは、顧客が検討している商品や過去に購入した商品の価格帯よりも、高額な商品を提案して購入してもらう営業手法をいいます。

アップセルは実店舗、ネットショップ、BtoB、BtoCなどを問わず、よく使われている手法です。例えば、家電量販店で10万円のノート型パソコンを見ているとき、「こちらが最新機種で便利な機能が付いて、使いやすいです」と店員から20万円の商品をすすめられたり、ネットショップで育毛剤を単発で購入しようとしたところ、突然ポップアップ画面が現れ、「3本ごと定期購入する方がお得で、買い忘れがありません」と促された経験を持つ方も多いと思います。

アップセルに対して、逆の手法をダウンセルといいます。検討中の商品や過去に購入した商品よりも、下位の価格帯の商品を提案して購入してもらうのが、ダウンセルです。

クロスセルとの違い

アップセルによく似た営業手法として、クロスセルがあります。クロスセルとは、顧客が検討している商品、過去に購入した商品に関連する別の商品を購入してもらう営業手法です。

例えば、ハンバーガーショップで注文する際に、ポテトやセットメニューをすすめられる、ノート型パソコンを購入する際、Wi-Fiのセット契約をすすめられる、というのはクロスセルに該当します。ネットショップでは、送料が無料になる金額を掲げて追加購入を促す、保険のセールスの手法もクロスセルです。

アップセルもクロスセルも、顧客単価を上げる営業手法ですが、アップセルはより上位の商品をすすめて購入を促す手法なのに対し、クロスセルは関連する別の商品の上乗せ購入を促す点が異なります。

 

営業手法

アップセル

購入を検討している、もしくは過去に購入した商材よりも、上位の商材の購入を促す

クロスセル

購入を検討している、もしくは過去に購入した商材に関連した商材の上乗せ購入を促す

 

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アップセルで期待できる効果

アップセルは顕在顧客や既存顧客に対するアプローチとして有効で、アップセルに成功すると、顧客単価が上がるだけでなく、自社の売上総額も上昇することが期待されます。さらに、営業活動を効率的に行う観点からも、アップセルは営業効率化を強力にサポートしてくれます。より上位のグレードの高い商品やサービスを提案することで、顧客の認知度が高まり、顧客満足度も高まります。

それぞれの効果を詳しく見ていきます。

顧客単価がアップする

売上総額は、顧客の数×顧客単価で計算するのですが、アップセルを行うと、顧客単価がアップします。アップセルによって顧客単価がアップできれば、顧客の数を変わらなくても売上総額を増やすことができます。

営業効率がアップする

売上総額の計算式をもう一度確認します。顧客の数×顧客単価で、営業効率がアップすることは、顧客の数に関係するイメージです。

顧客の数を伸ばすには、新規顧客を開拓する必要があり、従来は新規顧客の開拓に重きが置かれていました。しかし、、行動心理学の「1:5の法則」が紹介している通り、新規顧客1人を獲得するコストは既存顧客の5倍必要となるため、最近では、既存顧客への営業活動を重視する傾向が高まっています。

既存顧客や顕在顧客に労力と時間を集中させることで、営業効率の上昇につながります。

顧客満足度がアップする

アップセルによって、顧客は検討していた商品よりもグレードの高い、高品質の商品の存在を認知することになります。どちらが自分の生活スタイルに合っているのか、生活がより便利になるかなどを、比較検討して購入することになるため、顧客満足度がアップします。

アップセルの基本的な営業手法

アップセルでよく用いられる手法として、お試し期間を設ける、割引キャンペーンを実施する、購入後のサポートを充実させる方法があります。これらの方法は、購入を決断する際の障壁を低くする役割を果足してくれます。それぞれの方法のポイント、注意点なども交えて紹介します。

お試し期間を設ける

お試し期間を設ける営業手法は、新聞や雑誌の定期購読、Amazonプライムやネットフリックスといった定額使い放題のサブスクリプションでおなじみです。「1カ月無料でお試し」という形で、まずは使ってもらい、顧客との継続的な関係を構築しながら、さらに上位の商材を提案します。

継続的なサービスは顧客との信頼関係を構築しやすいため、顧客の信頼度などをしっかり見極めた上で行うのがポイントです。

割引キャンペーンを実施する

割引キャンペーンを実施する営業手法は、化粧品などの消耗品のまとめ買いや定期購入、スマホの買い換えなどに用いられています。購入しようとしている顧客、もしくは買い換えの必要性を感じている顧客に対し、初回限定の大幅割引を提案することで、「どうせなら長く続けよう」「安く買えるならグレードの高い商品に買い換えよう」という気持ちになるよう刺激を与えます。

単発で商品を購入する際も、「◯円以上のお買い上げ」に対して、20%割引や送料無料といった割引キャンペーンを実施すると、購買意欲がかき立てられます。

アップセルを行う際、顧客に対して、変化に対するメリットを持ってもらうことがポイントです。納得していない顧客に対して、アップセルを行うと、反感をかったり、最悪の場合、他社に乗り換えられてしまう可能性があります。

購入後のサポートを充実させる

商品を購入した後のサポートを充実させることも大切です。

魅力的な機能やサービスを準備していても、存在を知らないと利用されることはありません。購入後に「使い方が分からない」などの不満の声が上がらないためにも、コールセンターの電話番号を教える、不明な点があれば店舗で対応できるようにするといった対策を施すと、「壊れたとき、また同じ店から買おう」という気持ちが強くなります。

購入後のサポートを充実させることで、顧客ロイヤルティが育ちます。顧客が本当に求めている機能やサービスを提供することがアップセルとなり、顧客の課題解決と自社の商品の活用が同時に実現できます。

アップセルの代表的な戦略事例

アップセルの戦略はさまざまな企業が実施しています。Amazonは過去の購入履歴や閲覧履歴を元に、より高価な商品や関連商品をタイミングよく表示することで、アップセルを行っています。DropboxやSpotifyは有料会員と無料会員で差を付けて、ニーズが高まっている状況でアップグレードをすすめています。

いずれも押しつけがましさを感じさせることなく、スムーズに誘導しているのが共通点です。

Amazon:上位商品の表示

AmazonのECサイトでは、商品をカートに追加したタイミングや注文確定をするタイミングで、「よく一緒に購入されている商品」として上位の商品が表示されます。

さらに、商品を選んでいると、「この商品を買った人はこんな商品も買ってます」という表示もアップセルです。レコメンド機能というサービスで、Amazonが勧めるなら、上位の商品を検討材料の一つとして加えてみようという気持ちにさせてくれます。

Amazonに信頼感を持つ顧客の購買意欲が高まっている状況で、タイミングよくアップセルを提案しているのが成功の秘訣です。

Dropbox:データ容量の制限

オンラインストレージサービスの「Dropbox」は、無料プランと有料プランでデータの容量に差を付けています。個人ユーザー向けのベーシックプランは2GBまで無料で使えるのですが、ディスク領域が少なくなってきたタイミングを見計らって、有料のプロフェッショナルプランへのアップグレードをすすめるメッセージを画面上に表示します。表示は消すことが可能なため、押しつけがましい、と感じることはありません。

Dropboxを知人に紹介すると、紹介した人のディスク領域がアップする「紹介キャンペーン」もアップセルの手法です。紹介キャンペーンに参加することで、顧客ロイヤリティが高まり、多く人に紹介したい気持ちにさせてくれます。

Dropboxがアップセルを成功させている理由として、押しつけがましさがなく、既存顧客の会社への信頼感を高めている点が挙げられます。

Spotify:スキップ機能の制限

音楽ストリーミングサービスを提供する「Spotify」も、無料会員と有料会員でスキップ(曲送り)できる曲数に差を付けることで、アップセルを行っています。有料会員は無制限にスキップできるのに対し、無料会員は、「1時間に6曲まで」と制限しています。無料会員が6曲スキップしたタイミングで、プレミアムプランへのアップグレードをすすめるメッセージを表示します。

スキップ操作を行っている最中に誘導されるため、アップグレードのメリットを理解しやすく、「スキップしたいのにできない」と不満を感じた状況の中で背中を押されるため、行動しやすくなります。

Spotifyの成功の秘訣は、不満があるタイミングでアップセルを仕掛けている点です。顧客ニーズを見極めた上での提案なので、スムーズに行動に移せます。

アップセルを成功させるためのコツ

アップセルを成功させるには6つのポイントがあります。既存顧客を見極めて実施しないと、押しつけがましくなり、不信感が増大する危険性があります。タイミングも重要で、購買意欲が高まっているときに実施しないと効果が発揮されません。さらに、過去の購入履歴や閲覧履歴などを分析して、顧客が欲しいと思う商品を提案し、示された具体的なメリットに納得して初めてアップセルは成功します。

6つのポイントごとの分析方法や指標も交えて成功させるコツを深掘りします。

実施する顧客を見極める

アップセルが成功するのは、自社の商材に対して愛着度や信頼度(ロイヤルティ)が高い顧客に対してです。CRMなどの顧客データ管理システムを活用して、顧客情報を分析した上で、成功率の高い顧客を選び出すのがポイントです。

また、顧客ロイヤルティを測定する方法として、NPS®(ネット・プロモーター・スコア)などがあります。NPS®は、企業やブランドに対する顧客ロイヤルティを数値化した指標で、顧客の評価に活かされています。

実施するタイミングを見極める

アップセルを成功させるためには、実施するタイミングを見極めることも大切です。アップセルを実施する、おすすめのタイミングは以下の通りです。

  •  無料お試し期間の終了直後
  •  割引キャンペーンの終了直後
  •  プランの更新時

無料お試し期間や割引キャンペーンが終了する直後、プランの更新時期が近づいている間際は、アップセルを行う絶好のタイミングです。これらの機会を逃してしまうと、成功する確率は低くなります。

顧客のニーズを正確に捉える

アップセルの進め方が、顧客ニーズに沿ったものであれば嫌悪感を持たれるリスクは高くありませんが、「顧客単価を向上させたい」という思いが強く出すぎると、見透かされてしまいます。

アップセルの成功に大切なのは、顧客ニーズを正確に把握することです。購入履歴や顧客情報を徹底的に分析し、現在使っている商品の使い心地、商品に対する不満などを、さりげなく聞き出すスキルを身に付けることが大切です。

具体的なメリットを提示する

化粧品の定期購入や雑誌の定期購読など、継続的な利用を前提とした商品では、契約月の料金を無料にしたり、割引を適用したりすると、長期的にはお得感があるため、アップセルが成功しやすくなります。

商品開発や商談の段階で、いつでも具体的なメリットを提示し、アップセルをしやすい準備をしておくと、顧客単価を意識しながら営業活動が行えます。

押し売りにならないよう注意する

アップセルで最も注意しなければいけないのは、押し売りをしないことです。自社の都合を押し付けるような形で、より高額な商品を一方的に提案し続けると、信頼関係が損なわれてしまい、挙句の果てに、現在の利益だけでなく、将来の利益も失ってしまうことになりかねません。押し売りにならないよう注意してください。

気軽に相談できる人間関係を構築した上で、さりげなくアップセルを行うと、強引さを感じさせません。

アフターフォローを定期的に行う

商品の購入後も、定期的なアフターフォローを行うことで顧客のロイヤルティを高めることができます。何か問題が発生した場合、気軽に相談できる信頼関係を維持することで、次回の購入につながります。

 

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まとめ

アップセルとは、より高額な商材をすすめる営業手法で、顧客ニーズに沿った形でさりげなく行うのがポイントです。ニーズに沿わない提案を行うと、押し売りしていると受け取られるおそれもあるため、注意が必要です。アップセルを実施するタイミングも大切です。顧客情報や購入履歴などを徹底的に分析し、絶好のタイミングを見計らってアップセルを行ってください。

 

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