アパレルブランドで起業する方法|必要な知識や立ち上げの流れ、費用を解説

category :  EC売上UP

update :  2023/12/04(月)

staff :  nakahara

アパレルブランドを立ち上げるのに特別な資格やスキルは必要ありません。やる気があれば学生でも立ち上げ可能です。しかし、だからといって熱意だけでブランドを立ち上げても事業の行く末は見えています。

そこで、今回はアパレルブランドを立ち上げて起業するのに必要な費用や立ち上げの流れなど、立ち上げ前に知っておきたい事前知識を紹介します。

アパレルブランドの立ち上げに資格は不要

アパレルブランドの立ち上げに資格は不要

アパレルブランドの立ち上げに、国家資格などの特別な資格は必要ありません。アパレルブランドを開業できるだけの資金があり、製品の製造または仕入れができれば、学生でもアパレルブランドを起業できます。

また、特別な許可も必要ありませんが、事業としてアパレルブランドを立ち上げる場合は「開業届」の提出が必要です。なお、ネットショップでの起業において開業届は提出しなくても法的罰則はありません。ただし、収入が20万円以上になる場合は確定申告が必要となり、確定申告時に青色申告による税制優遇が受けられるため、開業届は出しておいたほうが良いでしょう。

関連記事:ネットショップに開業届の提出は必要|必要書類や申請書の書き方も解説

アパレルブランド起業にあると有利な経験・スキル

アパレルブランド起業にあると有利な経験・スキル

アパレルブランドを起業する際には、次のような経験・スキルがあると有利に働きます。

  • アパレル業界での知識・経験
  • 服飾専門学校で得たファッションの知識
  • ブランド運営に必要な知識・スキル

ただし、これらの経験・スキルがなくても起業は可能です。あくまで「あると有利」なだけで、「絶対にないとダメ」というわけではありません。

アパレル業界での知識・経験

アパレル企業の規模や働くポジションによっても異なりますが、アパレル企業で勤務すれば、店舗運営や商品開発、仕入れ、流通過程などの知識・経験を身につけられます。

アパレル企業で身につけた知識や経験はブランド立ち上げ後の運営に役立つので、起業を考えている人は一度アパレル業界で働いてみるのもおすすめです。

服飾専門学校で得たファッションの知識

専攻する学科にもよりますが、服飾の専門学校に通えば衣服やファッションの知識はもちろん、生産や流通に関する仕組みも勉強できます。服飾専門学校に通う生徒のなかには、卒業後に同じく起業しようと考えている人もいるので、志を同じくした仲間を見つけるのにもおすすめです。

また、授業や課題の一環で、アパレル業界で働いている人と知り合える可能性もあります。在学中にコンテストなどに出展し、賞を取れれば学生起業も夢ではありません。洋服作りの知識からアパレル業界への人脈作りまで、活用方法によってはさまざまなメリットがあるため、アパレルブランド起業を考えている人は、入学を検討してみるのも良いでしょう。

ブランド運営に必要な知識・スキル

ブランド運営に必要な知識・スキルはファッションについてだけではありません。下記のような知識・スキルのある方が、運営を軌道に乗せやすくなるので、興味があるものから勉強しておくと良いでしょう。

  • Webデザインの知識・スキル
  • マーケティング知識
  • 生産管理能力
  • デザイン能力
  • 経営スキル
  • SNS運営スキル

なお、上記はブランド運営に必要な知識・スキルのうち、一例に過ぎません。このほか、さまざまな知識・スキルが求められますが、すべてを一人で習得する必要はないため、専門人材を雇用したり、アウトソーシングしたりすることも検討しましょう。

アパレルブランドの起業方法と必要な費用

アパレルブランドの起業方法と必要な費用

次に、アパレルブランドの起業方法とそれぞれの方法に必要な費用の目安を紹介します。アパレルブランドの起業方法は、大きくわけて次の3つです。

  • 実店舗をオープンする
  • ネットショップを開設する
  • フリマ・ポップアップストアに出品する

上記3つに共通する費用として、人件費や商品製造・仕入費、倉庫代、輸送費などがあります。会社を設立する場合は、法人設立費用も必要です。なお、これから各起業方法について説明していきますが、共通する資金については割愛しています。また、資金調達については、後述する「立ち上げの流れ」で解説しているので、このまま読み進めてください。

実店舗をオープンする

アパレルブランドを起業する方法の1つに、物件を借りて消費者が実際に足を運べる実店舗をオープンすることがあります。対面での接客が可能なため、顧客とコミュニケーションを取りやすいほか、ネットショッピングのように競合と比較検討されづらい形態であるため、価格競争に巻き込まれにくいのがメリットです。

一方、購買行動に関するデータが取りづらいうえに、初期費用をはじめ維持費においてもコストが大きい点はデメリットです。実店舗をオープンするには次のような費用がかかります。

■実店舗オープンにかかる初期費用・維持費例

各種費用

初期費用

  • 敷金・礼金
  • 家賃
  • 仲介手数料
  • 設備購入費
  • 改装費
  • 広告宣伝費

維持費

  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 修繕費
  • 広告宣伝費
  • 損害保険料

 

実店舗をオープンする際の初期費用には1,000万円~2,000万円程度かかると言われており、3つの起業方法のなかで最も費用がかかります。維持費に関しても家賃や水道光熱費、広告宣伝費などが発生するため、少なくとも毎月数十万円程度のコストがかかるでしょう。

ネットショップを開設する

ECサイトを制作して、ネットショップを開設することでもアパレルブランド起業は叶います。実店舗をオープンする際にかかる家賃や水道光熱費といった店舗運営費がかからない点は大きなメリットです。小規模なネットショップを1人で運営する場合は、人件費もかからないので、初期費用および維持費を大きく抑えられるでしょう。

また、時間や場所を選ばずに営業できるため、効率良く売上を伸ばせます。ただし、商品の魅力を直接ユーザーに伝えられないため、なかなか購入に繋がらないリスクもあります。そもそもネットショップを見つけてもらえなければ売上もなにもありません。Webの世界は入れ替わりが早いため、常にSNSなどで発信を続け、広告を打つなど、競争に勝ち抜くための努力が必要です。

■ネットショップ開設にかかる初期費用・維持費例

 

自社EC(ASPカート)

ECモール

初期費用

  • ネットショップ開設費用
  • パソコンやカメラなどの機器
  • 梱包資材
  • ネットショップ出店費用
  • パソコンやカメラなどの機器
  • 梱包資材

維持費

  • メイン・サーバー代
  • カートシステム利用料
  • 決済手数料
  • 編集ソフト
  • 倉庫代
  • 通信費
  • 配送料
  • 決済手数料
  • システム利用料
  • 編集ソフト
  • 倉庫代
  • 通信費
  • 配送料


ネットショップ開設にかかる初期費用の目安としては、50~100万円程度です。規模によっては100万円以上かかることもあるでしょう。ネットショップの維持費においても実店舗と同様、月に数十万円はコストが発生すると考えておく必要があります。

関連記事:ネットショップの開業資金の相場は?必要な費用や金額の目安を解説

フリマアプリ・ポップアップストアに出品する

アパレルブランド起業のお試しとしてフリマアプリやポップアップストアに出品する方法もあります。ポップアップストアとは、商業施設などのイベントスペースを期間限定で借りて出店する方法です。フリマアプリにかかる費用は販売手数料と配送料のみ。ポップアップストアも出店に費用はかかりますが、実店舗やネットショップをオープンするよりは格段に安く済みます。

商品数を限定して少数精鋭で勝負できるのが良いところですが、商品数が少ないがゆえにブランドの魅力が伝わりづらく、顧客の確保には時間がかかるのがデメリットです。

■フリマ・ポップアップストアに出品するにかかる初期費用・維持費例

 

フリマ

ポップアップストア

 初期費用

なし

  • 会場レンタル費用
  • 什器レンタル費用
  • 商品配送費
  • 人件費

維持費

  • 商品配送費
  • 販売手数料
  • 通信費

初期費用と同じ

 

フリマアプリは無料で利用できるため、初期費用はかかりません。維持費については、販売量によって変わってくるので何とも言えないところです。ポップアップストアの場合は、会場にもよりますが、1日5,000円~2万円程度で借りられます。そのため、発生するコストは開催日数によって上下します。

アパレルブランドを立ち上げる流れ 

アパレルブランドを立ち上げる流れ 

アパレルブランドは下記のような流れで立ち上げるのが一般的です。

  1. ブランドコンセプト・ブランド名を決める
  2. 開業資金を準備する
  3. 開業手続きをする
  4. 商品の仕入れ・製造をする
  5. 洗濯表示ネームを取りつける
  6. ブランドの宣伝活動をする

各工程を詳しく見ていきましょう。

1.ブランドコンセプト・ブランド名を決める

ブランドコンセプトとは、ブランドとして果たしたい使命・目的などです。具体的には「ブランドに込めた思い」や「誰に・どのように商品を届けるか」を言語化します。ポイントとしては、5W1Hを意識すると、イメージしやすくなるでしょう。

  • When:いつ
  • Where:どこで
  • Who:誰が
  • What:何を
  • Why:なぜ
  • How:どのように

上記を意識しながら思いついたことをノートなどに書き連ね、イメージに近いものを選定して絞り込んでいきます。コンセプトができたら、コンセプトに沿ったブランド名を考えます。コンセプトに関連する単語や文章などをできるだけ多く書き出し、組み合わせてみたり、英語にしてみたりしてしっくりくるものを選ぶと良いでしょう。

他社が使用しているブランド名は使用できないので、考えながら特許庁の「商標を検索してみましょう」で検索してみましょう。また、同じ理由でブランド名ができたら早めに商標登録するのがおすすめです。

2.開業資金を準備する

実店舗やネットショップなど、開業費用が高額になる場合は融資を受けるのが一般的です。融資を受ける際には事業計画書の提出を求められるため、ビジネスの目的や資金調達の方法、事業の見通しといった細かいところまで詰めておく必要があります。

また、自己資金を用いて起業する方法もあります。自己資金の場合であれば事業計画書などは必要ありませんが、生活費を充ててしまっては万が一の場合に生活が成り立たなくなるので注意が必要です。当面の生活費を工面したうえで、資金計画を立てておきましょう。

ネットショップ開業の場合は補助金制度も活用しよう!

アパレルブランド起業でネットショップを開設する場合は、下記のような補助金制度も活用できます。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
  • キャリアアップ助成金
  • 各自治体の補助金

各補助金は、対象となる条件が異なります。また、申請方法が複雑なケースもあるため、ネットショップ立ち上げという忙しい時期に補助金の申請にまで手が回らないこともあるでしょう。そんなときは専門業者に依頼するのがおすすめです。

株式会社これからでは、ネットショップ制作の際に各補助金制度の対応も行っています。コスパ良くネットショップを立ち上げたい場合は、ぜひ一度ご相談ください。

3.開業手続きをする

開業に関する手続きは、個人事業主と会社設立の場合で必要な手続きが異なります。

  • 個人事業主:税務署に開業届を提出する
    開業届を提出しなかったとしても罰則はありませんが、確定申告時に青色申告を利用でき、税制優遇が受けられるため、提出しておくことをおすすめします。
  • 会社設立:法務局に登記申請する
    登記申請には商号や本店を決めたり、定款を作成したりと事前準備が必要です。事前準備から登記申請までは2~3週間程度かかるため、早めに準備しておきましょう。

4.商品の仕入れ・製造をする

次に商品の仕入れ・製造について、すべてオリジナル商品にするのか、一部を問屋から仕入れて販売するのかを決めます。なお、すべての商品を仕入れて販売する形態は「セレクトショップ」になります。どちらの形態にするかは、それぞれのメリット・デメリット、ブランドコンセプト、将来的な販売戦略を考慮したうえで決定しましょう。

 

メリット

デメリット

問屋から仕入れる

  • 制作にかけるコストが省ける
  • まとめて仕入れるとコストが安くなる
  • 競合他社とかぶるおそれがある
  • 不良品が発生するリスクがある
  • 在庫が発生するリスクがある
  • 価格競争になりやすい

オリジナル商品を製造する

  • 材料や細部にこだわることができる
  • コンセプトに沿った商品が作れる
  • 顧客ニーズを反映しやすい
  • 他社との差別化ができる
  • 制作にコストと手間がかかる
  • 初期費用がかかる
  • ある程度の経験と知識が必要


関連記事:セレクトショップ開業の流れ|手順・仕入れ・手続き・必要な資金をわかりやすく解説

一部商品を問屋から仕入れて販売する

一部商品を問屋から仕入れて販売するとは、Webサービスや展示会などを利用して、アパレル商品を仕入れ、その商品に自社ブランドのタグをつけて販売する方法です。国内はもちろん、韓国をはじめとした海外のサイトからも仕入れ可能。制作コスト・工程を大幅に低減できます。

ただし、仕入れ商品でリピーターをつけるのは難しく、競合他社との価格競争に巻き込まれやすいというデメリットは頭にいれておかなければいけません。また、仕入れる商品や数によっては在庫過多や不良品のリスクがあるため、需要の予測や入念な検品が求められます。

関連記事:韓国商品を個人輸入する仕入れのやり方|ネットショップの仕入れサイトも紹介

オリジナル商品を製造・販売する

もう1つは、完全オリジナルで自社商品を製造・販売する方法です。オリジナル商品なので、競合他社と被ることがなく、価格競争が起きづらいメリットがあります。コンセプトに沿った商品を作れるので、差別化もしやすいでしょう。

一方で、商品を仕入れる場合よりは制作コストがかかります。オリジナル商品を製作する流れは次のとおりです。

  1. 取引する工場を決める
  2. 商品のイメージを決める
  3. 商品のディテール(細部)を決める
  4. デザイン指示書を作成する
  5. 生地や素材を決める
  6. 縫製指示書を作成する
  7. パターン(型紙)などを作成する
  8. 工場に見積もりを出す
  9. 工場に生産を発注する

コンセプトに沿ったデザインを自身(自社)で考える必要があるため、ある程度のデザイン知識や経験が求められます。また、製造に時間がかかるため、来シーズンの新作制作には早めに取りかかる必要があります。

5.洗濯表示ネームを取りつける

国内で衣類を販売する際には「家庭用品品質表示法」により、洋服の裏地に洗濯表示ネームの取りつけが義務づけられています。洗濯表示ネームには下記のような項目を記載します。

  • 繊維の組成の名称
  • 洗濯・アイロンの取り扱い
  • 表示者名・連絡先
  • 原産国
  • 取扱注意事項が記載された付記用語

洗濯表示ネームをつけていなかったり、記載内容を守らなかったりした場合は、「家庭用品品質表示法」違反となり、20万円以下の罰金が科されます。なお、洗濯表示ネームの取りつけは、メーカー向けにタグやラベルを製造している工場に外注するのが一般的です。

6.ブランドの宣伝活動をする

アパレルブランドを起業したとしても、認知されなければ売上には繋がりません。そのため、開業準備とあわせて認知度を高めるために宣伝活動を行いましょう。ブランド認知のための宣伝活動の方法には次のようなものがあります。

  • SNS
  • ホームページの開設
  • Web広告
  • チラシ・広告
  • ポスティング

実店舗の場合は、商圏が決まっているのでチラシや広告、ポスティングを利用するのもおすすめです。ただし、特に若い世代をターゲットとしたブランドの場合は、オフラインでの宣伝活動には目を通してもらえない可能性が高いため、オンラインでの宣伝活動がおすすめです。

特にSNSでの宣伝は今の時代欠かせません。無料で利用できるうえに多くの人にリーチできるため、どういう形態で起業するにしてもSNS運用は必ず行いましょう。

アパレルブランドを立ち上げる際の注意点

アパレルブランドを立ち上げる際の注意点

アパレルブランドを立ち上げる際には、次の点を意識しておくことをおすすめします。

    • 競合他社のリサーチ

      ユーザーは類似ブランドを見つけると、「パクリ」や「にせ物」といったネガティブな印象を持つため、購買意欲が低下します。故意ではないにしろ、自社の信頼性が下がる可能性があるため、競合のリサーチは入念に行いましょう。

 

    • スモールステップで始める

      特に立ち上げ当初は手広く行うよりも狭いカテゴリーの商品を取り扱うほうが、製造コストも低く、また販売にかかる手間も少なく済みます。まずは限られたカテゴリーの商品を取扱い、ブランドの認知度が高まってきたら、徐々にカテゴリーを広げていくようにしましょう。

 

  • 立ち上げから戦略的に導線設計を意識する

    ネットショップで起業する場合は、ユーザーとの接点からネットショップへの誘導、ネットショップ内での動きなど、購買行動に対して戦略的に導線を設計する必要があります。特にネットショップ内の導線が「売れる設計」になっていないと離脱率が高まり、売上がなかなか上がらない事態に陥ります。

個人でアパレル起業しても儲かる?成功率は? 

個人でアパレル起業しても儲かる?成功率は? 

アパレル起業で儲かるかどうかは、一概には言えません。ブランドコンセプトやブランディング、マーケティング次第では、どんどん規模を大きくしていくことも可能です。しかし、事業を拡大していくためには、起業前に事業計画を入念に練っておく必要があるでしょう。

あわせてターゲットや競合に対する入念なリサーチも必要です。熱意だけで立ち上げてしまっては失敗の可能性が高くなるため、コンセプトを練り、リサーチを行い、十分すぎるくらいに準備を整えましょう。

なお、アパレルブランドの経営者の平均年収は、セレクトショップで250~400万円と言われています。アパレルは利益率がそれほど高くないため平均年収は低めですが、やり方次第では大きく稼ぐことも不可能ではありません。

関連記事:ネットショップ経営の年収目安|収入を上げるためのポイントも解説(※11月制作記事)

まとめ

アパレルブランドを立ち上げて起業するのに特別な資格やスキル、許可はいらないため、やろうと思えば誰にでもできます。ただし、だからといって儲かるかどうかは別の話です。アパレルブランド起業は主に「実店舗」「ネットショップ」「フリマ・ポップアップショップ」の3つの方法があります。将来性を見据えつつ、失敗の痛手を最小限に抑えるならネットショップが最適解となるでしょう。

株式会社これからでは創業以来、約3,000社ものネットショップ制作に携わってきました。過去に制作したネットショップの統計データを基に「売れる」サイト設計の提案が可能です。

Webマーケティングにも精通しており、アパレル起業の好スタートをサポートできますので、ネットショップでアパレル起業しようと思っている人はぜひお気軽にご相談ください。

 

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