EC業界とは|トレンドや今後の動向を解説-EC企業ランキングも大公開!
株式会社これからの取締役。 2004年、IT系上場企業に新卒入社。ECサイトのコンサルティング営業に従事。 その後、株式会社これからに創業メンバーとして参画し、取締役就任。 小規模ショップから東証1部上場企業まで、500社以上のECサイト戦略について支援。 自社ECサイト支援で業界トップクラスの実績を誇る。 年間100回以上のECセミナー登壇や大規模展示会での講演多数。 書籍「図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)の執筆も手がける。
EC業界とは|国内EC業界の歴史を振り返る
画像出典:図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
日本のEC サイトはEC 先進国のアメリカと比較しても歴史が古く、1997 年に楽天市場が開業したのが始まりです。2000 年代前半にPC やネット環境の普及により参入企業が増えます。そして2010 年代のスマホの普及によって加速的にEC は世の中に広がりました。BtoC やBtoB の業態だけではなく、CtoC のジャンルにおいても多くの人が参入しています。現在、EC サイトは、欲しい物がすぐに購入できるサービスであり、生活を支える重要なインフラです。また、その発展とともに人々のライフスタイルをより豊かにするものとして、欠かすことのできない存在となっています。
EC業界の市場規模と今後について
画像出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
令和4年の日本国内BtoC EC 市場規模は、22.7兆円に拡大しました。 EC化率は、9.13%(前年比0.35ポイント増)と増加傾向にあり、2024 年には27 兆円を超えるという予測結果も出ており、今後も伸びる市場であると考えられます。
ちなみに、BtoB-ECの市場規模は420.2兆円に拡大しています。 EC化率は、37.5%(前年比1.9ポイント増)です。BtoB-ECのEC化率が高い理由は、EDIとECの区別がされておらず、EDIも指標に加わっているためです。
EDIとは、企業間の商取引で発生する契約書や発注書・納品書・請求書といった文書を、 電子データとして変換しやり取りをスムーズにするシステムのことをいいます。
市場規模 分野 | 2021年 | 2022年 | 増減率 |
物販系分野 |
13兆2,865億円 (EC化率 8.78%) |
13兆9,997億円 (EC化率 9.13%) |
5.37% |
サービス系分野 | 4兆6,424億円 | 6兆1,477億円 | 32.43% |
デジタル系分野 | 2兆7,661億円 | 2兆5,974億円 | ▲6.10% |
分野別に見てみると、サービス系分野が増減率32.43%で大きく伸びています。 物販系分野も安定して市場規模は拡大し、EC化率も増加傾向にあります。 一方でデジタル系分野はマイナス 6.10%と減少しました。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり消費の影響で、大幅に落ち込んでいた サービス系分野の市場規模は外出需要の増加により大幅に回復しました。 具体的には、旅行サービス23,518億円(前年比67.95%)・飲食サービス6,601億円(前年比33.69%)・チケット販売5,581億円(前年比73.89%)と拡大しています。
物販系分野は、伸び率は鈍化していますが市場規模、EC化率共に増加傾向にあります。 一方で、デジタル系分野の市場規模は-6.10%と減少しました。デジタル系分野の市場規模の大半を占める、オンラインゲームの市場規模が13,097億円(前年比 ー18.79%)と減少してしまったことが大きく影響しています。外出需要と相性の良い分野とそうでない分野が顕著に現れる結果となりました。
また近年、ECチャネルのひとつとしてメルカリをはじめとしたCtoC ECが急速に拡大。 最新の市場規模は、2022年で2兆3,630 億円(前年2 兆 2,121 億円、伸び率6.8% )に増えてきており、フリマがはじめて登場した2012年から、ハイスピードで巨大市場が形成されたことになります。
今後もEC業界はさらなる成長が見込まれるでしょう。 日本国内のEC化率は毎年右肩上がりです。2022年のEC化率は 9.13%と前年より 0.35ポイント上昇しています。 またウィズコロナの影響を受け、EC サイトを利用する消費者も増えてきていることから今後も大きな成長が期待できます。
EC業界のトレンド
拡大するEC業界のトレンドはなんでしょうか。2020年代の主なトレンドは以下です。
- AIと5Gによる購買体験の変化
- O2OからOMOへの変化
- 越境EC市場の拡大
それぞれ見ていきましょう。
キーワードはAIと5G
2020 年代には「ググる」という言葉がなくなるかもしれません。今までのネットショッピングでは、検索エンジンで検索をかけ、欲しいものを探し、比較検討するといったプロセスを踏んでいました。しかし、レビューの発達やSNS の普及により、「検索をしてものを探す」機会はどんどん減ってきています。今後この流れは、AI の発達によってさらに加速していくでしょう。つまり、最適化されたAIが、好みの傾向や、欲しいものの特徴を伝えなくても、あなたの購買履歴や行動データをもとに、世界中のEC サイトから心躍る商品を探し出してくれるのです。このAI 革命を支えるのが、5G通信です。
2020 年に5G 通信が始まり、より多くのデータが瞬時に転送できるようになりました。4G 時代の100 倍の情報を消費者に届けることができます。たとえば、売り場全体をリアルタイム動画で追いかけることも可能でしょう。すると、店舗に足を運ばなくても、まるで店舗にいるかのような購買体験ができます。買い物に必要な情報がオンラインとオフラインの垣根なく、瞬時に行き交う時代になるのです。
※当社2023年10月実績
O2OからOMOへ
画像出典:図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
O2O(Online To Offline)とは、オンラインで得られた情報をオフラインでも活用していくという概念です。オンラインクーポンをオフライン店舗で使用する施策などが代表例です。この場合、あくまでもオンラインの世界とオフラインの世界を別々に捉えています。このO2O の進化系が、OMO(Online Mergeswith Offline)です。これは直訳すると「オンラインとオフラインの融合」を意味します。オフラインでの購入データをオンラインへ反映させたり、オンラインでの閲覧履歴を元にオフライン店舗で商品レコメンドを受けたりと、オンラインとオフラインの垣根なく、買い物をますます便利にしていく概念です。ユーザーに心地よく購入体験を積んでもらえるかが今後の成長のポイントになるでしょう。
※当社2023年10月実績
越境EC市場の拡大
越境ECの存在感も大幅に成長しています。 越境ECを利用する理由としては、「自国にない商品を購入したいから」が約8割を占めるそうです。自国にない商品の購入を実現できる越境ECはかなり市場を拡大させています。2022年の日本の越境EC市場規模は3,954億円(対前年比6.1%)でした。
中国や米国に比べると日本の越境EC市場はまだまだ小さいですが、中国経由の市場規模は、392億円(対前年比7.3%)。米国経由の市場規模は、3,561億円(対前年比5.9%)と増加傾向にあり、日本の越境ECはポテンシャルがあると言えます。
今後の越境EC市場は2026年には 4 兆 8,200 億 US ドルにまで拡大すると予測されています。 年平均成長率は約 30%であり、世界の BtoC-EC 市場規模の拡大を上回るペースで越境 EC の市場規模は拡大すると見られています。
※当社2023年10月実績
EC企業売上ランキング
さらにEC業界の状況を把握するためにも、どの企業が業界の中で首位にたっているのか把握しましょう。
順位 | 会社名 | 売上高(億円) |
1位 | アマゾン(日本企業) | 21,893↑ |
2位 | Zホールディングス | 8,380↑ |
3位 | 楽天グループ | 8,201↑ |
4位 | MonotaRO | 1,573↑ |
5位 | 大塚商会 | 1,541→ |
6位 | ファーストリテイリング | 1,076↑ |
7位 | メルカリ | 1,061↑ |
8位 | オイシックス・ラ・大地 | 1,000↑ |
9位 | アダストリア | 538↑ |
10位 | ファンケル | 500↑ |
出典:業界動向
上位にランクインしている会社はアマゾン、Zホールディングス、楽天グループなどの大手がランキングを占めています。 どの会社も全体的に売上が伸びいる傾向にあり、EC業界全体が拡大していることが分かります。
※当社2023年10月実績
EC業界の最重要課題は「集客・プロモーション」
画像出典:PR TIMES
全国20-59歳の200名一般男女を対象に「ECサイト運営で売れる人と売れない人に関する調査」を実施しました。調査内で「ECサイト運営において、最も課題に感じているところ」を尋ねたところ、以下の課題が最も目立ちました。
- 集客/プロモーション 34.0%
- 仕入れ 18.0%
- 商品開発 12.5%
上記3つの課題の中でも「集客・プロモーション」を課題としている事業者は多い結果となりました。
画像出典:PR TIMES
Q.ECサイト運営において、集客は大事だと思いますか
画像出典:PR TIMES
Q.外部に集客を委託することのネックやデメリットを教えてください
「ECサイト運営において、集客は大事だと思いますか」という質問に対しては、95%以上の人が「集客は大事」だと答えました。それから、集客を外部に依頼する場合、「コストの高さ」が気になり、外部委託を躊躇してしまうという結果がわかりました。
集客が大事だとわかっていても、コスト面がネックとなり、集客対策になかなか力をいれられないEC事業者の現状がうかがえます。
画像出典:PR TIMES
売上に直結する要因は、「商品・サービスの質」58.0%「集客力」53.0%となっており、集客力はECの売上に欠かせないポイントとなっています。
以上のことから、「集客・プロモーション」がEC業界で売上を出すために、欠かせないポイントであり、乗り越えるべき課題であると言えます。
参考:PR TIMES
EC初心者が知っておくべき|ECの基礎知識
EC初心者の方が、知っておくべきECの基礎知識をご紹介します。
ECサイトの構築方法は2つ|自社ECとモール型ECサイトの違い
画像出典:図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
EC サイトには、自社でEC サイトを構築するものと、EC モールに出店するものの2 種類があります。 自社ECサイトは、自社のECサイトを立ち上げる方法です。わかりやすく言うと、自分たちのお店を構える路面店のようなものです。 モール型EC サイトは、楽天市場やYahoo! ショッピングなどのEC モールの中に、EC サイトをつくる方法です。 両者もメリットデメリットがあるので、それを踏まえて自社に合う構築方法を決めましょう。
自社ECサイトのカートシステムは大きく3種類
画像出典:図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
ECサイトの運営には、ECサイトの注文を処理する「カートシステム」が必要です。 具体的には、サーバーをレンタルできる「ASP 型」公開されているソースコードを無償で利用できる「オープンソース型」個別にEC サイトを構築する「パッケージ型」の大きく3 種類に分けられます。特に「ASP型」は、汎用性が非常に高く利用しやすいため、近年はASP 型カートを選ぶのが主流です。
EC担当者の基本的な仕事内容
EC担当者の仕事内容は「フロント業務」「バックエンド業務」の大きく2種類に分けられます。
フロント業務の内容は以下です。
- 商品企画
- 仕入れ/製造
- ECサイト制作/更新管理
- webマーケティング
バックエンド業務の内容は以下です。
- 受注内容の確認
- 入金確認
- 在庫の確認と商品ピックアップ
- 商品の検品作業、梱包
- 配送
- 商品配送のメール
- アフターサービス
ECサイトの業務は広範囲にわたります。業務の詳しい内容は以下の記事で説明しています。 ぜひご一読ください。
まとめ
今回は、最新のEC業界の概要やトレンドにご紹介しました!EC業界は今後も成長していく将来性のある業界です。 本記事を通してEC業界の市場規模や動向を押さえる参考になりますと幸いです。
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