ネットショップの始め方|個人で開業する方法と注意点、成功のポイントを解説

category :  EC売上UP

update :  2023/11/09(木)

staff :  nakahara

ネットショップ制作サービスが普及した昨今では、以前に比べると簡単にネットショップの構築ができます。しかし、実際に立ち上げようとすると、何から始めたら良いのか分からないという人も多いでしょう。

この記事では、ネットショップの始め方を紹介します。ネットショップを始める際の注意点やネットショップを成功させるポイントについても触れているので、ネットショップ開業前にご一読ください。

ネットショップの始め方6ステップ

ネットショップの始め方6ステップ

ネットショップの開業手順は次の6ステップに分けられます。

  1. 事業計画を立てる
  2. 商品の仕入先を選定する
  3. 販売許可を取得する
  4. 出店方法を決める
  5. ネットショップを作成する
  6. 開業届けを提出および確定申告(青色申告)の届出

それぞれのステップについて、詳細を見ていきましょう。

1.事業計画を立てる

事業計画とは、ビジネスを行う際の事業目標に対して、どのように達成するか具体的な行動計画を立てることです。
ネットショップなら、「何を」「誰に」「どのように」届けるのかを具体的に詰めていく必要があります。


特にネットショップ初心者の場合は、運用も販促も不慣れなため、迷った際に焦りから誤った判断を下しがちです。このような判断ミスがネットショップに致命的なダメージを与え、廃業になるケースも珍しくありません。

しかし、事業計画があれば、どういった判断を下すのが最適か、迷ったときの判断基準になってくれます。事業計画を作り込むことで、事業の行くべき道筋が見えやすくなるのです。そのため、ネットショップを始める際にはまず事業計画を立てましょう。事業計画で決めることには次のようなものがあります。

■事業計画で決めること-例
  • コンセプト
  • ターゲット
  • 販売する商品
  • ブランディングの方針

ネットショップといっても「単品通販」と「総合通販」があります。また、商品を仕入れて売るのか、オーダーメイドで作るのかなど、ネットショップ作成には決めることが山ほどあります。なかにはネットショップでは販売ができない商品もあるので事前に確認が必要です。

関連記事:単品通販とは|メリット・デメリット、総合通販との違いや成功のノウハウを解説

2.商品の仕入れ先を選定する

商品の仕入れ先は、何を売るかによって異なります。ネットショップで売るものは大きく「仕入れ販売」と「オーダーメイド販売」に分けられます。

仕入れ販売の場合は、仕入れ先に発注から納品までの日数、最小ロット、個人ビジネスでも対応してくれるかどうかなどを確認しましょう。

なお、仕入れ販売の場合は、AmazonFBAなど発送代行サービスを利用すれば、在庫管理から受注処理、配送作業といった手間を代行してくれるため、運用や販促といったコア作業に集中できます。

一方、オーダーメイド作品を販売する場合は、材料の仕入れから制作にかかる日数を計算に入れておく必要があります。商品を仕入れには、見本市や仕入サイト、海外から取り寄せるなど、仕入れ方法がさまざまあります。下記の記事で仕入れ方法について詳しく解説しているのであわせてご確認ください。

関連記事:ネットショップ開業のための仕入れ方法|国内・海外から仕入れる方法をそれぞれ解説

3.販売許可を取得する

ネットショップでは何でも売って良いというわけではありません。下記のカテゴリに当てはまる商品は販売許可が必要なので、売りたい商品が決まったら販売許可が必要かどうかを確認しておきましょう。

■販売許可が必要なカテゴリ例
カテゴリ 必要な許可 管轄 取得費用 関連する法律 商品例
酒類 通信販売酒類
小売業免許
税務署 30,000円
+申請書類
5,000円以内
酒税法 スパークリングワイン
クラフトビールなど
古物 古物商許可 警察署 19,000円
+申請書類
2,000円以内
古物営業法 中古品
アンティーク品
食品 食品衛生法に基づく営業許可 保健所 10,000円 食品衛生法 肉、魚、加工品
化粧品 販売のみは不要 保健所
自治体の薬務課
医薬品医療機器等法 スキンケア商品
など
医薬品 薬局開設許可
医療品販売許可
特定販売届出
※自社で製造もする場合
保健所 150,000~
300,000円
※取得内容による
医薬品医療機器等法 ビタミン剤、
整腸剤、
毛髪用薬など
健康食品 販売のみは不要 保健所
自治体の薬務課
食品衛生法
医薬品医療機器等法

これらの商品は、許可を取らずに販売すると罰金を課される可能性があります。ネットショップの将来性を潰しかねないので、開業前には販売許可の要不要をチェックしましょう。

関連記事:
商品販売の許可や資格とは|ネットショップでの販売に免許が必要な商品を解説
野菜・果物の販売許可とは|個人農家の販売方法(ネットや無人販売など)も解説

4.出店方法を決める

売りたい商品の販売許可が取れたら、出店方法を検討します。ネットショップの構築方法としては、ECモールをはじめ、ASPカートやパッケージ、オープンソース、フルスクラッチなどあります。しかし、パッケージやオープンソース、フルスクラッチは構築に莫大な費用がかかります。そのため、個人や中小企業でネットショップを始める場合は、ECモールかASPカート(自社EC)が現実的な選択肢になるでしょう。

  ECモール ASPカート
概要 複数のネットショップが集まるECサイト。Amazonや楽天など ECサイト構築に必要な標準機能が備わっている自社EC構築サービス
メリット
  • ECモール自体の知名度によりある程度の集客が見込める
  • ネットショップ構築のノウハウがなくても始められる
  • 低コストで構築・運用できる
  • ブランディングしやすい
  • 価格競争になりにくい
  • 顧客データの収集ができる
  • ECモールよりカスタマイズの自由度が高い
デメリット
  • 価格競争になりやすい
  • ブランディングがしにくい
  • コストが嵩む
  • 顧客データの収集ができない
  • 知名度がないと集客しづらい
  • システム提供会社の都合でサービスが停止する可能性がある
おすすめの人
  • 認知度が低い商品を取り扱う人
  • スピード重視でネットショップを立ち上げたい人
  • 競合他社が多い商品を取り扱う人
  • 将来的に事業を拡大したい人
  • ブランド力のある商品を取り扱う人
  • 初期・運用コストを抑えたい人

ECモールかASPカートのどちらを選ぶかは、販売する商品やターゲット、事業の将来性などで決めると良いでしょう。
たとえば、認知度が低い商品を取り扱う場合は、ある程度の集客力が期待できるECモールがおすすめです。

ターゲットを20代などの若年層に設定する場合は、決済方法の選択肢が多いASPカートの方が、ユーザーファースト(=ユーザーの満足度を優先すること)なサイトを作りやすいため、売上も立てやすいでしょう。

関連記事:自社ECとモール型ECの違いとは?選び方や構築方法・成功のコツを解説

5.ネットショップを制作する

ネットショップの制作は、自作または専門業者に委託することになります。出店方法によっても詳細は異なりますが、おおむね以下のような流れで作業を行い、ネットショップを制作します。

  • デザイン・導線設計
  • 決済方法の選定
  • 商品登録
  • 商品説明文の記載
  • テスト注文

制作時に抑えておきたいポイントは「ユーザーファースト」です。いくら見栄えが良くてもユーザーが使いづらければ、離脱を起こしやすくなります。

ブランディングのつもりで施したデザインが購入の妨げになっては本末転倒です。サイトはできるだけシンプルなデザインで、何を売っているのか、どこのボタンで購入できるのか、一目でわかるように設計しましょう。

6.開業届の提出および確定申告(青色申告)の届出

ネットショップが制作できたら、開業届を提出しましょう。開業届に提出する義務はなく、提出しなかったからといって罰則があるわけでもありません。しかし、開業届を出し屋号を持つことで、屋号入りの銀行口座の開設や、事業者向けの卸売サイトへの登録などができるようになります。

また、開業届を出すことにより、青色申告による最大65万円の控除を受けられる点は見逃せないメリットです。

なお、開業届は原則、開業後の1か月以内に提出しなければいけません。これも過ぎたからといって罰則があるわけではありませんが、開業から2か月以内に青色申告承認申請書を提出しないと、開業初年度の青色申告ができなくなります。開業する際には、開業届とあわせて青色申告承認申請書も提出しておきましょう。

ネットショップを始める際の注意点

ネットショップを始める際の注意点

ネットショップを始める際には次の点に注意が必要です。

  • ネットショップでの販売が禁止されている商品がある
  • 特定商取引法に基づく表記をする
  • 海外から仕入れる場合は輸入関税にも注意する
  • SNS投稿や広告出稿の際は表現に気を付ける
  • 軌道に乗るまで時間がかかることを心得る

これらは売れるサイトにするために必要なのはもちろんですが、守らないと罰則が課されるものもあるので注意が必要です。

ネットショップでの販売が禁止されている商品がある

ネットショップでは、次のような商品の販売が禁止されています。

■ネットショップで販売が禁止されている商品-例
禁止されている商品 具体例
法律で規制されているもの 薬物、医薬品など
犯罪に使用される恐れのあるもの 銃、刀剣類など
公序良俗に反するもの アダルト商品、児童ポルノに関するものなど
悪用の危険性があるもの 免許証、パスポートなど
譲渡が禁じられているもの 銀行口座、クレジットカードなど
第三者の権利を侵害する恐れがあるもの 特許権、意匠権など
利権を侵害しているもの 模倣品、偽ブランド品など
期限切れのもの 賞味期限切れの食品、使用期限の過ぎた化粧品など
射幸心を煽るもの 賭博、富くじなど
金融商品に関連する情報商材 株式投資やFXに関する情報など


上記はあくまで一例です。これ以外にもネットショップ作成サービスの利用規約に「販売できないもの」が明記されているので、必ず確認するようにしましょう。

自信がない場合は、ネットショップ制作のプロに相談してみるのもおすすめです。株式会社これからでは、数多くのネットショップの制作に携わり、ネットショップにおける禁止事項にも精通しているので、的確なアドバイスが可能です。

特定商取引法に基づく表記をする

特定商取引法に基づく表記とは、簡単にいうと「分かりやすい商品ページを掲載する義務」です。
ネットショップでは消費者が商品を手に取って確認することができないので、商品の特徴や取引ルールを明記しなければいけません。表記する項目は次のようなものです。

  • 事業者の氏名
  • 事業者の住所・電話番号
  • 商品やサービスの販売価格
  • 支払い方法と支払いのタイミング
  • 商品の引き渡し時期
  • 返品や交換についてのルール
  • その他商品ごとに必要な情報

特定商取引法に基づく表記は、個人のサイトでも記載しなければいけません。

これに違反すると、個人の場合は最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。法人の場合は最大3億円以下の罰金のほか、業務改善の指示や業務停止命令、業務禁止命令といった行政処分が下されるケースもあります。

関連記事:特定商取引法に基づく表記・表示は必須|特商法の記載項目や書き方サンプルを紹介!

海外から仕入れる場合は輸入関税にも注意する

仕入れを海外から行う場合は、輸入関税にも注意が必要です。輸入関税は海外から日本に荷物が到着したのち、通関手続きの最終段階で日本の税関に輸入者が支払います。税率は原産国によって異なり、課税価格の合計が1万円以下の少額物品の輸入に関しては関税および消費税が免税されます。また、革製のカバンやハンドバッグ、手袋などは免税の対象外になるなど、さまざまなルールが存在します。

詳しいルールはmipro「小口輸入と関税」などの資料に記載されているので、開業前に確認しておきましょう。

SNS投稿や広告出稿の際は表現に気を付ける

販売する商品の販促目的でSNS投稿や広告出稿をする際には下記の法律に違反しないよう表現に注意が必要です。

法律 注意点 商品カテゴリ
薬機法 効果の誇大表現
消費者に誤解を与える表現
医薬品、医療機器、
医薬部外品、
化粧品など
景品表示法 うそや大げさな表示
消費者を騙すような表示
すべての商品

薬機法違反が発覚した場合は、2年以下の懲役もしくは罰金、またはその両方が課される可能性があります。また、行政処分を受けたり、逮捕されたりする可能性もあるので注意が必要です。景品表示法に違反した場合は措置命令や課徴金納付命令が課されます。

これらの法律に抵触すれば、故意でなくても罰則の対象となります。遵守できる自信がない場合は、専門家に相談することをおすすめします。

軌道に乗るまで時間がかかることを心得る

ネットショップはオープン後、すぐに売れることはほぼありません。特にASPカートによって構築した自社ECの場合は、軌道に乗るまで半年から1年程度はみておきましょう。SNSやSEO対策でも集客はもちろんできますが時間がかかります。できるだけ早く集客したい場合は、費用はかかりますがリスティング広告やディスプレイ広告の出稿がおすすめです。

なお、厳密なデータはありませんが、ネットショップの廃業率は創業1年目で3割、2年目で5割、10年以内に9.5割といわれています。しかしその一方でEC市場は年々拡大しており、需要が高いことが読み取れます。開業後すぐには成果が出なくても、諦めずに続けてみましょう。

ネットショップを成功させるポイント

ネットショップを成功させるポイント

ネットショップを成功させるには、次のポイントを抑えておく必要があります。

  • 綿密に商品設計を行う
    ネットショップの成功は集客力にもよりますが、第一に販売する商品に魅力がないと売上には繋がりません。商品力を上げるためには、まず市場の分析を行い、コンセプトの設計をしたのちに商品設計をするようにしましょう。
  • 集客チャネルを構築する
    ネットショップに人を呼ぶためには、SNSやブログなどの集客チャネルを構築する必要があります。ネットショップの開業とあわせて集客チャネルの構築にも力を入れていきましょう。
  • ユーザーファーストを心がける
    集客チャネルなどによる認知からネットショップでの購入に至るまで、ユーザーが使いやすく、安心できるような設計ができなければ離脱率が高くなります。商品設計はもちろんのこと、ユーザーがストレスなく購入できるように導線設計することがネットショップ成功のポイントになります。

関連記事:ネットショップ開業のよくある失敗例|成功させるためのコツやEC販売の注意点を解説

まとめ

まとめ

ネットショップは簡単に開業できますが、綿密な計画を練ったうえではじめないとすぐに閉業することになります。まずは本記事で解説していることを参考に、事業計画から出店方法に至るまでの詳細を詰めていきましょう。

ただし、詳細に計画を立てたとしても、ネットショップ自体が売れる設計になっていなければ売上を取りこぼします。ネットショップ制作サービスがあるためネットショップ自体は自身でも簡単に構築できますが、「売れる設計」にできるかどうかは知識が必要です。

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