個人でネットショップを開業する方法|必要な許可や手続き、注意したい法律も

category :  EC売上UP

update :  2023/12/07(木)

staff :  nakahara

インターネットが普及し、さまざまなサービスが登場した昨今。簡単にネットショップを構築できるサービスも続々とリリースされているため、個人でもネットショップを開業しやすい時代になっています。そこで今回は、個人でネットショップを立ち上げ、インターネット販売を行う方法を紹介します。

ネットショップの開業は個人でもできる

ネットショップの開業は個人でもできる

昨今では比較的簡単にネットショップを開設できるサービスがたくさんあるため、個人でも気軽にネットショップを開業できる時代です。

ネット販売では店舗販売と違い、時間を気にすることなく営業可能。自動で注文を受けられるので、営業時間により顧客を逃すことはなく、個人でも売上を立てやすいメリットがあります。また、店舗販売でかかる家賃や水道光熱費なども発生しないため、低コストで始められる点も個人が始めやすいビジネスといえるでしょう。

一方で対面でのやり取りがないため顧客のファン化が難しく、軌道に乗るまでに時間がかかる点はデメリットです。さらにその場で受け渡しが完了する店舗販売と違い、発送業務が発生するのもデメリットとして挙げられます。しかし、ネットショップであれば比較的少ない資金で始められるため、個人で物販ビジネスをしたいと考えている人にはおすすめの方法です。

インターネット販売のやり方7ステップ 

インターネット販売のやり方7ステップ 

ネットショップを開業する流れは次のとおりです。

  1. 事業計画を立てる
  2. 商品の販売許可を確認する
  3. 商品の仕入れ方法を決める
  4. 出店方法を決める
  5. ネットショップを制作する
  6. 開業に必要な手続きを行う
  7. ネットショップを開設・運営を開始する

ネットショップをいきなり開設してしまうと、すぐに行き詰まり閉鎖することになります。そのため、まずは事業計画を立てて、「誰に」「何を」「どうやって販売して」売上を立てるのか、事業の詳細を決めるところからはじめましょう。

1.事業計画を立てる

事業計画とは、事業目標の達成のための具体的な行動計画のことです。ネットショップ運営には決めることがたくさんあります。その判断基準となるのが事業計画です。事業計画では、次のようなことを決めます。

  • コンセプト
  • ターゲット
  • 販売する商品
  • ブランディングの方針
  • 販売方法
  • 資金調達方法

「個人で行う場合にもわざわざ事業計画を立てる必要があるのか」と思うかもしれませんが、事業計画はこれから事業を行うための行動指針です。簡単にいうと道しるべとなる存在なので、作成しておくことをおすすめします。

2.商品の販売許可を確認する

インターネットでは何でも売って良いわけではありません。商品カテゴリによっては事前許可が必要になるため、売る商品を決める際には販売許可の要否を確認しておきましょう。

■販売許可が必要なカテゴリ例

カテゴリ

必要な許可

管轄

取得費用

関連する法律

商品例

酒類

  • 通信販売酒類
  • 小売業免許

税務署

30,000円

+申請書類

5,000円以内

酒税法

スパークリングワイン、クラフトビールなど

古物

古物商許可

警察署

19,000円

+申請書類

2,000円以内

古物営業法

中古品、アンティーク品

食品

食品衛生法に基づく営業許可

保健所

10,000円

食費衛生法

肉、魚、加工品

化粧品

販売のみは不要

保健所

自治体の薬務課

医薬品医療機器等法

スキンケア商品など

医薬品

  • 薬局開設許可
  • 医療品販売許可
  • 特定販売届出※自社で製造もする場合

保健所

150,000~300,000円

※取得内容による

医薬品医療機器等法

ビタミン剤、整腸剤、毛髪用薬など

健康食品

販売のみは不要

保健所

自治体の薬務課

食品衛生法

医薬品医療機器等法

 

必要な許可を取得せずに販売を行ってしまうと、それぞれの法律に違反したとみなされて罰金を科される可能性があります。たとえば酒類の販売において、通信販売酒類小売業免許を取得せずに販売を行った場合、酒税法違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

特に軌道に乗る前は資金繰りに苦労するケースも多いなかでの罰金の支払いは大きな痛手となるため、開業前には必ず販売許可の有無を確認するようにしましょう。

関連記事:商品販売の許可や資格とは|ネットショップでの販売に免許が必要な商品を解説

3.商品の仕入れ方法を決める

ネットショップで取り扱う商品の仕入れ方法には主に次の2つの方法があります。 

  • 仕入れ販売
    卸売サイトや問屋から仕入れた商品を販売する方法です。発注から納品までの日数、最小ロット、個人ビジネスでも対応してくれるかどうかなどの確認が必要です。
  • オーダーメイド販売
    自身で作って売る方法です。この場合は材料の仕入れからの制作日数を考慮しておく必要があります。

仕入れ販売の場合は、見本市や展示会、海外の卸売サイトなど、さまざまな仕入れ方法があります。仕入れ方法について、詳しく知りたい人は下記の記事もあわせてご確認ください。

関連記事:ネットショップ開業のための仕入れ方法|国内・海外から仕入れる方法をそれぞれ解説

4. 出店方法を決める

個人または中小企業でネットショップを開設する場合は、ECモールかASPカートが現実的な選択肢となります。

  • ECモール
    楽天やアマゾンなど、複数のネットショップが集まるモール型のECサイトです。ノウハウがなくても構築できる手軽さやモール自体の地名度によりある程度の集客力が期待できます。一方、価格競争が起きやすく、ブランディングしにくいなどのデメリットがあります。知名度が低い商品を取り扱う場合やスピード重視でネットショップを立ち上げたい場合におすすめです。
  • ASPカート
    ECサイト構築に必要な標準機能が備わっているEC構築サービスです。低コストで構築・運用できるうえに、ブランディングもしやすく価格競争になりにくいメリットがあります。反面、開設当初は集客に苦戦する可能性が高いのがデメリットです。将来的に事業を拡大したい場合や初期・運用コストを抑えたい場合におすすめです。

関連記事:ASPカートとは|メリットとECサイト構築におすすめサービスの比較一覧(※11月制作記事)

5.ネットショップを制作する

ネットショップの制作は自作か委託かを選びます。自作する場合はコストを抑えられますが、サイト制作の専門知識がないと厳しいでしょう。できたとしても時間がかかるため、サイト制作に精通していない場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。

専門業者に依頼する場合は、金額の安さやデザイン性だけを重視しないように注意が必要です。コンセプトに沿ったデザインやコストパフォーマンスはもちろん重要ですが、肝心なのは商品が売れるデザイン・導線です。

結果を出せるネットショップを制作できるかどうかは、ネットショップ制作の実績が多いか、Webマーケティングに精通しているかどうかを確認する必要があります。

6.開業に必要な手続きを行う

ネットショップの制作ができたら、開業届を提出します。開業届は提出しなくても罰則はありませんが、提出することで青色申告による税制優遇が受けられます。また、開業届を提出することで屋号を持てるようになるため、屋号入りの銀行口座の開設や事業者向けの卸売サイトへの登録などができるようになります。

事業者としてできることが増えるので、できれば開業届は提出しておいた方が良いでしょう。

7.ネットショップを開設・運営を開始する

開業届の提出が済んだら、いよいよネットショップをオープンし、運営を開始します。オープン前にはSNSやプレスリリースなどを活用して、新規オープンの告知をして集客を行いましょう。オープン記念と称してセールを開催するのも1つの手です。

また、運用前の重要事項にテスト運用があります。テスト運用を実施せずに本運用を開始してしまうと、オープン後に問題が頻発し、サイトの信頼性を損ねる可能性が高くなります。運用側の操作性などはもちろん、ユーザーが商品を購入する導線の確認を行い、見やすさや操作に問題がないか確認してからオープンするようにしましょう。

ネットショップ運営に必要なもの

ネットショップ運営に必要なもの

ネットショップの運営には次のようなものが必要です。

        • パソコン・スマートフォン
        • インターネット回線
        • ウイルスセキュリティソフト
        • ネットショップ用の電話
        • カメラ・画像編集ソフト
        • プリンター
        • 梱包資材
        • SNSアカウント

意外と多くの機器が必要になるため、できればネットショップ事業用に一部屋用意することをおすすめします。また、FBA(フルフィルメント by Amazon)などの発送代行を利用して発送業務を外注する場合は不要ですが、発送業務もセルフで対応する場合は在庫の保管場所も確保する必要があります。

関連記事:FBA(フルフィルメント by Amazon)とは|手数料や納品の流れを詳しく紹介

ネットショップ運営で注意したいこと

ネットショップ運営で注意したいこと

ネットショップの運営では、次のような点に注意が必要です。

        • 商品説明の表現に注意する
        • 「特定商取引法に基づく表示」を記載する
        • 商品カテゴリによっては表示義務がある
        • 輸入品は関税や規制に注意する

「インターネットで商品を売る」というと簡単に聞こえますが、実際にはさまざまな法律が関係します。知らずに違反してしまうと、罰則を科されるおそれがあるので、法律関係の知識も抑えておきましょう。

商品説明の表現に注意する

ネットショップやSNS、広告などに掲載する商品説明は、消費者トラブルを起こさないよう誤解を招かない表現にする必要があります。商品説明の表現に関連する法律には次の2つがあります。

法律 注意点

 

商品カテゴリ

違反した際の罰則

薬機法
  • 効果の誇大表現
  • 消費者に誤解を与える表現
医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品など 2年以下の懲役もしくは罰金、またはその両方が課される可能性がある
景品表示法
  • うそや大げさな表示
  • 消費者を騙すような表示

すべての商品

措置命令や課徴金納付命令が課される

SNSが普及し、情報リテラシーが高まっている現代ではユーザーの目も肥えています。法律に抵触しないことも大切ですが、過剰な表現や効果を誇大するような表現はユーザーからの信頼を落とすことになるため、文章を考える際はいきすぎた表現になっていないかよく考えましょう。

「特定商取引法に基づく表示」を記載する

「特定商取引法に基づく表示」とは、取引によるトラブルから消費者の利益を守るために、義務づけられている項目の表示です。簡単にいうと「ネットショップの取引ルールを記載する」ことです。具体的には次のような項目を記載したページを作成して、ネットショップ内で公開します。

        • 事業者の氏名
        • 事業者の住所・電話番号
        • 商品やサービスの販売価格
        • 支払い方法と支払いのタイミング
        • 商品の引き渡し時期
        • 返品や交換についてのルール
        •  その他商品ごとに必要な情報

特定商取引法に基づく表示は企業サイトだけでなく、個人のサイトにも表示の義務があります。表示を怠ると、個人の場合は最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科されるので忘れずに記載しておきましょう。

関連記事:特定商取引法に基づく表記・表示は必須|特商法の記載項目や書き方サンプルを紹介!

商品カテゴリによっては表示義務がある

商品カテゴリによっては、法律で表示が義務づけられている項目があります。代表的な例は食品と衣類です。

 

カテゴリ 関連法律 義務
食品 食品表示法

名称、原材料名、内容量、販売者、アレルゲン、添加物

※アレルゲンと添加物はそれぞれ個別に表記

衣類 家庭用用品表示法 使用されている繊維の混合率、洗濯・アイロンの取り扱い、表示者名・連絡先など

 

上記のほか、「電気用品安全法」や「消費生活用製品安全法」などの法律により、表示が義務づけられている項目がある商品カテゴリもあります。違反した場合は、罰則を科されるおそれがあるので、販売する商品に関連する法律は一通り把握しておきましょう。

輸入品は関税や規制に注意する

輸入品は国内商品を扱うよりも許可のハードルが高くなります。たとえば食品の場合は、「食品等輸入届出」が必要です。また、空港などの検疫所での食品検査で通過しないと、原産地への返送や廃棄処分となります。

さらに輸入品を仕入れるには輸入関税がかかります。輸入関税は海外から日本に荷物が到着したのち、通関手続きの最終段階で日本の税関に輸入者が支払うのです。輸入関税は輸出国や品目によって税率が異なるため、輸入品を取り扱いたい場合はmiproの「小口輸入と関税」などに目を通しておきましょう。

ネットショップ開業で失敗しないためのポイント

ネットショップ開業で失敗しないためのポイント

ネットショップの開業で失敗しないためには、次のポイントを意識しておくと良いでしょう。

        • コストカットを意識しすぎない
        • 集客チャネルを構築する
        • 在庫過多にならないようにする
        • リピーター施策に注力する

ネットショップは開設するだけで集客できるわけではないので、集客チャネルの構築とリピーター施策の実施が必要です。また、コストはできるだけカットした方が良いですが、必要なところまで削り過ぎないようにしなければいけません。

コストカットを意識しすぎない

売上に対して経費を低くすれば、利益率は高くなります。ただし、コストカットを意識しすぎて、必要な部分まで削ってしまうと返って利益率を下げることになりかねません。たとえば、ネットショップは自作した方がコストは抑えられます。しかし、サイト制作やマーケティングの知識がない人がネットショップを制作した場合、使いづらく見にくい「売れない」サイトになる可能性が高くなります。

また、広告宣伝費を削りすぎてしまうとうまく集客できず、売上が上がりません。これでは本末転倒になるため、「必要経費」もあるとしてコストの使いどころを精査しましょう。

集客チャネルを構築する

ネットショップを開設するだけでは、集客は叶いません。集客するためにはブログやSNSなど、ユーザーがネットショップに流入してくるための入り口(集客チャネル)を構築する必要があります。特にSNSはユーザー数も多く、無料で利用できるため、活用しない手はありません。気軽にフォロワーとコミュニケーションを取れるため、ファンを増やすのにもおすすめの方法です。

フォロワー数に応じてネットショップへの流入数の増加も期待できるので、集客施策としてSNS運用からはじめてみるのもありでしょう。

在庫過多にならないようにする

ネットショップで商品を販売する際は、仕入れた商品はいったん倉庫などで在庫として保管します。しかし、需要に対して商品を仕入れすぎてしまうと、いつまでも在庫が捌けずに残ることになり、別の商品の保管場所に困ってしまいます。

そのため、需要に対して在庫が切れないようにする適正在庫を目指しましょう。倉庫を借りる場合は在庫の回転率が上がれば、レンタルするスペースも狭くて済むため倉庫代を抑えられます。

リピーター施策に注力する

「1:5の法則」でいわれるように、新規顧客の獲得は既存顧客よりも5倍のコストと労力がかかります。開業当初は新規顧客を中心に集客を行いますが、ある程度新規顧客を獲得できたら、リピーター施策に注力しましょう。

また、売上の80%は20%の上位顧客によって作られる「80:20の法則」もあるため、リピーター施策に注力した方が売上を上げやすくなります。

まとめ

まとめ

昨今ではさまざまなネットショップ構築サービスがあるため、個人でネットショップを開業するのはさほど難しくありません。ただし、何も考えずに開業してしまうと、思うように売上が立たずにすぐに閉業することになります。そのため、まずは事業計画をしっかりと練り、戦略的にネットショップを開業しましょう。

ネットショップの開業でASPカートを選択する場合は、サービス選定も重要なポイントになります。しかし、商品や業態に合わせてサービスを選ぶのはなかなか難しいケースもあるでしょう。

もしサービス選びに難航した場合には、株式会社これからのネットショップ制作サービスをご利用ください。
創業以来、約3,000件ものネットショップの制作を担当してきた知見を活かして最適なASPカートの選定と「売れる」サイト設計の提案をいたします。

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